走りの質の追求に加えて上級内装&充実装備が与えられたことで、1ランク上をアピールしているスズキ フロンクス。実際、売れ行きも上々で、この先のコンパクトSUV選びにも大きな影響を与えるのは間違いなさそう。自動車評論家・まるも亜希子が人気を集める理由を解説します。
●文:まるも亜希子(月刊自家用車編集部) ●写真:月刊自家用車編集部
国内導入に合わせて日本で細部をチューニング
ジムニーやエスクードといった悪路走破性に優れる硬派なSUVを生み出し、一方ではハスラーやクロスビーといった日常からアウトドアレジャーまでカバーするクロスオーバーづくりにも長けているスズキ。そんなスズキが2023年からインドや中南米などで販売し、高い評価を獲得しているグローバルカーが「フロンクス」だ。
もちろん、日本に導入するに至っては、道路事情やユーザーの要望にフィットするよう、走りや乗り心地などを日本でチューニングし直し、先進安全運転支援装備の搭載や4WDの新設定など、満を持しての導入となった。
そんなスズキのこだわりもあって、初期受注で1万台を超えるほどの好調な売れ行きを示しているという。今回、あらためてフロンクスを試乗してみると、「だから売れているんだな」と感じる理由が明確になってくる 。
小さなボディに注がれる工夫の数々で上質感を追求
まず大きな魅力は、4mを切る全長3995mmというボディサイズだ。全高も1550mmに抑えられているので機械式立体駐車場も問題ないし、最小回転半径は国内コンパクトSUVクラストップとなる4.8mを実現している。このサイズ感とスタイリッシュなデザインを両立するのは至難の業だが、それを実現できているのが妙味。街中ではハッと目を惹く存在感がある。
理由の2つめは、コンパクトサイズなのにホイールベースが2520mmと長めに取られており、後席スペースの広さ/快適性/乗り心地のよさを確保しているところだ。日本専用にボルドー色の配色を変えているというインテリアにも上質感があり、とくに厚みのあるクッションのシートは、ほどよいサポート形状で座り心地がよく、満足度が高いポイントとなっている。後席のクッションもしっかりした厚みがあり、USBが備わるところも優秀。これならファミリーユースにもおすすめできる 。
日本の道路事情に合わせた国内専用のサスチューン
パワートレーンは1.5L直列4気筒のガソリン自然吸気エンジン+マイルドハイブリッドに、6速ATを搭載。ステアリングにはパドルシフトも装備されている。今回の試乗車は4WDモデルということもあって、発進時から4輪の接地感が強め。走りもやや骨太な重厚感があることが分かる。
サスペンションも日本導入にあたり、コイルスプリングのバネ定数やショックアブソーバーの減衰力、電動パワステの操舵アシスト力などを日本の路面に合わせてチューニングしているほか、タイヤもグッドイヤーと一緒に作り上げてきたという。この工夫の恩恵は明らかで、路面の大きなギャップも一度でいなしてくれるし、乗り心地とのバランスもちょうどいい。
さらに触れておきたいのが、高速長距離でありがたい運転支援機能が充実していることだ。全車速での追従走行が可能なACC(アダプティブクルーズコントロール) が停止保持機能付きとなったことで、ノロノロ渋滞などでも作動してくれるし、車線逸脱抑制機能やふらつき警報機能は一般道でも50km/h以上で走行中に作動し、よそ見などのうっかりミスをカバーしてくれる 。スマホで愛車のさまざまな操作や確認ができるスズキコネクトが3年間無料というのも嬉しいポイントのひとつだ。
そして大画面のディスプレイナビが標準なのに、250万円台からというコスパの良さも見逃せない理由だ。まさにフロンクスは、コンパクトSUVに新風を吹き込んだ魅力満載の1台だと思う。
内装の質感だけじゃない! ここもフロンクスのこだわりポイント!
Check1:存在感抜群のフロントマスク!
Check2:サイズ以上に使いやすい荷室!
Check3:しっかりと使える後席。ゆとりも静粛性も申し分なし!
Check4:秀逸なハンドリング特性。ドライブがより楽しめる!
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