足回りが改良されたCX-60。改良前は足が固いなどといった声が多数あったが、改良されてどうなったのか。改良後のCX-60を借りられる機会があったので、450kmほど高速道路を中心に走ったインプレッションをしていこう。
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久
改良前はスポーティーさ重視で固めの足
パワートレーンは、加速や燃費など性能を具体的に示す数値があるから比較的分かりやすいが、フットワークはそう言った数値比較ができない。拡大解釈気味だが、フットワークが趣味嗜好の側面も大きい。つまり、作り手のセンスを表現しやすいのもフットワークだ。
CX-60の初試乗におけるフットワークの第一印象は、車体軸線を水平に保つ挙動へのこだわりの強さ。ロールは比較的ストロークを使うのだがピッチ方向では4輪とも突っ張った感じで、段差舗装もひび割れ、パッチなど路面の細かな凹凸が伝わってくる。とくに低速域で目立ち、そうでない人もいるだろうが、個人的には長時間ドライブの評価は微妙だった。
サスチューンが施され、乗り味がマイルドに
乗り心地の改善を目的に新しくチューンされたサスを組み込んだ改良型は、大雑把な硬柔では相変わらず硬めの設定だが、苛むような細かな突き上げは激減。突き上げを「いなす」とか「面取り」というような力の分散を思わせる感覚が加わった。といっても、極端に柔らかくなったということはなく、前述したとおり売りは新開発のFRプラットフォームによる人馬一体の操縦感覚。CX-60の魅力であるSUVとしてのオンロードのスポーティな走りは健在であった。
ロングドライブで改良の効果を実感
乗り心地の改善は日常用途でもありがたいが、今回の試乗のような長距離走行で一層有り難みを増す。ストレスが減少して助手席や後席との会話も弾むようになった。個人的にはもっと乗り心地寄りのサスチューンでもいいのだが、ドライバーのための操り心地を第一とし、レジャードライブとのバランスをとるなら良い落とし所と言える。また、改良によって加減速や転舵時にピッチ変化を感じるようになったが、その量はごく僅か。寧ろ運転操作にサスが呼応しているような感覚が加わって好ましくも思えた。
ディーゼルエンジンの優れた走行性能と燃費
走行性能は直6ディーゼルのパワーフィールはフラットなトルク特性もあって伸びやか。振動騒音はディーゼルとは思えないもので、ガソリン車とも別で独特かつ心地よい。しかも、上級SUVとしては燃費も良好であり、CX-60の長距離用途適性を大きく高めている。ちなみに、この試乗では高速道路走行時の大半でACCを用いたのでレジャー用途の実燃費とほぼ等しいかと思う。
今回の改良で、マツダ車らしい走りが損なわれたなら本末転倒だが、その点は心配無用。操る楽しさを維持しながらも、快適性、長距離適性が向上した改良であった。
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