
マツダが国内事業の再構築に本格着手することを6月19日に発表した。都市圏への集中的な投資、新会社の設立、ブランド体験の強化など4つの重点施策を発表し、国内販売20万台体制の早期実現を目指す。変革の背景と狙いとは?
●文:月刊自家用車編集部
都市部を起点に販売ネットワークを再構築
マツダが国内市場における構造改革を本格化させる。2025年6月19日、「国内ビジネス構造変革の方針」を公表し、4つの重点施策を軸にした再成長戦略に乗り出した。目標は明確で、2025年3月期に15.2万台だった国内販売を、早期に20万台規模へ引き上げる体制を構築するという。
また、安定的な需要が見込める都市部に的を絞り、販売網の強化を進める。東京や大阪をはじめとする10の都市を「重点市場」と位置づけ、ブランド体験を前面に打ち出した新世代店舗を集中的に展開していく。さらに、販売効率の向上を目的に、全国300店舗を「重点店舗」として選定。各店舗で年間400台の販売を目指す。
ブランドを「体験」で伝える新たな仕組み
MAZDA TRANS AOYAMA 1F 2025年2月に東京都港区南青山にオープンしたマツダのブランド体感施設「MAZDA TRANS AOYAMA(マツダ トランス アオヤマ)」。現在、月平均の来場者数は10,700人。その内訳は、マツダオーナーが46%、その他54%で男性43%/女性57%という。
ブランド訴求では、マツダのPURPOSE「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」を軸に、体験型施設「MAZDA TRANS AOYAMA」(東京・南青山)などを活用し、共感層や新規層との接点拡大を図る。
販売現場では、独自の「ブランドスタンダード」を策定し、接客や体験価値の均質化と品質向上を図る。スタッフ教育と現場支援体制を整備することで、顧客接点でのブランド体験を底上げする。
さらに、店舗が接客やサービスに専念できるよう、業務の効率化にもメスを入れる。2025年1月30日付で、販売店のバックオフィス業務を集約する新会社「マツダビジネスパートナー株式会社」を設立。所在地は東京都板橋区で、マツダが100%出資する。代表取締役には同社執行役員(国内営業・ブランド体験担当)の東堂一義氏が就任する。
この新会社が間接業務を引き受けることで、現場の負担軽減とガバナンス強化を同時に実現する狙いだ。
マツダは北米市場において重点市場を39に絞り込み、店舗あたりの販売効率を大幅に改善。新世代店舗では、ブランド体験を通じてユーザーの満足度が高まり、その対価として販売台数大幅増などを達成したという。
国内営業本部長の三浦忠氏は、「国内販売の再成長は、マツダの中長期的な企業価値向上に直結する」とコメント。海外、特に北米市場で成果を上げた「ブランド価値経営」の手法を、国内市場でも本格的に導入し、メーカーと販売現場が一体となって改革を進めるとしている。マツダは今後も「ひと中心」の価値観と「走る歓び」の提供を軸に、国内市場における存在感の再構築を目指す構えだ。
マツダSUVラインアップの認知拡大のため、SUVシリーズマーケティングキャンペーン「技術って、愛だ。」を7月から本格展開するとのこと。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(マツダ)
欧州仕様車には、2.5Lガソリン・Mハイブリッドを搭載 CX-5は、2012年に導入されて以来、マツダの主力商品として世界100以上の国と地域で販売され、グローバル累計販売台数は450万台以上を記録す[…]
魂動デザインの進化に加え、装備機能の充実ぶりも期待できそう 現行型のCX-5は2017年に発売され、すでに8年が経過している。すでに国内でも次期型の登場は噂になっており、編集部が販売店に取材したところ[…]
規制の逆風の中、速さを誇ったREスポーツ 2ローターのロータリーエンジン(RE)を積んだコスモスポーツを世に送り出して以降、マツダはロータリー車のバリエーションを増やし、1970年代を「ロータリゼーシ[…]
マツダの戦略を支える「ものづくり革新」とは? マツダは2030年代を本格的な電動化時代と捉え、2028~2030年にバッテリーEV投入を予定している。ただし、マツダは年間120万台規模の、マツダ曰く […]
カーボンニュートラルの実験場としてのスーパー耐久 スーパー耐久シリーズでは、メーカーの技術開発車両による参戦のためにST-Qクラスが設けられている。これまでもGRスープラや日産フェアレディZ(RZ34[…]
最新の関連記事(ニュース)
バッテリートラブルは夏場でも多く発生する バッテリートラブルって、寒い冬場に起きるものだと思っているユーザーが多いのではないだろうか。だが、実はエアコンなどをフル稼働させる夏場のほうがバッテリーを酷使[…]
後側方警戒機能を全グレードに標準装着 今回実施された改良で、ボディカラーに「シトロンイエロー・パール」が追加されたほか、「緊急時プリクラッシュステアリング」や「スバルリヤビークルディテクション」、「エ[…]
専用サイトを通じて最新情報は随時更新予定 「e VITARA(以下e ビターラ)」は、EVらしい洗練された先進性とSUV特有の力強さを兼ね備えたデザインが与えられた、スズキの世界戦略モデル。 今後、グ[…]
上質感のある内外装が、子離れ層を含む幅広い世代に支持されている ダイハツ・ムーヴは、1995年の誕生以来、30年にわたり販売されている軽ハイトワゴンのロングセラーモデル。 今回で7代目となる新型は「今[…]
大阪オートメッセでお披露目されたDパーツが、待望の製品化 今回発売されるカスタムパーツは、2025年2月に開催された大阪オートメッセのエーモンブースにて初お披露目された、新ブランド「BANDIERA([…]
人気記事ランキング(全体)
奥まで届く薄型設計で内窓掃除が快適に 近年の車はフロントガラスの傾斜が鋭角になり、従来の内窓ワイパーでは掃除しづらいケースが増えている。特にプリウスなど一部車種ではダッシュボード付近に大きなモニターや[…]
ポップアップルーフがもたらす圧倒的な開放感 まず注目したいのは、ポップアップルーフによって実現した最大2000mmという室内高。この高さがあることで、室内で立ったまま着替えたり、作業したりすることがで[…]
引っ張るだけでOK、瞬時にセット完了 ロール式サンシェードの最大の魅力は、その操作の簡単さにある。取り付けは非常にシンプルで、工具も必要なくサンバイザーに専用パーツを固定するだけ。その状態でロール部分[…]
夏の猛暑も怖くない、ロール式サンシェードが作る快適空間 夏のドライブで誰もが感じる悩みは、車内の暑さだ。炎天下に駐車すれば、シートやダッシュボード、ハンドルが触れないほど熱くなる。さらに紫外線による内[…]
2代目ローレルは、ケンメリスカイライン(4代目)とシャシーを共有する兄弟車だった 2代目のローレルは1972年の4月に発売されました。この頃のローレルの日産内の立ち位置は“高級GT”といった感じで、ス[…]
最新の投稿記事(全体)
バッテリートラブルは夏場でも多く発生する バッテリートラブルって、寒い冬場に起きるものだと思っているユーザーが多いのではないだろうか。だが、実はエアコンなどをフル稼働させる夏場のほうがバッテリーを酷使[…]
夏の猛暑も怖くない、ロール式サンシェードが作る快適空間 夏のドライブで誰もが感じる悩みは、車内の暑さだ。炎天下に駐車すれば、シートやダッシュボード、ハンドルが触れないほど熱くなる。さらに紫外線による内[…]
暗所の映像も鮮明に記録。2つのカメラにSTARVIS技術搭載センサーを採用 ドライブレコーダーのトップブランド、コムテックが新たにリリースした新機種、ZDR-850Rは、前後2つのカメラで全方位を記録[…]
座るだけでクールダウン 夏のドライブが快適になる最新カーシート 夏の車内は、ただでさえ暑い。長時間の運転や渋滞に巻き込まれたとき、背中やお尻の蒸れが不快感を倍増させる。そんな夏の悩みを一気に解消するの[…]
大阪の商人らしい、「商いのうまさ」で誕生したコンパーノ コンパーノは、ダイハツが戦前から築き上げてきた商用車メーカーとしての地位から、乗用車市場へと本格的に参入する転機となった記念すべきシリーズモデル[…]
- 1
- 2