
春と言えば、穏やかで過ごしやすい季節をイメージする人も多いのではないでしょうか。実際、春先から初夏にかけての涼しい時期にドライブを楽しむ人はたくさんいますが、夏に比べて気温が低いにもかかわらず、車内では熱中症になる可能性があると言われています。いったいなぜ、春先でも熱中症に注意が必要なのでしょうか?
●文:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
外気温は快適でも車内が高温になる危険性アリ!
一般的に、熱中症は夏の暑い時期に注意が必要とされることが多いため、春でも熱中症のリスクがあるという事実は、多くの人にとって意外かもしれません。
気象庁のデータによると、1991~2020年の春の最高気温は、3月14.2℃/4月19.4℃/5月23.6℃と、1年の中でも過ごしやすい気候であることがわかります。
にもかかわらず、春でも熱中症に気をつけなけらばならないのは、外気温がそれほど高くなくても車内は高温になりやすいためです。
クルマの窓が閉まっている状態で直射日光が入ると、車内の温度は急速に上昇します。
この温度の上昇は、外の気温が低めの春でも例外ではなく、外気温が20℃程度でも車内は40℃を超えることは少なくありません。
また、2007年にJAFによって行われたユーザーテストによると、最高気温が23.3℃と過ごしやすい1日だったにもかかわらず、車内の温度は48.7℃まで上昇したとのこと。
さらに、フロントガラス付近は57.7℃まで上昇し、ダッシュボード付近に関しては70.8℃まで上がってしまったそうです。
このような状況下で車内に長時間留まると、体温調節が追いつかず、脱水症状/熱中症を引き起こす可能性があります。
また、春は朝晩と日中の温度差が激しく、重ね着をして外出することが多い点も体温の上昇を促す原因だと考えられるでしょう。
これらの要因が合わさることで、涼しい春でも熱中症になる可能性があるということです。
この季節に熱中症にならないために気をつけたいことは?
クルマの熱中症対策でもっとも重要なのは、車内の温度を上げないようにすること。
窓を少し開けておく、または定期的にエアコンを使って空気を循環させることで、車内温度の急激な上昇を防ぐことができます。
直射日光の下では車内温度が外気温よりも大幅に上昇するため、駐車時にはクルマを日陰に置くことも心がけましょう。
また、車内では意外と汗をかくことがあるため、水分補給も忘れずにおこないましょう。
水分補給には、塩分や糖分など栄養素が多く含まれるスポーツドリンクがおすすめ。
利尿採用のあるコーヒーなどは、逆に熱中症のリスクを高める可能性があり、水分補給には適していないので、注意したいところです。
これに加えて、寝不足や二日酔い、食事を取ってないときも熱中症になりやすいため、運転前のコンディションはしっかりと整えておくことが大切です。
また、手足のしびれ/吐き気/だるさなどを感じた場合は熱中症のサイン。これらの症状が生じたら、運転中であればすぐにクルマを停められる場所に移動し、水分と塩分を補給して身体を冷やします。
さらに言うまでもありませんが、体温調節が苦手な乳幼児/ペットなどを車内に残すことは絶対に避けましょう。
外は涼しいから問題ないという油断や、短い時間だから大丈夫といった過信は、取り返しのつかない事態につながりかねません。
子どもやペットは体調の悪化を伝えるのが難しく、大人よりも負担が大きいことに留意すべきです。
このように、春の涼しい季節でも車内温度の急激な上昇により、熱中症のリスクを高めることがあるため警戒が必要であることがわかります。
車内の空気を循環させる、日陰に駐車するなど、車内温度が上がらないような対策を取ることが熱中症対策の鍵。
春の快適なドライブを安全に楽しむためにも、熱中症への対策を怠らないようにしましょう。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。
最新の関連記事(クルマ雑学)
フロントガラスが曇るのは「結露」が原因 クルマのフロントガラスが曇る理由は非常にシンプルで、ガラスの表面で結露が起きるからだ。車内の空気には、人の呼吸や汗、濡れた衣類、傘から蒸発する水分など、想像以上[…]
「前向き駐車お願いします」――気になる張り紙の正体 商業施設の駐車場で「前向き駐車にご協力ください」と書かれた看板を見たことがある人は多いだろう。だがその意味をきちんと理解している人は意外と少ないので[…]
「もみじマーク」の正体とは 多くの人が“もみじマーク”と呼ぶこのマークは、正式名称を「高齢運転者標識」という。一定の年齢に達したドライバーが運転していることを周囲に知らせ、安全運転を促すためのものだ。[…]
寒くなる季節に増える「猫のエンジンルーム侵入」 気温が下がる季節になると、エンジンルームに入り込む猫の報告が全国で増え始める。猫は暖かく安全な場所を好むため、走行直後のエンジンが発する熱は格好の寝床と[…]
渋滞はなぜ起こるのか、その根本にあるもの 渋滞は突然現れるように見えるが、実際には静かに積み重なった条件が臨界点を超えた瞬間に可視化される現象だ。最も分かりやすい原因は、道路に流れ込むクルマの数が許容[…]
人気記事ランキング(全体)
運転中のちょっとした不満やストレス…。解消する方法は? 普段、クルマを運転している際に感じるちょっとした不満やストレス。それを解消できるアイテムがあれば、もっと快適にドライブが楽しめるのに…。例えば、[…]
ハイエースをベースにした特別モデル「ネクストアーク」 ダイレクトカーズが展開する「ネクストアーク」は、ハイエースをベースにしたシンプルかつ実用性の高いキャンピングカーである。これまで大規模イベントで高[…]
家庭用エアコンで、夏バテも心配いらず 今回紹介するレクヴィのハイエースキャンパーは、取り回しの良いナローボディ・ハイルーフ車をベースに仕立てた車両で、「ペットと旅するキャンピングカー」というコンセプト[…]
メンテナンスフリー化が進むが、それでも点検はしておきたい 今回は、エンジンメンテのベーシックレベル、スパークプラグについて解説していこう。プラグメーカーによると、その寿命は2~3万kmが目安とのコト。[…]
フロントガラスが曇るのは「結露」が原因 クルマのフロントガラスが曇る理由は非常にシンプルで、ガラスの表面で結露が起きるからだ。車内の空気には、人の呼吸や汗、濡れた衣類、傘から蒸発する水分など、想像以上[…]
最新の投稿記事(全体)
「贅沢」を極めた新世代のスーパーハイト軽ワゴン デリカが持つ「悪路に強い」というタフなイメージを、日常使いで便利な軽自動車に注ぎこんだことで、記録的なヒットを遂げたデリカミニ。この秋に発売された新型は[…]
Mercedes-AMG GT 53 4MATIC+ (ISG) Final Edition 特別装備で走りのポテンシャルを向上したメモリアルモデル メルセデスAMG GT 4ドアクーペは、メルセデス[…]
日産 エクストレイル価格:384万3400〜494万6700円登場年月:2022年7月(最新改良:2025年8月) ハリアー&新型RAV4との競合が極めて有効 今夏にマイナーチェンジを実施したことで値[…]
ネクストキャンパーが「エブリイ Jリミテッド」に対応 2025年8月にスズキより販売された軽商用車「エブリイ Jリミテッド」は、商用車の実用性をそのままに、外観にこだわりを持たせたモデルとして人気を集[…]
アストンマーティンとeggがタッグした究極のベビーカー 英国のゲイドンから、自動車産業と育児用品業界に新たな潮流を告げるニュースが届いた。英国が誇るラグジュアリーブランドであるアストンマーティンと、同[…]
















