ホンダが2024年春に発売予定の新型軽商用EV(電気自動車)「N-VAN e:(エヌバン イー)」に関する情報を9月28日にホームページで先行公開した。2023年6月から日本国内でヤマト運輸との実用性実験を開始している。N-VAN e:先行情報サイト:https://www.honda.co.jp/N-VAN-e/new/
●文:月刊自家用車編集部
N-VANの特長である商用車としての積載性や空間価値を維持しながらEV化。WLTCモードで210km以上の航続距離を目標に開発中
ホンダは今回先行公開した新型軽商用EV(電気自動車)「N-VAN e:(エヌバン イー)」で、EV展開を本格スタートさせる。すでに2023年6月から日本国内ではヤマト運輸とプロトタイプを使用した実用性検証をスタート。海外でも9月からインドネシアで国営石油会社プルタミナとの実用性検証を開始している。
「N-VAN e:(エヌバン イー)」は、「N-VAN」の特長である商用車としての積載性や空間価値をEV化しても変えないために、荷室のフロア下に搭載するバッテリーを薄型化。床をフラットに低く、天井は高くすることで大容量の荷室空間を実現。助手席からリアシートまでフラットで長尺物を積める、助手席側のセンターピラーレスで大開口部を持つのもベースの「N-VAN」と同様だ。
エクステリアは、「N-VAN」のデザインを踏襲し、使用済み自動車のバンパーをリサイクルした「バンパーリサイクル材」をフロントグリルなどに採用。インパネまわりはフレキシブルに使える収納やエアコン操作部やシフトポジションスイッチなどの機能をドライバー席側に集中配置するなど、利便性を向上させている。
EVのシステムでは、ブレーキ操作に対してリニアに反応する電動サーボブレーキを軽商用バンとして初採用。減速時の安心感のあるブレーキフィールだけでなく、スムーズなブレーキの掛かりで車内の積載物を荷崩れさせづらいコントロール性を実現。このほか、ブレーキディスクローターのサイズアップや走行モードではDレンジと比べて減速度を大きくするBレンジを設定している。
航続距離は、配送業務に十分対応する航続距離としてWLTCモードで210km以上を目標に開発で、エアコンの消費電力を抑え、実用航続距離の延長に寄与するECONモードも設定される。充電は6.0kW出力の普通充電に対応し、充電時間は約5時間と夜間に充電を行えば翌日はフル充電の状態で使用を開始できる、としている。
充電コネクターのリッドは、使い勝手を考慮してフロントグリル内に設置。充電・給電時にも充電コードなどを気にせずに、車の乗り降りやドアの開閉をすることが可能となっている。さらにディーラーオプションのAC車外給電用コネクター「Honda Power Supply Connector(パワーサプライコネクター)」を使用すると「N-VAN e:」のバッテリーで合計1500Wまでの電化製品を使用することが可能となり、停電や災害時に簡単に給電することができる。
この給電機能、可搬型外部給電器「Power Exporter e: 6000(パワーエクスポーターイー)」、「Power Exporter 9000」を使用することでそれぞれ最大6kVA、9kVAの高出力給電を行うことが可能で、出力の高い冷蔵庫や冷暖房器具など、複数の電化製品を同時に使用することができるという。
加えて、ホンダ コネクトにも対応する。スマートフォンに入れたHondaリモート操作アプリで、お出かけ前タイマー設定、充電待機時間設定、最大電流量設定、最大充電量設定、外部給電下限SOC(
残充電量)の設定を遠隔で行うことが可能になる。
グレード構成は、スタンダードモデルの「e:L4」とポップなインテリアを採用した「e:FUN」、新車オンラインストア「Honda ON」限定タイプの「e:L2」の3グレード構成となる。「e:L2」は、助手席側シートを省略し、より低床化したグレードだ。
先進の安全運転支援機能「ホンダセンシング」は、「e:L4」と「e:FUN」に標準装備。「e:L2」には衝突軽減ブレーキ(CMBS)、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、オートハイビーム、パーキングセンサーシステム(リア)が装備される。さらに軽商用バンとしては初めて、サイドカーテンエアバッグを運転席と助手席に標準装備し、安全性を向上させている。
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