エアコン、ついに逝ってしまったか……? 修理を依頼する前にやれる診断テクニックとは?

カーエアコンの冷媒の圧力測定や効きの判定を行うには、専用のゲージや経験が必要になるため、アマチュアには手強い作業なのだが、実は簡易的に判定ができるDIY診断用のキットが販売されている。エアコンの不調原因のひとつを浮き彫りにすることができるので、ぜひ試してみてはいかがだろうか?

●文:オートメカニック編集部

カーエアコンのチェックは専用ツールないと測定できない、そう思っていましたが……

カーエアコンの診断には、専用のゲージや温度計、湿度計などがないと、正確な判定は難しい。ところが最近はある程度の状態をチェックできるキットが販売されている。

今回試してみた診断キットは、低圧側の冷媒圧力を測るACチェッカー(ガス検知器)と、内部を循環しているオイルの色をサンプリングするため3個のオイルチェッカー、吹き出し口の温度を測る温度計がセットになっている。

高価なマニホールドゲージを使わなくても、DIYで冷媒の圧力や冷えの状態の良否判定ができることがミソ。オイルチェッカーは使い捨て型だが、通販で簡単に入手できるようだ(オイル量の判定用)。

オイルチェッカーは使い捨てなので、予備も含めて準備しておくのがオススメ。

このゲージはエアコンの低圧側の冷媒圧力を測るために必要。

冷媒の圧力低下が原因なのか? 不調の原因を簡易的に診断できる、なかなかのスグレモノ

この製品は、カーエアコンの冷媒の圧力を簡易的に診断することで、冷媒が不調の原因かどうかを判断できるもの。なお測定時には、チェッカーの当て方によって冷媒が皮膚に直接触れることを防ぐため、長袖や手袋、ゴーグルを着用するのが鉄則だ。

やり方としては、まずはエンジンを掛けて、エアコンの風量を最大にして30秒ほど放置。そしてエンジンを止めて、ACチェッカーを低圧ポートにあてがった時のゲージの値を読み取る。

そのあと、再度エンジンを掛けて、こんどはエアコンONの状態で設定温度を20℃以下にして、風量を最大した時の吹き出し口の温度をチェックする。この時の温度を【10℃以下】【10〜12℃】【12℃以上】の3パターンで分類し、付属する表と照らし合わせて良否判定を行うことになる。

たとえば、温度計は10℃以下で、圧力がLとHの中間にあれば正常(だろう)と判断でき、Lの位置にあるならば冷媒がやや不足している(だろう)と判断できる。

あくまでもこの診断結果は簡易的なものなので、正確な診断はプロに任せるべきだが、エアコンガスを補充したのに問題が解決していない……、といったエアコントラブルでやりがちなもったいないメンテ費用を避けることができそう。価格も比較的リーズナブルなので、使い方次第でかなり役立つアイテムだ。

使い方はバー型のタイヤエアゲージと一緒。まずは中央のバーを軽く押し込んでおく。引っ張り出せば目盛りの状態を見ることも可能。作業時には手袋やゴーグルなどの安全装備を用意しておこう。

点検する際は外気温度は15〜35℃で行うのが望ましい。ブロワーの風量を最大にして30秒放置したタイミングでエンジンを止めて、低圧ポートに1〜2秒ほどACチェッカーを押し当ててゲージを読み取る。次にエンジンを掛け、エアコンをオンして設定温度20℃以下で約3分間計測して、その際の温度を読み取る。

正常な場合は、LとHの中間のハッチング部が現れるはずだ。なお冷媒の圧力は環境温度でも大きく左右されるので、これはあくまでも簡易的なものと考えるのがベター。正確な診断はプロにまかせるのがいい。

使用したのは、ヴィプロス チェックキット ACチェッカーキットという製品。HFC-134a車のカーエアコンシステムに付いている低圧バルブを利用して、エアコンシステム内の低圧側の圧力をチェックし、温度計でエアコン吹き出し口の温度をチェックすることができる。製品ページはこちら→https://www.hartcom.jp/vs_559/index.html

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