1990年代に生まれた人気国産スポーツ、NSX[NA1/2]やスカイラインGT-R[R34]、シルビア[S15]、RX-7[FD3S]などが相次いで生産終了し、”ひとつの時代”が終わりを迎えた2000年代。そして、280psに抑えられてきた最高出力規制が撤廃されたのも2004年のことだった。それからのパワーウォーズは知ってのとおり。まさに、新たな時代を告げる国産スポーツがデビューするのだ。今回はそんな2000年代にデビューしたモデルを軸に、驚きの値段を付けているクルマ5車種をピックアップしてみた。
●文:松村 透/月刊自家用車編集部
ニッサン GT-R[R35]
- 生産期間:2007年12月~
- 新車時価格:777万円〜3061.3万円
- 中古車の価格帯:613万円~6280万円
2007年、”ニッサンGT-R”として新たにデビューしたR35型。なお2025年モデルを最後に生産終了することがアナウンスされているため、これが最終型となりそうだ。これまでさまざまな仕様変更とアップデートを繰り返し、今日まで17年間生産されてきたことに改めて驚かされる。次期GT-Rがデビューしたとしても、R35型GT-Rはたしかに1時代を築いたモデルとして、語り継がれていくことだろう。
しかしそう考えると、初期モデルは17年落ち。旧車と呼ぶにはまだ早いかもしれないが、ネオクラシックの領域に入りつつあることは確かだ。それでも車両本体価格は最安で613万円。高年式になると最高値は6000万円をオーバーしてくる。もはや海外のスーパースポーツ並みであり、立派な戸建てが買える価格帯だ。R35GT-Rの中古車が、300万円台程で買える日は訪れるのだろうか…。
レクサスIS F
- 生産期間:2007年12月〜2014年5月
- 新車時価格:766万円〜1080万円
- 中古車の価格帯:139.8万円~558万円
2007年12月デビュー。レクサスISのコンパクトなボディに、V8・5リッターエンジンを文字どおり”ブチ込んだ” IS F。デビュー前、ディーラー向けに行われた試乗会においては、やたらブリッピングをするセールスが続出したとかしないとか。クルマに興味がない人からすれば普通のセダンに映るかもしれないが、見る人が見れば「タダモノではない」雰囲気に溢れている。ポルシェが手かけた、ハイパフォーマンスセダンの”走り”メルセデス・ベンツ500E/E500(W124)の日本車版と言っても、過言ではないかも?!
そんなレクサスIS F、最終モデルであっても10年選手となった。過走行&初期モデルであれば100万円台で売られている個体もあるが、高年式&5万キロ未満の個体はあっという間に400万円台となる。レクサスIS Fのような過激なセダンは2度と作られない可能性もあるだけに、迷っているのであれば良質な個体が流通しているうちに決断を下した方がいいだろう。
ホンダ シビックタイプR[FD2]
- 生産期間:2007年3月~2010年8月
- 新車時価格:284万円〜474万円
- 中古車の価格帯:158万円〜539万円
こちらも2007年デビュー。当時FF最速を目指して開発された、3代目となるシビックタイプR。このクルマとしては初の、4ドアモデルでもある。直4・2リッターVTECエンジンの最高出力は225ps。レッドゾーンは8400回転〜という高回転型エンジンはホンダファンにはたまらないが、固すぎる足まわりゆえに、ファミリーカーとしてはかなりハードなクルマであったことは確かだ。
そんなスパルタンな仕立ての3代目シビックタイプR。フルノーマル&低走行の個体は当時の新車価格を上回る相場で販売されている。いっぽうで、それなりに年数が経過しているクルマだけに10万キロオーバーの個体も少なくない。13年超えの自動車税および重量税の加算分を支払う年代のクルマにもなった。購入検討の際は、年式や走行距離を問わず、車両本体価格+リフレッシュ代の予算感を見ておいたほうがいいだろう。
マツダRX-8
- 生産期間:2003年4月~2012年6月
- 新車時価格:253.1万円〜383.3万円
- 中古車の価格帯:125.7万円~430万円
2002年に生産を終了したRX-7[FD3S]の後を引き継ぎ、「ロータリーエンジンを搭載した4ドア・4シータースポーツカー」として2003年4月にデビュー。アメリカのフォード傘下となり、さまざまな制約がある中、ロータリーエンジンの伝統を絶やすことなくRX-8をデビューさせたマツダ。その意地と執念が感じられるモデルといえる。ユニークかつ特徴的な観音開きのドアは、意外にも乗り降りやしやすい。
デビューから20年以上、最終モデルであっても12年落ちとなったRX-8。年々、タマ数が減少しているなか、低走行&高年式モデルは新車と同等かそれ以上の価格帯で販売される個体も増えつつある。今後、この傾向はさらに加速することが予想されるだけに、迷っているのであれば思い切った決断を下したいところだ。
ミツビシ ランサーエボリューションIX(MR含む)
- 生産期間:2005年3月~2006年7月/[MR]2006年8月~2006年12月
- 新車時価格:294万円〜357万円/[MR]285.6万円〜362.3万円
- 中古車の価格帯:345万円~648万円/[MR]408.7万円~809.8万円
2005年3月デビュー。歴代ランエボの最終型のひとつ前にあたる”ランエボ9”。そしてアップデートモデルである”ランエボ9 MR”。歴代ランエボにおいて初となる、可変バルブタイミングリフト機構を持つMIVECエンジンを搭載。そしてMRでは、歴代ランエボの心臓部として熟成を重ねてきた4G63型エンジンを搭載する、最後のモデルとなった。2005年9月には最初で最後となったランエボのワゴンタイプ”ランサーエボリューションワゴン”も発売された。
気がつけば”エボ9/MR”もほぼ20年選手となった。名機である4G63型エンジンを搭載する最後のランエボとあって、高い人気を誇る。低走行の個体は軒並み新車価格をオーバーする価格で販売されており、もはやコレクターズアイテムの領域に入りつつある。
※本記事の文責は当該執筆者(もしくはメディア)に属します。※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。※価格帯の値は車両本体価格です。中古車価格については、2024年10月時点での中古車相場をもとに掲載しています(大手中古車サイトを用いた編集部調べ)。新車当時価格は、デビュー時などある時点でのカタログをベースとするなどした、参考値です。
最新の関連記事(旧車FAN)
ベレルの経験をもとに、欧州車を手本に挑んだデザインやメカニズム 明治以降の日本の近代化を牽引したのは、政府が後押しする国策企業。その仕事の中心は、富国強兵の旗印の下で、軍が資金を出すプロジェクトだった[…]
こんにちは。YouTubeで「おもちのビート」チャンネルを運営しているおもちです。 YouTubeチャンネル“おもちのビート【POV Drive ch】”最新動画↓ まずはこちらをご覧ください。 これ[…]
仕向け地に合わせて作り分けられた”双生児”の個性 最近では少なくなってきましたが、かつてはいわゆる兄弟車がたくさんありました。トヨタならカローラとスプリンター、日産ならサニーとパルサーとラングレーにロ[…]
1985年東京モーターショー・日産ブースの主役は、丸い2灯ヘッドランプの可愛いヤツだった ちょっと古い話だが、「時代と寝た女」とは、写真家の篠山紀信氏が山口百恵さんの引退に際して彼女を評した名言だった[…]
長年、ジープをライセンス生産してきた三菱だからこそ生まれた、オリジナルの4WD車 まったく新しいコンセプトの新型車が世に出るまでには、多くの関門がある。ときにはどれほど出来栄えがよくても、経営陣の理解[…]
最新の関連記事(スポーツ)
ハイブリッドシステムに同社初の”電動ターボ”を搭載 10月17日、マラネッロより発表されたブランニューモデルがF80。GTO、F40、ラフェラーリなどと同じく”スペチアーレ”=スペシャルモデルと定義さ[…]
仕向け地に合わせて作り分けられた”双生児”の個性 最近では少なくなってきましたが、かつてはいわゆる兄弟車がたくさんありました。トヨタならカローラとスプリンター、日産ならサニーとパルサーとラングレーにロ[…]
ホンダNSX[NA1/NA2] 生産期間:1990年9月~2005年12月 新車時価格:800.3万円〜1035.7万円 中古車の価格帯:635万円~5930万円 1990年9月デビュー。クルマ好きで[…]
欧州スポーツカーとは異なる出自 まずお金の話で失礼しますが、クルマの開発にはそもそも大金がかかります。一例をあげると、ドアを1枚新たに開発するだけで、そのコストは軽く数億から10億円超にもなるといいま[…]
トヨタ カローラレビン/スプリンタートレノ[AE86] 生産期間:1983年5月~1987年4月 カローラレビン 新車時価格:113.3万円〜154.8万円 中古車の価格帯:155万円~1080万円 […]
人気記事ランキング(全体)
今回の犠牲車はこちら この実験の犠牲車は「アルファ 147 2.0ツインスパーク(セレスピード)」。走行距離は4万km弱で、エンジンコンディションは異音もなく好調。少しもったいない気もするが、読者のた[…]
パープルセーバーって? パープルセーバーは、2022年7月に三角表示板に代わる停止表示機として発売されたアイテムだ。三角表示板はサイズの関係で、トランクルーム等のすぐに取り出せない場所に保管しなければ[…]
ピラーに装着されたエンブレムやバッジの謎とは? 今のクルマはキャビン後部のCピラーには何も付けていない車両が多く、その部分はボディの一部としてプレーンな面を見せて、目線に近い高さのデザインの見せ場とな[…]
ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。カスタムの幅が広く、アウトドアを中心としたユーザーに、非常に人気の高い車だ。 ハイエースはなんと言ってもクラス最大級の荷室の広さが魅力[…]
ベース車両はトヨタのハイエース ベースの車両はトヨタのハイエース。カスタムの幅が広く、アウトドアを中心としたユーザーに、非常に人気の高い車だ。 ハイエースはなんと言ってもクラス最大級の荷室の広さが魅力[…]
最新の投稿記事(全体)
ロードスター:モデル概要 ロードスターは、マツダが提唱する「人馬一体」の楽しさを最新の技術で体現したモデル。初代は1989年に登場。手ごろな価格ながらも、オープンスポーツを楽しめるクルマとして愛されて[…]
いったいなぜ?”助手席”と呼ぶ理由とは? 実は、”助手席”という表現は日本独特のものであり、英語圏では”Passenger Seat”、つまり”乗客席”と呼ばれます。これは英語圏/日本の文化的背景が違[…]
今回身体を張るのは… 今回この実験の犠牲となるのは、編集部員…ではなく写真の食品たち。固さも形もバラバラのものを用意した。決して食べたいからこれをチョイスしたわけではない。 実験方法はいたって[…]
ニッサン GT-R[R35] 生産期間:2007年12月~ 新車時価格:777万円〜3061.3万円 中古車の価格帯:613万円~6280万円 2007年、”ニッサンGT-R”として新たにデビューした[…]
べース車両は日産のキャラバン ベースの車両は日産のキャラバン。カスタムの幅が広く、アウトドアを中心としたユーザーに、非常に人気の高い車だ。 キャラバンはなんと言ってもクラス最大級の荷室の広さが魅力。普[…]
- 1
- 2