
2024年9月に発売が予定されている「シビックRS」。ただ、この手のクルマが大好きな好き者ならば、「タイプR」との棲み分けはどうなるのか? と思うだろう。はたして、シビックRSとシビックタイプRは似て非なる存在なのか? ここではそれぞれのモデルに与えられた専用の装備や、予想されるスペックを元に違いを検証してみたい。(プロトモデル試乗記はこちら→https://jikayosha.jp/2024/08/01/197733/)
●文:松村透
シビックRSは「クルマを操る喜びをもっと気楽に楽しんで欲しい」そんな想いが詰まった野心的なクルマ
2021年にデビューした11代目シビック。2024年9月に実施されるマイナーチェンジで、初代モデルにも設定されていた「RS」が復活する。このRSは「ロードセーリング」の頭文字を取ったものだ。
この秋に予定しているマイナーチェンジの目玉として投入されるシビックRS。搭載されるエンジンの排気量は現時点では非公表だが、エンジンルームを見る限り1.5Lターボで間違いない。そしてトランスミッションは6速MTのみと、CVTの2ペダル車も用意されない。さらにスポーティさを演出するべく数々の専用装備もプラスされるなど、昭和の終わりから平成の初めにかけて少しヤンチャしていたクルマ好きにとっては、ニヤリとするような贅沢な内容が与えられている。ちなみにこのRSは〝ロードセーリング〟を意味しており、ホンダはこのモデルネームに「悠々と気持ちよくハイウェイを走る」という想いを込めているというそうだ。
2021年にデビューした11代目シビック。2024年9月に実施されるマイナーチェンジで、初代モデルにも設定されていた「RS」が復活する。このRSは「ロードセーリング」の頭文字を取ったものだ。
新型シビックRSに搭載されるエンジンの排気量は1.5Lターボが予想されている。シビックRSのトランスミッションは6速MTのみ。誰でもスパッと決まるシフトチェンジを追求したという。シフトブーツやノブだけでなく、シフトパターンの文字の色にも赤が採用されている。
そんなシビックRSを眺めた時、最初に気になるのは外観まわりだろう。普通のシビックとは差別化したい思惑もあって手を加えた部分も多め。ざっとピックアップしてみても、ドアミラーやヘッドライトリング、サッシュ/ドアモールディング、前後エンブレム、アルミホイール、シャークフィン、エキパイプフィニッシャーなどがブラックアウトされることで、より精悍かつシャープな印象が強まっている。
テールゲートには赤い文字で加飾された「RS」のエンブレムが配される。
走りに直結する部分も、開発陣のこだわりぶりが際立つ。マニュアル車の評価を大きく左右する〝操る気持ちよさ〟を追求すべく、アクセル入力に対してのレスポンス性を高めてくれるシングルマス軽量フライホイールや、質感の高いシフトフィールを実現するレブマッチシステム、さらに専用サスペンションやステアリング、ブレーキを採用している。標準車のシビックにもマニュアル車が用意されているが、細かな部分に専用設計を用いることで、まるで別物に仕立てているのが印象的だ。
ホンダ自身も想定しているターゲットユーザーを、「相当な好き者」と考えていることもあって、その他の部分も凝った演出が目白押し。
エンジン特性やステアリングの操舵感、メーター表示の設定をユーザー好みに変更できるドライブモードに「ECOM」「NORMAL」のほか、走り重視の「SPORT」と個別で設定を選べる「Individual」モードが追加。さらに、ドアを閉めたタイミングでシビックRS専用の音と演出によるウェルカムアニメーションが流れる。
シビックRSのダッシュボード。エアコン吹き出し口のピンストライプが赤くペイントされるのはRSのみ。シビックRSの3ペダル。シングルマス軽量フライホイールの採用により、レブマッチおよび素早い回転落ちを実現している。
シビックRSのステアリング。シートと同様に、ステッチは赤となる。今回、シビックRSのドライブモードに追加された「SPORT」。ダイレクトかつ力強い走りを体感できるセッティングとなっている。
「究極のピュアスポーツ性能」を追求したシビックタイプRは、規格外のクルマ
一方、シビックタイプRは、2022年9月にデビューしたホンダの高性能スポーツの代名詞的なクルマ。現行シビックは11代目になるが、タイプRとしては6代目となる。
「FF最速&圧倒的ドライビングプレジャーで“Ultimate SPORT”を極める」をコンセプトに掲げるだけに、スペックも過激だ。先代モデルにも搭載されていたK20C型と呼ぶ2Lターボエンジンをベースに、各部を専用にリファインしたユニットは243kW(330ps)/420Nmを発生。ホンダ自ら「究極のVTECターボエンジン」を標榜するにふさわしい、特別なパワートレーンを搭載している。
シビックタイプRのエンジンは、先代モデルにも搭載されたK20C型2Lターボをベースに各部がリファインされ、243kW(330ps)/420N・mを発生する。エアコン吹き出し口にはタイプR専用のバッチが配される。シリアルナンバー入りとなり、オーナーの所有欲を満たす装備といえるだろう。
外観もタイプR専用のデザイン。フロントグリル&ダクトを備えたフロントフェンダーやサイドシルスポイラー、大きく張り出したリヤフェンダー、センター3本出しマフラー&ディフューザー、アルミ製のステーを採用したリヤスポイラー、19インチアルミホイールを装備する。そのスタイリングは、RS以上にまるで別物に見えるほどだ。
内装も、黒を基調にレッドカーペットを採用。専用のバケットシートやシートベルトなど、タイプRの世界感を表現するべく随所に赤を配色した鮮烈なコントラストが与えられている。タイプR伝統のティアドロップ型のアルミシフトノブなど、特別なコクピットに仕立てられている。
フロントはシビックタイプRのバケットシートが2脚装着される。リヤシートの表皮にもホールド性を高めたスエード調となる。シートベルトまでもが赤いのもタイプRならではの特徴だ。
機能ユーティリティで面白いのが、タイプR専用データロガー「Honda LogR」を車載ナビにアプリとして搭載できること。このアプリを活用すれば、リアルタイムにクルマのコンディションを把握できるほか、タイプRのオーナー同士で情報を共有することも可能。レーシングマシンさながら魅力を持つ、タイプRらしい装備といえる。
シビックタイプRのダッシュボード。カーペットやシートなど、シビックRSと比較すると、広範囲に赤を採用している領域が分かるだろう。メーターパネルのグラフィックもタイプR専用となる。
シビックタイプRの3ペダル。レッドカーペット&フロアマットを採用しているため、3ペダルとフットレストの存在感が際立つ。
シビックタイプRのステアリング。タイプRであるを象徴する赤い「H」マークが目を引く。グリップの部分にもスエード調の表皮が採用されている。
ホンダ自ら「チェンジしたくてたまらないシフトフィール」を追求したという6速MT。シフトノブはティアドロップ型のアルミシフトノブを採用。
普通のユーザーが気負いなく走りを楽しめるシビックRS。「絶妙な落としどころ」に否応にも魅力を感じてしまう
このようにRSとタイプRは、走りを共通のキーワードにしつつも、目指す方向は大きく異なる。タイプRがサーキット走行も視野に入れた絶対的な速さ、ストイックなスポーツカーを目指しているに対して、RSは速さよりも操る喜びを感じやすい、ファントゥドライブ的な面白さが楽しめるスポーツモデルに仕立てられている。それを実現するために、標準車とは異なる数々の専用装備が与えられている点は実に魅力的だ。
タイプRほど過激なスペックや外観は求めていないが、この「絶妙な落としどころ」に胸の高鳴りを覚えるなら、タイプRではなく、シビックRSを愛車に選ぶという選択肢も”大いにアリ”だろう。
正式発売時に発表される価格次第だが、この時代のシビックを代表するモデルとして名を残す可能性も十分ありえると思う。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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