
昨今の国産旧車/ネオクラシックカーの相場には、驚きを通り越して絶句するレベルですらある。もともと高値安定だったモデルもあるが、(後の修理代はともかく)車両本体価格だけであれば100万円以下、さらには50万円以下で購入できたクルマも少なくない。それがいまや、新車時の価格を優にオーバー、数倍の値を付けるケースも珍しくない。そこで今回は1980年代にデビューしたスポーツ/スポーティモデルを軸に、驚きの値段を付けているクルマ5車種をピックアップしてみた。
●文:松村 透/月刊自家用車編集部
トヨタ カローラレビン/スプリンタートレノ[AE86]
- 生産期間:1983年5月~1987年4月
カローラレビン
- 新車時価格:113.3万円〜154.8万円
- 中古車の価格帯:155万円~1080万円
スプリンタートレノ
- 新車時価格:116.5万円〜156.3万円
- 中古車の価格帯:198万円~798万円
クルマ好きであれば知らない人はいない(?!)であろう、AE86型カローラ レビン/スプリンター トレノこと”ハチロク”。ボディタイプは大きく分けて4タイプに分類される。現役当時はカローラ レビン(3ドア)が1番人気であったが、”頭文字D”以降はスプリンター トレノ(3ドア)がハチロクのイメージリーダー的存在となった感がある。
後継モデルであるAE92型の駆動方式がFFとなったため、ハチロクの相場は比較的高値であったが、現在はおおむね、約200万円台〜となっている。高価格帯のものは、もはやコレクターズアイテムと化しているのでは……。
カローラレビン
スプリンタートレノ
マツダ サバンナRX-7[FC3S]
- 生産期間:1985年10月~1991年11月
- 新車時価格:197.1万円〜323万円
- 中古車の価格帯:169万円~878万円
通称”FC(エフシー)”こと2代目サバンナRX-7。マツダが誇るロータリーエンジン搭載車として熱狂的なファンを獲得。後継モデルであるFD3S型の車両本体価格が一挙に高くなったこともあり、FC3S型は根強い人気を誇った。限定モデルである”アンフィニ”も計4回限定販売されたほか、カブリオレモデル(FC3C)も追加され、ヴァンケルスパイダー以来となるロータリーオープンスポーツとして注目された。
FC3S型も、かつては100万円以下で手に入る個体が、比較的多い印象もあった。しかし現在は100万円台後半〜。フルノーマルの個体ともなれば、400万円台の価格も珍しくない。
サバンナRX-7
サバンナRX-7カブリオレ
ニッサン レパード[F31]
- 生産期間:1986年2月~1992年5月
- 新車時価格:232.1万円〜492万円
- 中古車の価格帯:165万円~439万円
このレパードと切っても切れない関係といえば”あぶない刑事”シリーズが挙げられる。劇用車としてゴールドツートーンのレパード アルティマ(前期型)およびダークブルー(前期型)、アルティマ ツインカムターボ(後期型)が登場している。2024年5月にも、8年振りとなる映画”帰ってきた あぶない刑事”が上映され、ゴールドツートーンのレパードが登場。”あぶ刑事”ファンを大いに熱狂させた。
“あぶ刑事”効果や専門店の存在もあり、レストアされた個体も流通している。ほかの車種と比較しても、価格帯の上限はそれなりに高めだ。安い中古車を手に入れ、故障や修理で悩まされ続けるよりも、仕上がった個体を所有した方が長く楽しめるかもしれない。
レパード
レパード
ホンダCR-X[EF8型]
- 生産期間:1987年9月~1992年1月
- 新車時価格:111.6万円〜158.3万円
- 中古車の価格帯:175万円~380万円
いわゆる”サイバースポーツ”と呼ばれる2代目CR-X。トップモデルである”SiR”には1.6リッターVTECエンジンが搭載され、最高出力160ps/7600rpm、車両重量が1t(エアコンレス車は980kg)という、当時としては過激なスペックを有していた。全長3800mmというコンパクトなボディもあって、コーナリング中にスピンモードに…なんて話がある反面、腕利きのドライバーの手にかかれば、タックインを駆使してハイスピードコーナリングマシンと化した。
多くのCR-Xがチューニングされ、一部はクラッシュして姿を消していったなか、残っている個体は貴重だともいえる。フルノーマルの個体というだけでも価値がありそうだ。なお、専用部品の多さから一部で「ホンダ地獄」などともいわれる同社のクルマだけに、純正部品の入手困難が今後も予想される。
CR-X
CR-X
ニッサン スカイラインGT-R[BNR32]
- 生産期間:1989年8月~1994年12月
- 新車時価格:430.5万円〜529万円
- 中古車の価格帯:420万円~2100万円
“ハコスカ”、そして”ケンメリ”時代から実に16年ぶりの復活となったスカイライン”GT-R”。1990年〜1993年にかけて、全日本ツーリングカー選手権において26戦全勝を成し遂げた偉業は、もはや伝説。まさに勝つための復活劇だ。チューニングカーのベース車両としても、搭載されるRB26DETTエンジンを含め、別格の存在といえた本モデル。日本車の基本性能やチューニングシーンのレベルを格段に押し上げた、立役者であるともいえる。
ほんの10年ほど前には、過走行/修復歴ありの個体であれば100万円以下も珍しくなかったR32のGT-R。海外での人気もあり、いまや最安値でも400万円〜、最高価格の個体はなんと2000万円オーバーという現状に、ただただ驚くばかりだ。
スカイラインGT-R
スカイラインGT-R
スカイラインGT-R
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。※価格帯の値は車両本体価格です。中古車価格については、2024年9月時点での中古車相場をもとに掲載しています(大手中古車サイトを用いた編集部調べ)。新車当時価格は、デビュー時などある時点でのカタログをベースとするなどした、参考値です。
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