
クルマの定番カスタムといえばエアロパーツでのドレスアップ。見た目がぐっとスポーティになるのが魅力だけれど、走行性能の向上も気になるところ。
「いったいどの程度変化するのだろう?」そんな素朴な疑問を抱いた編集部員が、ホンダアクセスのModulo30周年イベントで実効空力の凄さを体感してきましたよ!
●文:月刊自家用車編集部
Moduloってなんだ?
Modulo(モデューロ)は、ホンダの開発思想に基づいた純正アクセサリーブランド。1994年からホンダ車の品質や信頼性、安全性を重視するパーツの開発がスタートした。ビガーのアルミホイールを起源とし、NSXなどのスポーツカーからヴェゼルなどのファミリーカーまで手掛け、2024年で30周年を迎える。
Moduloのエアロ開発は”ぬりかべ”から
Moduloのエアロパーツ開発の第一歩は、風からの悪影響を受けやすい通称”ぬりかべバンパー”からスタート。開発者からデザイナー、モデラー全員が実際に走行し、納得いく走りを得られるまでひたすらテストすることで現場第一主義のパーツが生まれるという。
ホンダアクセス流のエアロ開発手法
Moduloの実効空力実験
今回、エアロパーツの効果を体感する実験内容は『S660 Modulo X』の乗り比べ。”ぬりかべバンパー”の『S660 Modulo X』と、バンパーだけノーマルモデルの『S660 Modulo X』、Moduloのバンパーを装着した3台で濡れた路面の定常円をぐるぐると走る、といった実験だ。
Moduloエアロパーツを装着した『S660 Modulo X』
ホンダの2人乗りオープン軽スポーツカー「S660」をベースにModuloがカスタム。専用ホイールや各部にエアロパーツを装着し、走りの質感が高められている。
エクステリアのアイテムだけでなく、インテリアも特別な仕様に。
まず試乗したのは”ぬりかべバンパー”。特設コースでパイロンを中心に定常円旋回を行うと、40km/h前後から風の影響を顕著に感じ始める。張り出したフロント全面が思い切り風を受けてしまい、クルマの挙動がフラフラと不安定に。繊細な軌道修正が必要とされ、40km/h以上を維持するのはとても難しく感じてしまった。
助手席に座っていても40km/hで限界だと感じられるほど不安定。
定常円から出る際に、車体が左右に振られるような挙動も。
次に試乗したのは、ノーマルモデルのバンパーを装着した『S660 Modulo X』。40km/h前後では、ステアリングはほぼ固定で定常円走行ができ、車体の挙動も安定。ただ、45km/hくらいにスピードを上げるとオーバーステアが発生し始めた。定常円の外に外側に膨らんでいく挙動が出てしまい、その都度軌道修正が必要に。しかし、先に乗った”ぬりかべ”バンパーほどのシビアな操舵は必要なかった。
日常の速度域でもハンドリングや車体の挙動に対する風の影響を実感。
最後に乗ったのは、Modulo Xのバンパー装着車。ノーマルバンパーで挙動が怪しくなった45km/h程度でも、まだまだ余裕がある感じ。50~53km/h程度までスピードを上げると時折オーバーステアが発生したが、破綻するような予兆はなかった。フロント、リヤで空力のバランスが取れたクルマの実力がはっきりと分かる結果だった。
40~50km/h程度で定常円を周り続ける実験だったが、バンパー形状による走りの違いは想像していた以上に顕著だった。
今回の実験は40~50km/h程度の比較的低速での走行だったが、それでもエアロパーツの空力効果は大きく、その効果に少々懐疑的だった編集部員もはっきりと実感! 実験の結果から「エアロパーツは見た目だけでなく、走行性能もアップする」のは確実だが、それはクルマ全体の空力のバランスが取れているのが大前提。バランスが悪いとかえって、危険な挙動が出やすくなってしまうなどのおそれもあるため、全体のバランスを意識したModuloのようなエアロパーツが重要だと感じた次第だ。
シビックのエアロパーツも開発中!
Moduloでは、東京オートサロン2023で公開されたシビックのコンセプトアクセサリーを開発中。2024年内の発売を予定している。
鋸刃(シェブロン)形状の実効空力デバイスを搭載し、シビックに合わせた実効空力性能を追求。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(試乗インプレ)
燃費と加速、2つの魅力がさらに高まった最新ターボを搭載 まず「スバルのターボ」と言えば、多くのユーザーが燃費を気にすると思うが、今回の約200kmのドライブで計測したところ、車載計の数値はWLTCモー[…]
姉妹誌「ルアーマガジン」とコラボして、北陸の名釣り場へ! 月刊自家用車編集部のデスクは、姉妹紙である釣り雑誌『ルアーマガジン(以下ルアマガ)』編集部の隣にある。かなり至近距離にあるため、誰が何を話して[…]
18年ぶりに復活した“クラウンワゴン” 2022年、クラウン(クロスオーバー)から始まり、セダン、スポーツと続いていよいよ最後の4タイプ目となるエステートが登場した。これまでにも、クラウンには1970[…]
「ホンダは究極の“伝え下手”」凄いハイブリッドを作っていたぞ! ホンダは4輪事業を始めて60年以上が経つが、その中でHEV(ハイブリッド車)は約4割となる25年の歴史を持つ。1999年に登場した初代イ[…]
デビューから9年、毎年国内でも約1000台ペースで売れ続けている、ボルボのベストセラーモデル ボルボXC90は、ボルボラインナップの頂点となる3列シートの7人乗りのラージSUV。トップモデルの価格は1[…]
人気記事ランキング(全体)
ナットの取り外しの基本を無視すると、トラブルの原因に… 整備作業においてボルトやナットの脱着は避けて通れない基本中の基本の作業。それだけに、ソケットレンチやメガネレンチの使用頻度は必然的に高まる。が、[…]
どんな車にも絶対ついているのがサンバイザー 車種を問わず、あらゆるタイプの車に装備されているサンバイザー。軽自動車でも高級車でも、オープンカーでも装着されていることが多い。サンバイザーは、その名の通り[…]
新型プリウスオーナーに朗報! 最新のフロントガラス周り事情に対応した内窓専用ワイパー 今回紹介するのは、内窓専用ワイパーの『エクスクリア360ワイパーフラット』。幅広いカー用品を展開するカーメイトから[…]
不可能と思われたハイブリッド量産に挑んだG21プロジェクト 1997年暮れに世界初の量産ハイブリッド車として初代プリウスが発売されてから、すでに27年が歳月が過ぎた。しかもその間に、ハイブリッド車は世[…]
車載ジャッキの使い方の基本 ジャッキというと、車載ジャッキを思い浮かべるビギナーは多いハズ。しかし、車載ジャッキはあくまでパンクのときなどのための応急用であり基本的にメンテナンスでは使用してはならない[…]
最新の投稿記事(全体)
アウトランダーPHEVのコア技術を、専門の技術説明員が解説 三菱自動車ブースの主役は、2024年10月に大幅な改良を施し、市場に投入されたフラッグシップモデルのアウトランダーPHEV。リアル展示会のブ[…]
408&308で好評のボディカラー「オブセッションブルー」を採用 今回導入される「GT Obsession Blue」は、GTグレードに、2008初採用のボディカラー「オブセッションブルー」をまとった[…]
「カーボンニュートラル達成」「交通事故死者ゼロ」に対する具体的なアプローチ例を公開 今年の「人とくるまのテクノロジー展 2025」のホンダブースでは、究極の安全を目指すモビリティの未来像が具体的に提示[…]
不可能と思われたハイブリッド量産に挑んだG21プロジェクト 1997年暮れに世界初の量産ハイブリッド車として初代プリウスが発売されてから、すでに27年が歳月が過ぎた。しかもその間に、ハイブリッド車は世[…]
爪や指輪で傷つきがちな、ドアハンドル周辺 「マジかよ…勘弁して欲しいな…」 友人に車を貸して戻ってきた際に、ドアハンドル周辺を見て驚愕するオーナー。思わず「傷だらけじゃん…ふざけんなよ」と、思わず愚痴[…]
- 1
- 2