2ペダル全盛時代に、あえて6速MTスポーツセダンを追加する理由とは? ホンダ「新型シビックRS」プロトモデル試乗インプレッション

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

気持ち良すぎるハンドリングは、タイプR以上に楽しい! 

「より軽快かつ意のままに操る喜び」

発表されたリリースにはそんな言葉が踊っているが、多くのホンダファンが知りたいのは「タイプRとの違い」だろう。同じ6速MTを搭載するが、パワートレーンは、RSは言明はされていないが恐らく1.5Lターボ、タイプRは2Lターボ、さらにタイプRには空力性能の向上を意識させる専用スポーツエアロが装着されるなど、走りの特性が異なるのは確実だ。

そんな想いを抱きながら、実際にプロトモデルを試乗してみたのだが、走りだしてすぐに、走りの楽しみやファントゥドライブにこだわる実践派にとって、見逃せないモデルであることを実感することができた。

まず標準車に対して、サスのバネ定数の大まかな変更や、雰囲気を盛り上げる内外装の演出を加えただけのスポーティ仕様ではないということ。軽量フライホイールの採用や、ブッシュ類のチューニングまで変更したサスなど、操り心地に関わる部分に細かく手を加えている。

同時に実施されるマイナーチェンジでフェイスリフトも実施。ボンネットとフロントバンパー部をシャープな造形に変更することで、精悍さを強めたスポーティシルエットのイメージを強めている。

RS専用のブラック加飾で精悍なイメージをプラス。ブレードパンパーなどの装着でフロントイメージも変更されている。

アルミホイールは5つのツインスポークで構成される18インチ。タイヤサイズは235/40R18。

日常の速度域でも良さが伝わる、コントロール重視のスポーツシビック

標準の1.5Lターボ車との違いとして、第一に挙げられるのはフットワークだ。軽負荷域から限界まで大きく変わらない素直な操縦特性や操舵感はそのままだが、立ち上がりから的確にラインに乗っていけるコントロール性が明らかに高まっている。このタイトターンから高速コーナーまで操縦感覚の変化が少ないハンドリング特性は、ホンダのフットワークの考え方のお手本と思えるほど洗練されている。

タイプRとの比較では、全開で攻め込まなくても、クルマを操る心地良さを得られることが大きな違い。限界走行でこそ本領発揮となるタイプRに対して、シビックRSは程よい速度域でもファントゥドライブを得られる。

こういった特性ゆえに、標準車よりも引き締まったサスチューンでもサスのストロークはよく動いてくれる。当然、乗り心地もスポーティをアピールしながらも良好だ。 

ノーマルシビックをベースに、赤と黒を使ったハイコントラストで描かれるブラック基調のインストルメントパネル。

6速MTだけの設定はもったいない、2ペダルのRSも欲しくなる

1.5Lターボのエンジンは標準系から大きく変わっていない。ダウンサイジングターボらしく低回転から太いトルクが立ち上がり、それでいて6000回転超まで軽く回ってくれる。このエンジンとしての素性の良さを軽量フライホイールの6速MTで生のままに味わえることもシビックRSの売りのひとつだ。

ただし、個人的にはMT限定としてしまうのはもったいないと感じてしまう。メカニカルな変更点を見る限り2ペダル不可とは思えず、2ペダルのRSの追加はアリと思う。

「攻めたい」ではなく「何処でも運転を愉しみたい」、あるいは同乗者に不快な思いをさせずにファントゥドライブを求めるにもちょうどいい。パートナーとともに運転とツーリングを愉しむには最適な一台だ。

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