
8代目アルトをベースに開発発売された5代目アルトワークスは、まさに現代に蘇ったボーイズレーサー。軽量ボディに64馬力の組み合わせから生まれる動力性能は、スポーツを名乗るにふさわしいポテンシャルを持つ。2021年末に販売終了してからも中古車マーケットでは高い人気を集めている一台だ。
●文:月刊自家用車編集部
〝安くて速い〟走り好きにはたまらない魅力を持つホットハッチ
スズキ
アルトワークス
発売日2015年12月
価格:150万9840〜161万7840円(2015年12月当時)
約15年ぶりに復活した5代目アルトワークス(ベース車両は8代目アルト・ターボRS)は2015年に発売。
パワーユニットはターボRSと同じ64PS仕様のターボエンジンだが、最大トルクは10.2kg・mとターボRS(10.0kg・m)よりも若干向上。トランスミッションも5段変速のAGS(オートギアシフト)車に加えて、5速MT車も設定されている。駆動方式はFFのほか、4WDも設定されている。
装備機能も充実。スポーティーなハンドリングを実現する専用チューニングのKYB製ショックアブソーバーやドライバーの身体をしっかりと支える専用レカロシートを採用するなど、走りの質感を高める専用装備が奢られることで、多くのファンを持つアルトワークスらしい高性能モデルに仕立てられている。
ターボRSと同様に補強を加えた高剛性の車体を採用。WORKSロゴをあしらったフロントバンパーアッパーガーニッシュやボディーサイドデカールなどで、外観は差別化されている。
2021年に惜しまれつつも販売終了したが、今でも中古車として大人気を集めている
2015年12月に発売開始。同年3月に発売されたアルト ターボRSは5速AGS車のみだったが、アルトワークスにはショートストローク化された専用開発の5速MT車も設定されている。
主なアルトワークス専用装備
【エクステリア】
ブラックメッキヘッドランプ
カーボン調フロントバンパーアッパーガーニッシュ「WORKS」
フロントバンパーロアガーニッシュ[ガンメタ]、リヤバンパーロアガーニッシュ[ガンメタ]
ボディーサイドデカール「WORKS」
15インチアルミホイール[ブラック塗装]
フロントブレーキキャリパー[レッド塗装]
車体色は、力強い印象の「スチールシルバーメタリック」をはじめ、全4色を設定
【インテリア】
本革巻ステアリングホイール[レッドステッチ]
エアコンサイドルーバーリング[サテンメッキ調]、エアコンセンタールーバー[サテンメッキ調]
シフトブーツ[レッドステッチ]
ステンレス製ペダルプレート
レカロシート(フロント)
| スズキ・アルトワークス(2015年 5速MT 標準仕様・4WD) | |
| 全長☓全幅☓全高 | 3395×1475×1500mm |
| ホイールベース | 2460mm |
| 車両重量 | 720kg |
| エンジン | 658cc直3DOHCターボ 64PS/10.2kg・m |
| サスペンション | マクファーソンストラット(フロント) トーションビーム(リヤ) |
| ブレーキ | ベンチレーテッドディスク(フロント) リーティングトレーリング(リヤ) |
| タイヤ | 165/55R15 |
2018年12月に一部使用変更を実施。5速AGS車に衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」などを標準装備したほか、車体色には、鮮やかな「ブリスクブルーメタリック」を新設定した。
2021年12月に9代目アルトが登場したタイミングで、アルトワークスは販売終了となった。
その後、中古車マーケットではかなりの人気を集めており、スポーツ専門店が手掛けたチューンドモデルともなると250万円後半のプライスが付く個体も珍しくないほど。走行距離が少なければ、新車以上の価格相場で取引がされている。
2018年12月に追加されたボディカラー「ブリスクブルーメタリック」。
【試乗インプレ】メリハリの効いた加速フィールが真骨頂、5速MT車がベストチョイス
ターボエンジンは他モデル同様、軽自動車規制いっぱいの64PSになるが、車両重量は670kg(5速MTのFF車)と軽自動車の中でも圧倒的な軽さを誇る。そのパワーウェイトレシオは10.47と、走り自慢の軽スポーツ勢の中でも屈指の数値だ。
絶対的な速さは乗用スポーツに及ばないが、最新ターボらしいメリハリの効いた加速フィールと軽快なハンドリングのおかげで、手応えのある走りが楽しめる。5速AGS車にはパドルシフトが備えられているが、自動変速は少々癖が強い。マニュアル操作でギアを選んでいける5速MT車でこそ真価を発揮するモデルといえる。
サスの味付けはスポーツ系らしく硬めで、タイトコーナーの安定性を強く意識したセッテイング。乗り心地はやや難ありで特に後席は路面の段差がかなり気になってしまうが、これも味のひとつ。クルマを操る楽しみを味わえる希少な一台だ。
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