知人と出かけた際、ついウトウトしてしまったら「助手席は助手なんだから寝るな、失礼だ」と言われてしまった。そもそも車の助手席に乗っていると助手になるのか? 日常的にしよう私たちはクルマの中で、運転席の隣の席を自然と”助手席”と呼んでいますが、一体なぜそのように呼ぶのでしょうか。
●文:月刊自家用車編集部
いったいなぜ?”助手席”と呼ぶ理由とは?
実は、”助手席”という表現は日本独特のものであり、英語圏では”Passenger Seat”、つまり”乗客席”と呼ばれます。これは英語圏/日本の文化的背景が違うことを示しています。
では、なぜ日本では”助手席”と呼ぶのか、その理由は昔のタクシー文化に遡ると考えられています。
過去のタクシーでは、運転手とは別に「助手」と呼ばれる人物が同乗していることがありました。また助手の役割は多岐にわたり、運転手とは別に大きく3つの役割を持っていたとされています。
まずひとつ目は、乗客の案内です。
助手は乗客に対して目的地までのルート/所要時間/料金などを説明する役割を果たしていました。また、観光地/名所に詳しく、観光客への情報提供やガイドもおこなっていたようです。
2つ目は乗客の荷物の運搬です。乗客が大きな荷物を持っている場合、助手はその荷物を車内に運び入れる/降車時に運び出したりといった手伝いをしていました。
そして3つ目は、運転の補助です。
運転手が忙しい場合/乗客からのリクエストがある場合には、助手がナビゲーションの代わりに地図を読むなどして道案内をしたり、交通情報をチェックしたりしていたようです。この役割は現代のタクシーには見られませんが、これらの仕事を通じて助手は文字通りタクシーの運転手を「助ける」役割を果たしていたと考えられます。
助手は運転席の隣、つまり今でいう”助手席”に座り、運転手を支えていたのです。これが理由となって、この位置を”助手席”と呼ぶようになったとされています。
助手席に座る人がドライバーをサポートするためにできることは?
では助手席に座る人が運転手をサポートする役割は、現代の車内ではどのような形で現れているのでしょうか。
まずひとつ目は運転のナビゲーションです。 運転に集中するドライバーの代わりに、助手席の人はカーナビゲーションの操作を担当できます。たとえば、目的地の入力/経路の確認/進行方向の指示など、ドライバーに情報を伝えることで運転の負担を軽減できるというわけです。
2つ目はオーディオ操作です。現在のクルマ/ナビには、ほとんどすべてにオーディオ機器が搭載されています。音楽/ラジオのチャンネルを変更する/ボリュームを調節するなど、運転手が操作できない場合に助手席の方がサポートします。
3つ目は飲食物の準備です。
長時間のドライブでは、飲み物や食べ物が必要になることもあります。助手席の人は運転手の代わりにこれらを準備し、運転中の飲食を支援できます。しかし、運転手がハンドルから片手を離さなければならなくなってしまったり、注意力が散漫になったりしてしまうため、運転中の飲食は推奨されていません。少しだけ水分を取るくらいに留めるといいでしょう。
4つ目は疲労確認です。運転中、運転手が疲れているかどうかを確認し、必要に応じて運転を交代/休憩を提案したりしましょう。適度な会話は運転の疲れを軽減する効果があります。とくに長距離ドライブでは、運転手が眠気に陥らないよう、助手席の人が話題を提供することも重要になるでしょう。
そして5つ目は、外部の状況確認です。運転手が見逃しやすい死角の確認/周囲の交通状況の把握などをおこない、安全運転を支援します。
このように、助手席に座る人がおこなえるサポートは多岐にわたります。単に乗車するだけでなく、これらの行動を通じて、運転の安全性/快適性を高めることができるのです。”助手席”という言葉は過去のタクシー文化から生まれ、今日のクルマ社会では運転手を支える重要な位置を占めています。
助手席に座る人がカーナビやオーディオの操作/視覚の補完/運転の交代など、さまざまな形で運転手をサポートすることで、より安全で快適なドライブが可能になります。助手席という位置を最大限に活用しながら、楽しく安全なドライブを続けていきたいものです。
また、助手席で眠くなった際には運転手も同様に睡魔に襲われている可能性があるので、ひとこえかけて安全運転でドライブしましょう。
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