
2023年12月の発売以来、強力ライバルがひしめく中でコンスタントに売れ続けているスズキ・スイフト。走りのさらなる進化や先進装備の充実など、人気を集める理由はたくさんあるのだが、その中でも見逃せないのが、実用車としての使いやすさがしっかりと考えられていること。ここでその魅力ぶりをチェックしてみたい。
●文:まるも亜希子(月刊自家用車編集部) ●写真:月刊自家用車編集部
こだわりのキャビン設計で、実用性能をさらにアップ
走って楽しいコンパクトカーの代名詞的な存在として、長く愛されているスズキ・スイフト。
世界に通用するコンパクトカーを作りたいと、欧州をはじめ世界の道でテストを繰り返すなど、日本車でありながらどこかヨーロッパの香りが漂うところも、ファンの心を掴んでいる理由のひとつだろう。
そんなスイフトの最新モデルは、さらにスタイリッシュになったデザインに加え、実用性の高さに磨きをかけて登場した。外観はボンネットがラウンドしてボディ全体を包み込むような形状が特徴的で、張り出し感を強調するL字モチーフが印象的なフロントマスクに、キリリと前を見据えるヘッドライトを組み合わせることで上質感を添えている。
【スズキ・スイフト HYBRID MZ(2WD)】■主要諸元/全長×全幅×全高:3860×1695×1500mm ホイールベース:2450mm 車両重量:950kg パワーユニット:1197cc直3DOHC(82ps/11.0kg-m)+モーター(2.3kW/60Nm) トランスミッション:CVT WLTCモード総合燃費:24.5km/L ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク/Rディスク サスペンション:Fダブルウィッシュボーン式/Rトーションビーム式 タイヤ:185/55R16 ●価格:216万7000円
走りを想起させる造形ながら、外から見ても室内の広さを感じさせるパッケージング。伝統的な2BOXスタイルの魅力も健在だ。
運転席に乗り込んでみると、やはりドライビングの楽しさを予感させる、一体感あふれるコックピットは変わらない。操作しやすいよう、少しドライバー側に角度がついたセンターパネルなど、細やかな配慮がなされていることは、実用性に配慮してきたモデルらしいコダワリだろう。
さらに肌触りのいいシートに好感。ゆったりとしたサイズながらもサイドサポートがしっかりあるタイプで、身体にそっとフィットしながらも、右へ左へと揺さぶられるようなワインディングでも、安心して身体を預けられる。
中央にディスプレイを配置する、最新のレイアウトに進化。
高速長距離も得意。場所を選ばぬ万能タイプ
今回はそんなスイフトで、秋晴れの休日にちょっと足をのばして海までドライブしてみた。
まず感じたのは、都心の混み合った街中での扱いやすさがありがたい。ロングホイールベースながらも、最小回転半径が4.8mと小さいので、狭い路地もスイスイと余裕。
パワートレーンは、新開発の1.2Lの3気筒エンジンにモーター機能付発電機「ISG」を組み合わせたマイルドハイブリッドで、信号が多くストップ&ゴーが続くようなところも、発進が軽やかでストレスフリーだ。
そして予想以上に快適なのが高速走行。新開発されたCVTのおかげもあり、高速道路に入るとさらに伸びやかな加速フィールが楽しめるなど、とにかくリラックスして走ることができる。これは、先代比で約4.6%も低減した空力性能の恩恵も大きいはずだ。
広々とした後席がもたらすリラックス空間に注目! ボディを5ナンバーサイズに抑えながら、ゆったりとした後席スペースを確保。ピラーを細くしてガラスエリアを広げたことや、キャラクターラインを低くしたことで、空間の抜け感を出し、座っていて心地よいスペースを実現している。
ステアリングも落ち着きがあるタイプ。低速域では軽めで扱いやすさがありながら、高速域ではしっかりと落ち着いてくれるので、乗り心地にも安定感がある。軽量高剛性プラットフォーム「ハーテクト」や、フロントスタビライザーの変更、リヤサスペンションストローク量増加などで作り込んだ足まわりが効いていると感じる。
ミリ波レーダー/単眼カメラ/超音波センサーを組み合わせ、従来より検知エリアが拡大された新開発の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートII」をはじめ、スズキ初のドライバーモニタリングシステムも搭載され、眠気や脇見を検知して知らせてくれる機能も頼もしい。
広い間口と低い床面設計がもたらす、使いやすいラゲッジがとにかく便利。サイズ以上に広さを感じる設計のおかげで、通常時の荷室容量は265L(VDA値)と、コンパクトクラスとしては最大級の大きさ。大柄な荷物もらくらくと積載できる。開口部の余裕も十分な広さをとっており、荷物の出し入れもやりやすいことも美点だ。
デザインも機能も価格も“ちょうど良い”
だんだんと緑が多くなってきた景色を流しながら、キラキラとした海に到着。こんな場所で非日常を楽しむ道具を積みたい時にも、スイフトのラゲッジの出来の良さを実感できる。
開口部の地上高が705mmと低く、重い荷物の積み込みもスムーズ。現行型は荷室高を875mmにアップし、横幅も開口部が1000mm、最大で1155mmを確保しており、より大きな荷物も積みやすい。
大画面でくっきり見やすくなった純正ナビは、絶対に選ぶべき装備のひとつ。先代まではコンソール内臓タイプだったが、現行型はダッシュ上中央部に移動。撮影車のHYBRID MZは大画面9インチのディスプレイオーディオが標準装備だが、OPで追加できるナビへのアップデートがオススメ。操作感も良好で絶対に満足できるはず。
そして装備機能の充実ぶりも嬉しいポイント。24時間365日対応のオペレーターサービスをはじめ、エアコン操作や駐車位置確認など、機能が充実したスズキコネクトを設定したことは見逃せない。大きなディスプレイでナビも見やすく、スズキ国内初のワイヤレス充電器に加え、あえて若い世代に人気のあるCDチェンジャーを設定したところに、遊び心を感じさせる。
こんなに進化したスイフトが、200万円を切る価格から用意されているという、コスパの高さにも驚くばかり。日常でも非日常でも、しっかり楽しく使い倒すことができるモデルだと言える。
街中からロングドライブまで、頼もしすぎる最新ハイブリッドが心強い。排気量こそ先代と同じ1.2Lを採用しているが、エンジンそのものは新設計。ハイブリッドシステムやCVTの制御を最適化することで、燃費と動力性能の両面を高めている。出来の良いシャーシもあって、どこでも質の高い走りが楽しめるのだ。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(スイフト)
使いやすさにこだわった、実用パッケージングの魅力は不変 近年、このクラスはSUV系の台頭の影響もあって、スタイリングや2名乗車を重視して開発されるモデルが増えているが、スイフトは初代モデルから一貫とし[…]
新型スイフトに採用されたカーナビゲーションの特徴 新型スイフトに採用されたカーナビゲーションは、ダッシュボードの形状に合わせたフレームデザインの9インチ高精細HDディスプレイ搭載モデルで、見やすい地図[…]
「クルマと日常を愉しめる」という新たな価値感をプラス 今回、導入される新型「スイフト」は、歴代モデルが培ってきたデザイン性や走行性能の魅力に加え、安全装備や利便系装備を強化。「クルマと日常を愉しめる」[…]
マイルドハイブリッドモデルと内燃機モデルを用意 特設サイトには、発売時期や価格、装備設定は記載されていないが、グレード構成や装備&機能の概要など、かなりの情報が公開されている。さらにスズキのディーラー[…]
レーシングドライバーが直接指導 本イベントはウエット路面のパイロンコースを、無線機を使用してインストラクターからアドバイスを受けながら走行。コースを覚えて、まずは「クルマを滑らせてみる」ことからスター[…]
人気記事ランキング(全体)
見た目では用途がわかりにくい、意外性のあるカー用品 世の中には多種多様のカー用品があり、奇抜なものから思わずおっと唸ってしまうようなアイテムがたくさんある。カー用品のお店やECサイトでカーグッズを探っ[…]
コンパクトに収まるベース仕様 RS1+のベースとなるのは、スズキ・エブリイワゴン。標準設定としてベッドマット、カロッツェリアの楽ナビ、そして諸費用を含む構成になっている。軽キャンピングカーを求める人に[…]
大人が手にする秘密基地 N-VAN コンポの最大の魅力は、まるで子供の頃に夢見た秘密基地を現実にしたような空間にある。助手席側の大開口部とフラットな床が生み出す自由度は抜群で、サイドオーニングを展開す[…]
全方位型のツインタイプの小型ファン 先日、ヘッドレストに装着するタイプの扇風機を愛車に導入したのだが、ファンとしてはオーソドックスな丸型タイプの扇風機も使う機会があったので、便利そうな2種を紹介してい[…]
日本車が手本とした、美を優先する伊デザイン。その代表が117クーペ 日本において、商品のデザインが売れ行きを大きく左右することに最初に気づいたのは、松下電器器具製作所(後の松下電器産業、現パナソニック[…]
最新の投稿記事(全体)
洗練されたデザインと先進機能が融合 新型eKスペースは、親しみやすさとモダンで高品質なエクステリアデザインや使いやすさと先進性を高めたインテリアデザイン、街中での取り回しの良さ、ゆとりのある室内空間を[…]
鮮やかなレッドのアクセントが映える特別なデザインをプラス ジープ コマンダー トレイルエディションは、リミテッドグレードをベースに、ブラックとグレーを基調としたボディに鮮やかなレッドのアクセントが映え[…]
デリカのDNA&魅力が軽モデルに凝縮 新型デリカミニは、デリカの名にふさわしいタフなデザインと、軽自動車の枠を超えた快適な走行性能、先進の安全技術を兼ね備えているスーパーハイト軽ワゴン。 コンセプトは[…]
構造用接着剤を延長し剛性を強化、より過酷な走行環境に対応 今回実施される改良では、スーパー耐久シリーズ参戦で得た学びを活かし、さらなる過酷な環境での走行に耐えるため、基本性能の向上に重点を置いている。[…]
走りへの期待を高める特別な内外装を採用 ヴェゼル e:HEV RSは、「URBAN SPORT VEZEL(アーバン スポーツ ヴェゼル)」をグランドコンセプトに、デザインと走りのスポーティーさを追求[…]
- 1
- 2