
新車購入の達人「松本隆一」が、旬のモデルの最新情報を伝えるこの企画。今回はまだ正式発売前にもかかわらず、相当な予約受注が集まっているという「新型フリード」の見逃せない生情報を大公開するぞ!
●文:松本隆一/編集部
正式発売前から、ホンダディーラーには問い合わせが殺到中
松本「最近、新車市場では〝SF〟戦争が注目を集めているね」
担当「なんスか、それ? SFって〝空想科学小説〟……んなわけないですよね」(笑)
松本(あきれ顔で)「シエンタVSフリード」のことだよ。フリードがフルモデルチェンジしたことで、予想以上に盛り上がっている。これまでに無いくらい凄い販売合戦になりそうなのよ。
担当「なるほど。シエンタって頭文字、Sでしたね……、新型フリードの正式発売はもう少し先(6月下旬)なのに、もう戦争状態ですか……」
月刊自家用車本誌でお馴染みの松本隆一氏。新車購入ひとすじ40年以上のキャリアを持つ「値引きの神様」であり、これまでに多くのユーザーの新車購入をサポートしてきている。毎週火曜日の12時~17時に(一部休みの日もあり)クルマの購入に関しての電話相談(03-5830-0267)も実施しているので、新車購入で困ったことや商談テクニックを知りたいならばなんでも相談して欲しい。(メールでの相談にも対応。https://form.run/@jikayosha03まで)
過去に例がないほど本気の「先行予約」を実施中、すでに注文書を交わしているユーザーも多数
松本「実は5月の連休明けからすでに新型フリードの販売はスタートしているのよ。一応〝先行予約〟というかたちをとっているけれど、商談がまとまれば、5月の段階で注文書を交わしているレベル。いわゆる〝予約〟なら無条件で取り消しができるけれど、この場合は正式な契約なのでユーザーの都合でキャンセルすれば損害賠償って話にもなる」
担当「ええっ、実車はもちろん、カタログすら見ないで、いきなり本契約なんですか?」
松本「簡単なパンフレットとWebサイトを見せながらの商談だけど、編集部には読者から『すでに契約した』との報告がぼつぼつ入ってきているのよ。ホンダのディーラーに訊くと『予想以上の反響だ』とのことだ。ま、この段階でディーラーを取材すると、いつだって〝予想以上の反響!〟って答えが返ってくるけどね」(笑)
担当「だったら、フルモデルチェンジの発表と同時に発売してしまえばいいのに……なんて思うのは私だけですかね」
松本「いや、その通りなんだけど、フリードは旧型の在庫がまだ残っているので、大々的に新型の売り込みを仕掛けられないって事情があったようだ。本格的なキャンペーンを開始しちゃうと、旧型がさばけなくなってしまうからね」
担当「だったら〝ちら見せ〟のティザー(予告)にしておいて、発表を遅らせればいいのに……」
松本「そこだよ、ポイントは。発売より1か月も早く発表して、ディーラーでは早めに売り込みを仕掛ける。これは『月販1万台近くを売るモンスター、シエンタに流れる客を少しでも止めよう』という、意味も大きい。要するに、巧みな販売戦略だね」
(シエンタの国内販売台数は4月=1万330台、5月=8820台。フリードは4月=3311台、5月4280台)
「新型フリードはかなりの難敵」トヨタ陣営の警戒度もマックス
担当「なるほど、シエンタを商談していた客が『近々、新型フリードが発売になる』との情報をキャッチすれば『ホンダも検討しなくちゃ』といったん止まりますよね」
松本「そういう客がホンダのディーラーに出向いたら、セールスマンは〝待ってました!〟とばかり『発売はちょっと先ですが、見積りは作れます!』と売り込むわけだ。発表から正式発売までの約1か月間に手をこまねいていたら、シエンタに相当の客が流れてしまうからね。要するに、SF戦争はフリードの正式発売前からすでにぼっ発しているというわけだ」
インパネは前方視界を意識したフラットなデザインだが、使いやすさにこだわった設計も見どころのひとつ。標準車に相当するエアーは温かみのあるアイボリーを基調色としている。
コンパクトボディに3列シートを備えることで、多人数乗車に対応できることが強み。さらに新型のハイブリッド車は2モーター式の「e:HEV」に変更されたことで、走りの実力が高まっていることも人気を集めている理由。
担当「そういえば、シエンタも5月に一部改良をやって〝新型〟を強調してきていますね。あの程度の改良で〝新型〟っていうのもなんだかなって感じもするけど……」
松本「ディーラーはストライプ1本入っただけでも『新型です』っていうよ」(笑)
担当「ともかく、あのタイミングでシエンタが一部改良を実施してきたのは、新型フリードの発売を見据えた対策措置のひとつとみていいですね」
松本「これまた巧みな販売戦略だ。複数のトヨタのセールスマンに本音を訊くと、異口同音に『新型フリード、手ごわし!』との反応が返ってきた。これまでコンパクトミニバンの分野では圧倒的な売れ行きをみせていたシエンタだけど、新型フリードの変身ぶりを見て『ヤバイ! まともにぶつかったらやられる』と思っているようだ」
シエンタもコンパクトボディに3列シートを備えているが、サードシートの設計思想が少し異なる。格納はセカンドシート下にダイブダウンするタイプになるため、サードシートの造りは少し簡易的だ。
実は身内のホンダも、ステップワゴンへの影響を心配中……
担当「たしかに新型フリードは旧型より1ランク……いや、1ランクといったら語弊があるか……〝半〟ランク上のミニバンに仕上がっていますよね」
松本「そうだね、ランクが上がったことによって『ステップワゴンの客が相当数、新型フリードに流れる』とみている関係者も多いようだ」
松本「ともあれ、ホンダが正式発売の1か月ほど前から攻勢に出てきたため、SF戦争が激化の様相をみせてきているわけだ。実際、競合していることがわかるとトヨタ側は〝値引きで勝負〟に出てくるケースが目立ってきている」
担当「具体的にはどのくらい緩めていますか?」
松本「シエンタは通常、付属品の値引きを含めて10万円程度の値引きで話をまとめようとしてくるが、フリードと競合していることがわかると確実に5万円は上乗せしてくるね。上手に攻めれば、付属品の値引きを含めて20万円オーバーが狙えるよ」
担当「となると、ホンダも〝異例の大幅値引き〟で攻勢を仕掛けるってことですか?」
松本「いや、そこまであまくない。やっぱり、ディーラーには「フルチェン直後なので大切に売りたい」って意識が強く、ガードは堅い」
ステップワゴン(右)と比べると、細部の意匠は異なるものの全体的なイメージはかなり近い。フリードのe:HEV車は相当パワーアップしたことを考えると、もうフリードで十分と考えるユーザーが増えるのは間違いない。
正式発売後の契約となると、納期は不透明。「年内、無理」も十分ありえる
担当「具体的にはどんな売り方ですか?」
松本「ホンダへ商談に出向くと、セールスマンは『新型フリードは予想以上の予約注文が入っているため、発売前から納期がどんどん延びています。早く決めないと年内の納車が難しくなるかも?』なんてちょっと大げさなことをいって、契約を迫ってくることが多い」
担当「お~、いまの時点で『年内、無理』はないですよね」
松本「現時点で契約すれば『納車は9月頃、早ければお盆明け』ってとこかな。ただし、正式発売してからの契約となると、本当に『年内、無理』ってことになる可能性もあるね」
フリードの値引きはかなり渋め。シエンタとの競合は絶対にやるべし
担当「新型フリードの値引きってどれくらいなんですか?」
松本「これは本誌の読者からの報告なんだけど、新型フリードの先行商談をしていて値引きに話が及んだら『車両本体値引きはゼロ。予約特典として5万円相当の付属品をプレゼントする。これ以上は会社が許可してくれない』なんて、厳しいことをいわれたそうだ」
担当「思わず『レクサスちゃうやろ!』とツッコミたくなりますね(笑)。で、新型フリードの攻略の突破口はもちろんシエンタとの競合ですよね」
松本「その通り。商談の際『シエンタは思い切った値引きを出してくれる。妻も『トヨタがいい!』といっているが、私は新型フリードにも大きな魅力を感じている。トヨタと同じ値引きにしろとはいわないけれど、頑張ってくれれば、なんとか妻を説得する』なんてやると効果が得られるはずだ」
担当「〝嫁がトヨタ推し〟なんて〝あるある〟で、リアリティ、ありますね」
松本「値引き交渉で〝リアリティ〟は大きな効果を生む。照れちゃう人もいるみたいだけど、ここはやるか、やらないか、で大きな差が出る」
担当「若い人なら『親父は〝トヨタを選べば間違いない!〟っていっていますけど……』みたいなセリフも効きそうですね」
松本「おっ、いいね、(メモを取るまねをしながら)いただきましょう(笑)。競合をあおる際には『値引き額と下取り額を差し引いた支払い総額』に注目するのが決め手だ。おそらくシエンタとフリードの支払い額をまともに比べると、設定価格と値引き額の差から30~40万円の開きが出てくる可能性がある。これを〝同じにしろ!〟と迫っても実現の可能性は低い。そこで、ホンダには『せめて差額を半分くらいにしてもらいたい』なんてやるのが現実的で、より効果的だね」
担当「なるほど。『差が半分になったら、トヨタ推しの嫁をかならず説得してみせる!』なんて付け加えるといいですね」
松本「うまいね、セールスマン泣かせのセリフじゃないか……これもいただきましょう」(笑)
レジャービークルらしさを強めたクロスターは、ラインナップが拡充されるなど、先代よりも存在感が高まっている。荷室の広さ優先というユーザーから好評だった2列5名乗り仕様(先代はフリード+と呼ばれていた)は、クロスターのみとなっている。
TV・CMが始まると、普通のユーザーがディーラーに殺到するのは間違いなし
担当「で、新型フリード、どこまで取れたら合格ですか?」
松本「現時点では付属品の値引きを含めて5~6万円で購入を決めているユーザーが多い。したがって値引き合計が10万円を超えたら〝まずは合格〟って考えていいだろう」
担当「いまの段階で、最高値引きの実例はどれくらいですか?」
松本「ここに読者から送られてきた注文書があるけれど、これを見ると、車両本体から約8万円引き、付属品から5万円引き(約10%)で、合計約13万円引きに成功している。ここまで取れたら特上クラスだね。もしも、値引きの合計が15万円を超えたら〝文句なし!〟って考えていいだろう」
担当「フルチェン直後というのに、けっこういけますね」
松本「フリードが正式発売(6月下旬)されると、いよいよホンダは本格的な売り込みを仕掛けてくる。TV・CMがばんばん流れて、ディーラーのショールームに実車が展示されてフェアが開始されると、一気に客が増えることは間違いない。トヨタと争いはますますエスカレートするわけだ」
交渉が煮詰まってきたら、資本系列が異なる別のホンダディーラーに乗り込むべし
担当「シエンタの値引きはさらに緩みそうですね。まさに〝買い頃、たたき頃!〟って感じじゃないですか」
松本「最後にもうひとつ秘策を伝えておこう。シエンタもフリードも〝同士討ち〟を忘れないこと。トヨタもホンダも同一地域に経営資本の異なる正規ディーラーが複数存在する。同じメーカーの看板を掲げていても〝経営が違えば敵同士〟だ。したがって、シエンタ同士、フリード同士の競合にもち込むことができる」
担当「最強の敵は〝身内にあり〟ですね」
松本「その通り。ただし、最初の商談からあからさまに同士討ちをあおると、セールスマンが警戒して『ほかのトヨタ(ホンダ)をまわってから、うちに来てください』などと引いてしまうことが多い。契約を前提にしないとはっきりした値引き条件を提示してこなくなることもあるので要注意だ」
担当「要するに〝後出しジャンケン〟をしようとしてくるわけですね」
松本「その通り。じゃ、そろそろ結論にいこうか」
担当「はい、いっちゃってください!」
松本「この夏、シエンタもしくは新型フリードを狙うなら……」
担当「おっ、狙うなら……」
松本「〝SF〟戦争で揺さぶりをかけて交渉が煮詰まってきたら〝同士討ち〟戦術で一気に決着をつける! これが必勝法だね」
担当「みなさん『SFから同士討ち!』作戦、これで攻めましょう!』
シエンタの方が先に新型に切り替わったこともあって、これまではシエンタ有利が続いていたが、これからは攻守逆転が確実。フリードの値引きを引き出す当て馬としてシエンタが使われそう。ちなみにシエンタ狙いというユーザーにとっては、フリードのフルモデルチェンジはシエンタを良い条件で狙える絶好の機会になるのは間違いないだろう。
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