
2026年に登場する新型車の顔ぶれを見渡すと、例年になくオフロードを得意とするSUVが揃っていることに気づく。ハードな環境を苦にしない、こだわりを感じるモデルばかりなのだ。その中で、ミッドサイズとなるトヨタの「ランクルFJ」と、ホンダの「パスポート」の内容をピックアップ。どのようなクルマなのかを紹介しよう。
●文:鈴木ケンイチ
2026年の新型は、例年以上に期待できるクルマが多そう
近年、クルマの発表と発売の関係が、以前とは変化してきた。かつては、発表=発売そのものだったのだが、最近は発表から、実際に売りに出る発売までの期間が伸びる傾向にあるのだ。今では発表から発売まで、半年もあることも珍しくなくなった。しかし、そうしたことで、逆に、この先に発売になるクルマが分かるようになったとも言える。
そのため現時点で、2026年に発売される新型車の多くが判明している。ざっと挙げれば、トヨタの「ランドクルーザーFJ」「ハイラックス」、ホンダの「CR-V」「Super-ONE」、日産の「エルグランド」「キックス」「パトロール(2027年導入予定)」、マツダの「CX-5」、三菱自動車の「パジェロ」などとなる。また、日米関税協議を受けてアメリカ生産の日本車の輸入、いわゆる逆輸入車の販売の予定も告知された。それがトヨタの「カムリ」「ハイランダー(日本名:クルーガー)」「タンドラ」だ。また、ホンダも「パスポート」「インテグラ」を検討しているというのだ。
そうした顔ぶれを見ると、オフロード色の強いモデルが多いことに気づく。「ランドクルーザーFJ」「ハイラックス」「パトロール」「パジェロ」「タンドラ」「パスポート」という面々だ。今回は、その中でも、使いやすいサイズ感でヒット濃厚な、ミッドサイズの「ランドクルーザーFJ」と「パスポート」の2台を紹介しよう。
トヨタの「ランドクルーザー」シリーズは、70、250、300の3つのシリーズモデルを展開しているが、2026年中頃を目処にランドクルーザーFJが加わる予定。FJはシリーズで最も小型のモデルとなる。
ホンダは「オフロードにも強いんだよ」ということを示すために、今年のオートサロンに持ち込まれたのが、北米工場で生産されて現地では大人気のパスポート。2024年に登場した現行モデル(4代目)は本格的なオフロード走行を強く意識した設計を採用しており、エクステリアも無骨で力強いスタイリングが与えられている。
キュートな丸目2灯の「ランドクルーザーFJ」
トヨタの「ランドクルーザーFJ」は、ランドクルーザー・シリーズの末弟として、2025年10月に世界初公開された。日本での発売は、2026年年央とアナウンスされている。
ボディサイズは、全長4575mm、全幅1855mmと、平面寸法はミドルSUVとして平均的な大きさ。全高は1960mmとかなり高め。直方体ボディを採用している。
プラットフォームには堅牢なラダーフレームを採用。次期ハイラックスと同じIMV系が用いられるが、シャシー&ボディまわりの構造には250の開発からフィードバックされたノウハウも注入されるなど、ランクルの入門モデルとしてふさわしい悪路走破性能が与えられる。
ちなみにトヨタからの説明はないけれど、車名にある「FJ」は、丸目2灯のキュートなルックスで人気を博した、2010年発売の「FJクルーザー」に由来することは間違いないだろう。「ランドクルーザーFJ」も丸目2灯のキュートなルックスが、シリーズの中でも抜きんでた個性と言える。
大型センターディスプレイを配し、現代的なコックピットへと進化。タフな道具感が漂うのは歴代ランクルと同様だが、USBポートなどの今風の実用装備も備え、若年層やエントリーユーザーにも扱いやすい実践的なキャビン空間に仕上げられている。
シートレイアウトは、2列シート5人乗り仕様。運転席・助手席は、ホールド感のあるデザインで、長時間の運転でも快適性を維持できるタイプ。3人掛けのリヤシートは右6:左4の分割可倒式でスライドも可能。
バックドアは横開き式を採用。シート格納時は段差が出るタイプ。
メカニズム的な特徴は、全長が4575㎜と短いこと。ホイールベースも「ランドクルーザー250」より270㎜も短く、最小回転半径5.5mの取り回しの良さを実現する。プラットフォームは、ラダーフレームのIMVシリーズと同じもの。「ランドクルーザー70」と同様のホイールアーキュレーション(タイヤの浮きづらさ)を備えており、悪路走行の性能は相当に高そうだ。エンジンは2.7リッターのガソリンで、6速ATとの組み合わせ。最高出力120kW(163PS)/246Nmのパワーを誇る。
エンジンは、ランドクルーザー250にも採用されている直列4気筒2.7LのNAガソリン。250系と同スペックなら最高出力は163馬力、最大トルクは25.1kg-mになる。トランスミッションは6速AT。
価格は、「ランドクルーザー70」が480万円、「ランドクルーザー250」が520~735万円と考えると、「ランドクルーザーFJ」は、もう少し安い450万円くらいになることを期待したい。
ランドクルーザーFJは、シリーズとしては2024年に復活した70に近い「実用ランクル」という立ち位置となる。
ホンダ史上最強のオフロードカー「パスポート」
ホンダが2025年1月の東京オートサロン2026にて、日米協議の結果から、日本への逆輸入車として検討しているとされたのが「パスポート」だ。
ボディ寸法は、全長4.8ⅿ超、全幅も2ⅿを超えるアメリカンサイズ。これまでのホンダの国内ラインナップにはなかったタイプだ。オートサロンに展示されていたのは、北米仕様の上級グレード「トレイルスポーツ エリート」。
「パスポート」は、ホンダのアメリカ市場で販売するミッドサイズSUVで、2025年に最新の第4世代がデビューしたばかりだ。全長が190.6インチ(約4841㎜)あるので、日本的には、かなり大柄に見えるはず。最高出力285馬力の3.5リッターV6エンジンと10速ATを搭載し、トルクベクタリング機能付き4WDシステムを搭載する。
設計年次の新しさもあって、装備機能もモダンさが際立つ。12.3インチタッチスクリーンなどの最新デジタルインターフェースも備わっている。
特徴は、ホンダが「ホンダ史上最もオフロード性能に優れたSUVです」とリリースで紹介するように、優れたオフロード性能と言える。実際に、北米の『Gear Junkie』誌にて、「アドベンチャー・ビークル・オブ・ザ・イヤー」に認定されるなど、現地でも高い評価を得ているのだ。
北米での「パスポート」の価格は約4万5000ドル(約702万円)で、現地で約3万5000ドル(約546万円)の「CR-Vハイブリッド」や、4万2000ドル(約655.2万円)の「プレリュード」よりも高価な値付けだ。そう考えると、日本での「パスポート」の価格は650万円以上になるのではないだろうか。
パワーユニットは3.5リッターのV型6気筒エンジンを搭載。285hp/262lb-ft(約36.2kg-m)のスペックに10速オートマチックトランスミッションが組み合わされることで、巨体を軽快に、かつ力強く加速させる。荒れた地形でも高い走破性を発揮するトルクベクタリングAWDシステム(第2世代)も搭載するなど、悪路をねじ伏せるタフオフローダーという視点でも面白い存在だ
2台のキャラクターの違いは?
「ランドクルーザーFJ」はシリーズ末弟とはいえ、「ランドクルーザー」の名に恥じぬ、高いオフロード性能が期待できる。同じように「パスポート」は、ホンダ史上最もオフロード性能に優れているモデルだ。オフロードでの走りは、どちらも高い実力を備えていることは間違いないだろう。
ただし、サイズ的には、「パスポート」の方が「ランドクルーザーFJ」よりも一回り大きく、価格も上になりそうだ。「パスポート」は、日本のホンダのランナップで、最上位に近い存在になるはず。一方、「ランドクルーザーFJ」はあくまで末弟。その違いが価格に反映されているのだろう。
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