
日夜問わず走り続けるトラックは、自身の存在をほかのドライバーに示す必要があります。とくに大型トラックの場合、その巨大なボディがほかのドライバーの視界を遮ることもあり、夜間/悪天候時には大きな事故の原因となることも。そんな事態を避けるために、トラックの側面に取り付けられている“側方灯”が輪郭を照らし出して、トラックの全体的なサイズ/位置を知らせる役割を果たします。ほかのドライバーはこれによってトラックのサイズを正確に把握し、安全な距離を保って接近、または追い越しを行うことが可能になります。トラックに設置されたランプは安全に関わる大事なものなので、厳しいルールが定められているとのことですが、いったいどのような規定が設けられているのでしょうか?
●文:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
全長6mを超えるトラックには、“側方灯”の設置が絶対に必要
トラックの側方灯に関する規定は、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」で厳格に定められています。
まず、長さ6mを超えるトラックには、側方灯の設置が義務付けられています。
規定では橙色ランプが指定されているが、現実には黄色のランプが圧倒的
側方灯は車体の側面に少なくとも3mごとに1つ設置する必要があり、色は橙色(だいだい色)でなければならないとのこと。ただ実際には、橙色ランプよりも黄色に近いランプが使われているケースが多いようです。
また側方灯の明るさは、夜間でも150m離れた位置から確認できる程度の明るさが求められるようです。
とはいえ、明るすぎるとほかのドライバーの視界を妨げてしまうため、ランプの光度は自動車のポジションランプと同程度の300カンデラ以下でなくてはいけません。
ドライバーの視界を妨げないように、ランプの接地場所にも厳格なルールあり
加えて、側方灯の設置場所にも厳密なルールが存在します。
まず、ランプは地上0.25m以上1.5m以下の高さに設置する必要があり、車両の最前部からは3m以内、最後部からは1m以内の位置に設定することが求められています。
さらに、ランプは常時点灯させる必要があるものの、点滅は許されていません。もしも点滅させた場合は、車検にも通らなくなるといいます。
このように、側方灯は事故防止のための重要な装備であり、厳しいルールが設けられています。
デコトラのアンドンやマーカー灯の規制は少し甘め
一方で、保安部品以外として設置されるマーカーやアンドンなどは、側方灯ではなく“その他の灯火”と分類され、基準が異なります。
その他の灯火とは、いわゆるイルミネーション用のランプのこと。
明るさは側方灯と同じ300カンデラ以下で、ブレーキランプやテールランプとの誤認を防ぐために、赤色の使用は禁じられています。
そのほかの色に関する規定は装着場所によって異なり、車両前方から見える位置は青紫色/黄緑色が、後方から見える位置は橙色/白色が禁止されています。
また、基本的に点滅は禁止され、光が強くなったり弱くなったりするのも不可とのことです。
このように、6mを超えるトラックには側方灯の装着が義務付けられていることがわかりました。
また橙色または黄色といった色の規定があり、夜間や悪天候下での視認性を確保するための重要な役割を担っています。
前方を走るトラックを見かけたら、改めて側方灯やテールランプに注目してみるのも面白いかもしれません。
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