
持続可能な社会の実現に向け、トヨタが掲げる「マルチパスウェイ」の重要な選択肢の1つとして位置付けられるPHEV(プラグインハイブリッド)。さらに日本で唯一、プレミアムラグジュアリーミニバンとしての地位を確立しているアルファード/ヴェルファイア。この2つが合わされば、さらなる「快適な移動の幸せ」が届けられるのではないか。そんな思いから開発が進められたという、アルファード/ヴェルファイアPHEVがついに発売開始となった。
●文:まるも亜希子(月刊自家用車編集部) ●写真:澤田和久
PHEVモデルは、アルファード&ヴェルファイアの頂点に君臨するフラッグシップモデル
アルファード(左)/ヴェルファイア(右)ともに、PHEVモデルはこれまでトップグレードとなっていたハイブリッドの「Exective Lounge」の上に位置する格好。E-Fourのみの6人乗りモデルのみの設定だ。価格はアルファードExective Lounge(プラグインハイブリッド E-Four)が1065万円。ヴェルファイアExective Lounge(プラグインハイブリッド E-Four)が1085万円。
さっそくアルファードPHEVの試乗車(6人乗り)を外観からチェックしてみると、ハイブリッドモデルとの大きな違いは見つけられなかった。リヤに新たな「PHEV」のエンブレムが追加されているぐらいで、担当者によればあまり主張しないのが昨今のトレンドでもあり、さらりと乗ってほしいと考えたという。
アルファードPHEVのインテリア。最上級のExective Loungeとなるだけに豪華内装とゆとりのキャビンを楽しむことができる。セカンドシートは2座のエグゼクティブラウンジシートが奢られる。
室内に入ってみても、広さやインテリアの上質な仕立ては違いがないように思える。PHEVのバッテリーは前席と後席の間あたりの床下に低く置かれており、その後方に燃料タンクを配置するおかげで、ロングスライドが可能な2列目シートも、大人が十分に座れる3列目シートのスペースもしっかり確保されている。
PHEVは、動力性能もシリーズ全体のトップモデル
搭載される2.5Lシリーズパラレルプラグインハイブリッドシステムは、システム出力が225kW、0-100km/h加速が7.1秒、燃費(WLTCモード)が16.7km/Lと、動力性能も燃費性能もこれまでのハイブリッド(205kW/8.8秒/16.5km/L)および2.4Lガソリンターボ(184kW/8.3秒/10.2km/L)を超えてきた。バッテリーが満充電の状態からのEV走行換算距離は73kmを達成しており、モーターだけでも日常移動の多くをカバーできる。
巧みな動力制御も見どころのひとつ。駆動モードがシームレスに切り替わることもあって、その走りはとにかくスムーズ。速度コントロールの優位性は、街中での一般道路から負荷が強まる高速道路まで実感することができる。
走行モードは「EV」「HV」「AUTO EV/HV」が選択可能。まずはEVモードで走り出すと、重厚感がありながら静かでなめらかに走り出す。ボディ全体が強固なカタマリであると感じさせる、落ち着いた乗り心地ですでに高い上質感で包まれる。ハイブリッドモードにすると、エンジンが始動する“気配”が伝わってくる程度。これはエンジン回転数を通常で700rpm前後に抑え、回っても2000rpm以下に抑えているからだという。
一般道から高速道路まで、さらに感心したのはオートモードの存在だ。発進から高速度域、ストップ&ゴーから合流や追い越しなどの強めの加速時まで、どんなシーンでも気持ちよく思いのまま。どこでEVとHVが切り替わっているのか分からないほど、シームレスでスマート。後席で試乗してみると、その流れはもっと心地よさにつながり、開発チームがショーファーカーとしての可能性にこだわった理由が、こんなところでも実感できる。
そのほか快適性の理由としては、19インチタイヤの出来栄えがいいことや、重量増に対する足まわりのチューニングを詰めたこと、またアンダーカバーの範囲拡大やマフラー形状の工夫によって、風の流れを整流化したことによる安定性向上などがあるという。実際、ハイブリッド車と乗り比べると、こんなにも違うものかと驚いてしまう。
ガソリン車もハイブリッド車も静粛性の高さを売りにしているが、それはPHEV車も同様。
特別仕立ての4座ショーファーモデル「Specious Lounge(スペーシャスラウンジ)」
さらにアルファードにはトヨタ車体特別架装車として4座仕様となる「Specious Lounge(スペーシャスラウンジ)」も登場。PHEVモデル全体のテーマでもあるショーファーカーとしての価値を存分に高めた仕様として注目されている。価格はPHEVモデルが1480万円。ハイブリッドモデルも1272万円で用意される。
今回は展示車両のみだったが、4座仕様「Specious Lounge(スペーシャスラウンジ)」は、後席のクッションを通常より柔らかくしたり、ヘッドレストにスピーカーを内蔵、足元のマットは毛足の詰まった特別品が用いられるなど、最上級にふさわしいアルファード。VIPユーザーの利用を想定していることもあって、バッグや靴を置くスペースを設けたほか、冷蔵庫や遮音性のある特別なカーテンも新規開発したという贅沢ぶり。バックドアを開ければハンガーが備わり、忙しい人のお召し替えにも便利。3種類のフレグランスも装備され、くつろぎの空間を大切にした1台に仕立てられている。
アルファード/ヴェルファイアは、ラグジュアリーミニバンの新時代を開拓する唯一無二の存在。今回投入されたPHEV車は、そのことをより強く体感させてくれるキーモデルだった。
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