
昨年2024年12月20日に自民・公明両党は、令和7年度与党税制改正大綱を発表。ようやく不公平だった自動車にまつわる税制にメスが入ることが宣言された。しかし、見直しが明確になっただけで、令和8年(西暦2026年)度税制改正で結論を得る、とされているがまだ決定ではない。今後もその動向に注視していくことが必要だ。
●文:まるも亜希子
現在の自動車税のように排気量で区別する税制ではない、それぞれのパワートレインが公平に課税されるような仕組みを構築へ
ついに、ここまで漕ぎつけた。何重もの税金がわかりにくく煩雑に課され、時代遅れの税制となっている自動車諸税の抜本的な見直しについて、日本自動車工業会はかねてから政府に対して改正への提言を繰り返し、愛知県の大村秀章知事を含む8県知事・2政令市長が緊急声明として働きかけを行なってきたが、ここにきてようやく、政府与党である自民党・公明党が「令和7年度税制改正大綱」の中で、見直しを行うことを明確に示した。これは大きな前進だ。
令和7年度税制改正の基本的な考え方として、冒頭で「税は国家なり」。税体系のあり方は国家運営の根幹を形成する。時代に適さぬものを改め、維持すべきものを護り、国際的責務を果たす国家にふさわしい税制を目指す、と綴られている。その「時代に適さぬもの」の筆頭こそ、自動車諸税であって欲しいと期待が膨らんでくる。
具体的に明示された文言としては、まず基本的な考え方として、「基幹産業」としてわが国経済を牽引する自動車産業は、技術面や国際環境など、大きな変化を迎えている。こうした中、自動車関係諸税の見直しについて、わが国の技術的優位性を踏まえた「マルチパスウェイ」等の自動車戦略や国・地方の安定的な財源確保、カーボンニュートラル目標等を踏まえ、今後、車体課税・燃料課税を含む総合的な観点から検討し、産業の成長と財政健全化の好循環の形成につなげていく、と綴られた。
これだけではどのような方向性なのかが見えにくいが、後述される中でいくつか気になるのは、「多様な動力源(パワートレイン)が併存していくことを踏まえた税制とする」という文言。これは、現在の自動車税のように排気量で区別する税制ではない、それぞれのパワートレインが公平に課税されるような仕組みを構築することを言っているように思える。
また、「取得時における負担軽減等課税のあり方を見直すとともに、自動車の重量及び環境性能に応じた保有時の公平・中立・簡素な税負担のあり方等について、関係者の意見を聴取しつつ検討し、令和8年度税制改正において結論を得る」と明記されたことも大きな進歩だ。自動車取得時の消費税と環境性能割という二重課税をなくして消費税に一本化し、保有時の課税についても自工会が提案するように重量と環境性能によって区別する税制の構築を検討することを示唆しているように読み取れた。
さらに、自動車の恩恵を受けているのは所有者だけでなく、今後はもっと受益者が広がっていくことを鑑みたサステナブルな仕組みが求められているが、それに関しても「中長期的には、データの利活用による新たなモビリティサービスの発展等、自動車の枠を超えたモビリティ産業の発展に伴う経済的・社会的な受益者の広がりや保有から利用への移行等も踏まえる」と明記されている。
もちろん、まだ現段階ではどの税金がどう変わり、私たちが自動車を取得・保有していく上での負担がどの程度軽減されるのかという具体的なものはないが、今後1年程度かけて検討し、結論は令和8年度税制改正で出しますよ、ということがハッキリとした。それだけでも、希望の光であることは間違いない。私たちはここからさらに、自動車諸税の見直しが適切に確実に行われ、国民が納得できるものになるよう、引き続き動向を注視していきたい。
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