
歴代最高となる初月受注台数1万台超えを記録するなど、予想を超える好発進となった新型フォレスター。6代目となる新型は、歴代モデル同様に使い手のライフスタイルに寄り添う正統派SUVとして開発されている。そんな大注目のモデルをオンロードとオフロードの両方でテストしてみた。
●文:まるも亜希子 ●写真:澤田和久/SUBARU
静粛性の高さを強く実感。ターボは軽快さ、S:HEVは落ち着き感を重視した味付け
用意される3つのグレードは、上級かつ中心グレードとなる「Premium」、唯一のターボグレードとなる「SPORT」、アウトドアユースを意識しタフな実用性を高めた「X-BERAK」と、それぞれに確固たるキャラを植え付けている。
新型フォレスターではスバルとして初めて「デザインから開発をはじめる」というチャレンジを行ったという。特に印象的なのはフロントマスクで、ヘッドランプからグリルまでの造形を連続させ堂々とした存在感を表現することで、重みを感じるデザインに仕上げている。(撮影車はX-BERAK S:HEV EX)
今回はオンロードでは1.8Lターボ搭載のSPORTと、2.5L+2モーター式ストロングハイブリッドのX-BREAK S:HEVに試乗。オフロードではPremium S:HEVに乗ることができた。
まず最初はSPORTで、一般道中心のドライブ。搭載する1.8Lターボは、より少ない燃料で必要なエネルギーを取り出すことができるリーン燃焼の恩恵と、低粘度のエンジンオイルの使用、高効率オルタネーターの採用で、スバルらしい走りと環境性能を両立していることが特徴。
低回転域から厚みのあるトルク特性を持つこともあって、幅広い速度域で余裕の加速を披露してくれる。パンチが効いた爆発的なターボではないが、側道から本線への合流やきつい上り坂といった、ここぞのシーンでの瞬発力も十分。ちなみにSIドライブでSモードにセットすれば、レスポンスの良さがより際立つ、エモーショナルな走りも楽しむことができる。
SPORTに搭載される1.8Lターボは、アクセルペダルの踏み込み速度に応じて変速なども最適に制御。ゆったりドライブでは燃費を稼ぎやすくなっている。うまくコントロールすれば太いトルクの力感を楽しみながら悠々としたクルーズを満喫できる万能タイプだ。
足元は18インチのオールシーズンタイヤを装着していることもあって、路面の凹凸を強めに感じるシーンもあったが、全体的に乗り心地は良好。さらにSPORTというグレード名に反して、室内がとても静かなことにも驚かされた。エンジン音をさほど感じないのは、トランスミッションまわりの防音カバーの面積を拡大など、振動騒音改善を図った恩恵によるもの、とのこと。
もう一台のX-BREAK S:HEVでは、一般道に加えて高速道路でもじっくりとチェックできた。こちらは走り出しから接地感が高めで、ステアリングフィールもしっとりとしていて、落ち着いた印象が強め。これは車両重量のアップが良い方に影響しているのだろう。さらにエンジン音やモーター音を低減させるインシュレーターの追加や拡大により、静粛性も高まっている。
撮影車はX-BREAK S:HEV EX。クロストレックから展開が始まったストロングハイブリッド「S:HEV」が採用されることで、強力なモーターアシストがもたらす力強い走りに加えて、燃費性能も向上(WLTCモード燃費で18.8km/ℓ)。これも注目を集める理由になっている。
先代のe-BOXER(マイルドハイブリッド)では、低速から中速のつながりで、少しもたつく感じもあったのだが、S:HEVは全域でつながりが滑らかになっていて、アクセルペダルのコントロール性もより精度が増している。高速道路でのクルージング走行も快適そのもの。ここはS:HEVの大きな魅力のひとつになっている。
S:HEVは、高速道路でのクルージングも快適。ロングドライブに向いていることを実感できる。アイサイトもステレオカメラに加えて広角単眼カメラや前側方レーダーを搭載する新世代型にアップデートされている。
ストロングハイブリッドの恩恵は、オフロードでも明らか
オフロードで試したPremium S:HEVは、先代のe-BOXER(マイルドハイブリッド)と乗り比べてみると、先代は上り坂で少し加速が鈍くなるシーンがあり、ステアリングの反応にもやや曖昧なところもあったのだが、新型では発進からグイグイと力強く上り、路面の凹凸で挙動が乱れてもすぐに立て直してくれる。下り坂での安心感もアップしており、アウトドアレジャーの相棒として、とてもしっくりとくる。
S:HEVの駆動モーターは88KWを発揮する大容量仕様。幅広い走行シーンでモーター駆動をメインとし、モーターが苦手な領域をエンジン駆動がカバーする特性が与えられている。ハイブリッドモデルながら機械式AWDが採用されるなど、コントロール性も優秀。滑りやすいダート路との相性の良さも強く実感。
オンロードも、オフロードも、バランス良く走りが進化した新型フォレスターは、ミドルクラスのSUVを検討しているユーザーにとって、外せない選択肢になるのは間違いないだろう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(スバル)
SUBARUとSTIが共同開発した、走る愉しさを追求したコンプリートカー 今回導入される特別仕様車「STI Sport TYPE RA」は、水平対向エンジンを搭載したFRレイアウトのピュアスポーツカー[…]
BEVとしての基本性能を大きく底上げ 2021年にスバル初のグローバルバッテリーEV(BEV)として登場したソルテラは、電動駆動の利点を追求しつつ、余裕あるSUVボディや先進の安全装備機能が充実するな[…]
STIと並ぶもう一つの柱として、大きな期待を持ってデビュー ベースとなるプラットフォームは生産もトヨタに委託しているソルテラと共通だが、スバルのBEVとしては初めて自社の矢島工場での生産となるトレイル[…]
クロストレックが「ゴツい」タフ仕様に進化 クロストレックは、コンパクトなボディに本格的なSUV性能とラギッドかつスポーティなデザインを兼ね備え、都会からアウトドアまで幅広いシーンで活用できる多用途性を[…]
ワイルドでタフ。北米で人気を集めるスバルのワイルド仕様 アメリカでは広大な国立公園などの中に、大自然を縫って走る長大な未舗装のトレイルロードが各地にあり、そこを走ること自体に挑む、文字通りのアドベンチ[…]
最新の関連記事(SUV)
ホンダ ヴェゼル価格:275万8800〜396万8800円登場年月:2021年4月(最新改良:2025年10月) 値引きを引き締めを装うが、しっかりと手順を踏めば25万円オーバーは狙える 一部改良後の[…]
人気のロンジチュードをベース車に100台限定で発売 ベースとなるジープ コンパスのロンジチュードは、都市部からアウトドアまで幅広く溶け込む洗練されたデザインと充実した機能が与えられた、コンパスの人気グ[…]
日本上陸75周年を記念したメモリアルモデル 「MUROMACHI EDITION」という名称は、1950年にディフェンダーの祖先になる「LAND ROVER SERIES I」を初めて輸入した「日本エ[…]
リーズナブルなのに本格派! フルフラットになって自由度UP! 福岡は大野城市を拠点とするFun Standard株式会社の、自動車アクセサリブランド「クラフトワークス」は、ユーザーの満足度の高いカー用[…]
「一人のため」に設計された、新時代の「ショーファードリブン」 「センチュリーはトヨタ車じゃないから」とは、随分と昔にトヨタの開発者から聞いた言葉だ。その後も同様の話はたびたび耳にする。つまりセンチュリ[…]
人気記事ランキング(全体)
運転中のちょっとした不満やストレス…。解消する方法は? 普段、クルマを運転している際に感じるちょっとした不満やストレス。それを解消できるアイテムがあれば、もっと快適にドライブが楽しめるのに…。例えば、[…]
ハイエースをベースにした特別モデル「ネクストアーク」 ダイレクトカーズが展開する「ネクストアーク」は、ハイエースをベースにしたシンプルかつ実用性の高いキャンピングカーである。これまで大規模イベントで高[…]
家庭用エアコンで、夏バテも心配いらず 今回紹介するレクヴィのハイエースキャンパーは、取り回しの良いナローボディ・ハイルーフ車をベースに仕立てた車両で、「ペットと旅するキャンピングカー」というコンセプト[…]
メンテナンスフリー化が進むが、それでも点検はしておきたい 今回は、エンジンメンテのベーシックレベル、スパークプラグについて解説していこう。プラグメーカーによると、その寿命は2~3万kmが目安とのコト。[…]
フロントガラスが曇るのは「結露」が原因 クルマのフロントガラスが曇る理由は非常にシンプルで、ガラスの表面で結露が起きるからだ。車内の空気には、人の呼吸や汗、濡れた衣類、傘から蒸発する水分など、想像以上[…]
最新の投稿記事(全体)
「贅沢」を極めた新世代のスーパーハイト軽ワゴン デリカが持つ「悪路に強い」というタフなイメージを、日常使いで便利な軽自動車に注ぎこんだことで、記録的なヒットを遂げたデリカミニ。この秋に発売された新型は[…]
Mercedes-AMG GT 53 4MATIC+ (ISG) Final Edition 特別装備で走りのポテンシャルを向上したメモリアルモデル メルセデスAMG GT 4ドアクーペは、メルセデス[…]
日産 エクストレイル価格:384万3400〜494万6700円登場年月:2022年7月(最新改良:2025年8月) ハリアー&新型RAV4との競合が極めて有効 今夏にマイナーチェンジを実施したことで値[…]
ネクストキャンパーが「エブリイ Jリミテッド」に対応 2025年8月にスズキより販売された軽商用車「エブリイ Jリミテッド」は、商用車の実用性をそのままに、外観にこだわりを持たせたモデルとして人気を集[…]
アストンマーティンとeggがタッグした究極のベビーカー 英国のゲイドンから、自動車産業と育児用品業界に新たな潮流を告げるニュースが届いた。英国が誇るラグジュアリーブランドであるアストンマーティンと、同[…]
- 1
- 2




























