
日産の最上級ミニバンといえばエルグランドだが、現行モデルの登場は2010年。稀少なV6エンジンをラインナップしているとはいえ、フラッグシップを名乗るには少し寂しく思える。そんな不満を感じているユーザーにとって、ここで紹介する「セレナ オーテックスポーツスペック」は、相当面白い存在になりそうだ。
●文:川島 茂夫 ●写真:澤田 和久
パワートレーンとシャシー周りにも、走りの質を高める専用のチューニングを注入
オーテックは日産モデルに独自のカスタマイズを加えることで、標準車では味わえない魅力をプラスしてくれるメーカー直系カスタマー。今回セレナ オーテックに新たなラインナップとして「セレナ オーテック スポーツスペック」を追加した。
オーテックのカスタマイズモデルは、内外装を専用仕立てとすることで商品力を高めているが、スポーツスペックでは、パワートレーン(e-POWER)とシャシー周りに専用のチューニングを実施することで、走りの質を高めていることが大きなポイントになっている。
専用チューニングコンピューターや専用サスペンション (スプリング、ショックアブソーバー)、専用ボディ補強 (フロントクロスバー、リヤクロスバー)を実施。足回りやボディ剛性までオーテックのチューニング術が注がれることで、快適性まで含めたトータルチューニングを実現。
一人ドライブの時は、相当スポーティに楽しめる。ドライバー視点でも魅力十分
走った印象も期待どおり。ファントゥドライブ&ダイナミズムと、セレナらしいファミリードライブの心地よさの使い分けが実に巧みで、高速安定重視で御しやすいミニバンに仕上がっている。ハンドリング&サスチューンも狙ったラインをトレースしやすい特性で、同乗者を左右に揺らすような動きが少ない。
開発者に、サスチューニングで基準と考えていた乗車人数を尋ねたところ「7名乗車」との回答をもらった。つまり、スポーツモデルにありがちな〝硬さ〟一辺倒のチューニングではなく、7名乗車時の安定性も考慮した腰を据えたサス設定ということ。1人で乗るときは「スポーティ」な雰囲気が強めだが、家族みんなで乗る場合は「快適ツアラー」くらいのバランスの良さを意識した設定で纏められている。
徹底した防振対策の工夫が、快適性向上にも大きく貢献
もうひとつ印象的だったのが、快適性向上へのこだわりぶり。スポーツスペックは、各部の補強やフロントドアサイドウインドウの遮音ガラス化を実施したことで、細かな振動や耳障りな音を感じにくい特性を強めている。このNVH処理の恩恵もあって、走りの質感は全セレナシリーズの中でも最も高い。
ほかにもヤマハ製のパフォーマンスダンパーや、18インチホイール&ミシュランプロパイロットの採用など、ミニバンとしてはかなり意欲的な内容が盛り込まれている。それでいて価格は2WDで438万6800円と、ベースとなるセレナ オーテック(419万9800円)に比べて18.7万円高に留まる。シャシー周りを含めた車体周りの贅沢なカスタマイズ内容からすれば、かなり買い得感のある値付けだ。
専用コンピューターチューンを用いたという動力性能の伸び感は、エコ/スタンダードモードはベース車と大差ないが、スポーツモードでは上手に蹴り出し感を出している印象。e-POWERならではの電動駆動の強みを改めて実感。
普通のセレナとは明らかに異なるキャラは、価格アップにも十分に見合うもの
普通にミニバンを使いたい向きならば、ハイウェイスター系のe-POWER標準モデルで十分と思うが、ユーティリティ機能と同じくらいプレミアム&スポーティを求めたいユーザーにとっては、オーテック スポーツスペックは相当刺さるミニバンになるだろう。
さらに内装装備&加飾のレベルがかなり高いことも見逃せない。オーテックが大事に育んできたブランドの世界観は所有欲も巧みにくすぐってくれる。特にレザレット地の専用シートは座り心地や質の面でもプレミアムな雰囲気を高めてくれる。上のクラスからの乗り換えを検討しているユーザーにとっても、所有欲を満たしてくれる特別な一台になってくれるだろう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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