
最近、自動車メーカーの公式ウェブサイトを見ていると、まだ正式発表されていない新型車の情報が、まるで「焦らしプレイ」のように少しずつ公開されていることに気づかないだろうか。グレード構成やボディカラー、装備内容などが大々的に打ち出されていても、細部が隠されていたり、肝心な価格が書いてなかったりで、そのクルマを本当に検討しているユーザーにとってはヤキモキしてしまうはず。ズバリ、こういう宣伝手法を「ティザー・キャンペーン」といい、クルマ業界ではいまや新型発売時にはなくてはならない必須の作戦となっているのだ。
●文:松本隆一
新商品を発売前に公開して消費者の興味を引きつける、効果的なマーケティングであるのは間違いない
そもそもティザーとは、英語のTeaserで「焦(じ)らす」という意味がある。ここでいうティザー・キャンペーンは、「新商品を発売前に公開して消費者の興味を引きつける方法」ということで、ぴったりとしっくりくる日本語がないけれど、あえていうなら「チラ見せ広告」って感じだ。
もともとは、1か月先に正式発表する新型車のシルエット映像を見せるくらいだったのだが、ここ数年はボディスタイルやインパネシートだけでなく、搭載メカニズムや最新装備までしっかり公開してしまうケースが多い。
昔は新型車なんて、発売まで極秘中の極秘のもので、ちょっとでも情報が漏れたら大変だったのだが、今はメーカー自らが積極的に情報を公開する時代になったというわけだ。
ちょうどいま、先行情報を発信しているティザーサイトを公開しているのが、ホンダ・ステップワゴンで、グレードを追加して5月に発売することを告知している。4月17日に正式発売となったスバル・フォレスターも、4月のはじめからティザーサイトで搭載パワートレーンやグレード展開を含めた“生きた情報”を公開していた。
つまり「ティザー」って英語で「焦らす」という意味のとおりで、新車の情報を発売前にチラッと見せることで、ユーザーの「どんな車になるんだろう?」っていう興味をグッと引きつける作戦というわけだ。例えるなら、「もうすぐ面白い映画が始まるよ!」って予告編を流すようなもの。
中には「そんなにあからさまに見せちゃったら、ワクワク感がなくなっちゃうのに…」って思う人もいるかもしれないが、最近のティザー・キャンペーンは、単に焦らすだけではなく、「先行予約販売」とセットになっていることが多い。もう「焦らし」ではなく、実質的な販売活動のスキームに入っているというわけだ。
5月に改良新型を投入するステップワゴンは、公式ホームページに先行情報サイト(→https://www.honda.co.jp/STEPWGN/new/)を開設。2つのグレードを追加するほか、すでにホンダディーラーで先行予約の受付が開始されていることも告知されている。
ティザーサイトと先行予約は、もはや1セット
ただ、ティザー・キャンペーンと正式発売の間には、決定的な違いが一つだけ残っている。それは「実車を見ることができない」ということだ。先行予約販売は、あくまでウェブサイトやカタログの情報だけで購入を決めることになるので、ある意味、ユーザーにとってはリスクもある。
ただ、そのクルマが本当に欲しいというユーザーにとっては、先行予約はとても有効な商談方法。ディーラーでも「まだ正式発表前なので…」とも言わないし、ライバルメーカーにホットな客を取られたくないから「実は…」と内緒で内部資料を見せてくれることもある。
あと、ウェブサイトで大々的なティザー・キャンペーンをしていなくても、ディーラーに行くと「現行モデルはもう注文ストップしていて、近々新型が出ますよ」って、タブレットの画像を見せられることもある。これは、ちょっと控えめな「消極的ティザー・キャンペーン」で、最近トヨタがよく使う手法だ。
4月17日に発売された新型フォレスターだが、すでに4月3日に先行特設サイトが開設(当時の記事はこちら→https://jikayosha.jp/2025/04/03/250328/)されていて、グレード構成や採用メカニズムの概要、装備内容の一部を確認することができた。フォレスターでも先行サイトの開設と同時に全国のスバル販売店で先行予約の受付が始まっている。
メーカーウェブサイト「工場出荷時期目処」の最新情報は、注目の価値あり
そこで、まだ情報が少ない新型車の情報を、いち早くゲットするにはどうすればいいか? 実は、メーカーのウェブサイトにある「工場出荷時期目処」をチェックするのがてっとりばやい。ここに具体的な時期が書かれていなくて「販売店にお問い合わせください」となっていたら、「新型(改良型)発売が近いサイン!」と思って、ディーラーに問い合わせてみるのが賢い方法だ。ディーラーに価格が伝えられた時点で、先行予約販売が始まるケースが多い。
いずれにせよ、ティザーサイトから連なる先行予約販売という流れは、本気度の高いユーザーにとっても歓迎できる仕組み。ただ、先行予約販売で契約すると、「納車が早くなる」というメリットがある一方で、実車を見ないで決めるというリスクもある。それゆえ先行予約をする際は、「実車を見て納得できなければ無条件でキャンセルしたい」ということを、事前にディーラーに伝えて、了解を得ておく方法がオススメだ。
現在(4月中旬)、カローラクロスはオーダーストップとなっているが、近々一部改良モデルが発売されるという情報をゲットした。早ければGW前後に改良モデルの先行予約販売がスタートする可能性がある。
月刊自家用車本誌でお馴染みの松本隆一氏。新車購入ひとすじ40年以上のキャリアを持つ「値引きの神様」であり、これまでに多くのユーザーの新車購入をサポートしてきている。毎週火曜日の12時〜17時に(一部休みの日もあり)クルマの購入に関しての電話相談(03-5830-0267)も実施しているので、新車購入で困ったことや、気になるクルマの値引き額の目安、効果的な商談テクニックを知りたいならば遠慮なく相談してほしい。ちなみにメールでの相談にも対応している。https://form.run/@jikayosha03まで。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(SUV)
新開発V8ツインターボで、最高速度310km/h到達 新型ベンテイガ スピードは、ベンテイガ史上最も圧倒的なパフォーマンスを誇る新たなフラッグシップモデル。 パワートレーンは、新開発の4.0リッターV[…]
1951 前身となるジープBJ型が誕生。1954年からモデル名を「ランドクルーザー」に変更 いまやおなじみの「ランクル」の始まりとなったのが、1951年に開発されたトヨタ・ジープBJ型だ。梯子型シャシ[…]
11.2インチ画面とSnapdragon搭載で、UX機能が大きく進化 今回の改良モデルでは、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上や内外装のリフレッシュ、快適性・安全性・環境性能の改善が図られている。[…]
走りの魅力はそのままに機能装備を絞り込むことで、リーズナブルなプライスを実現 2018年に国内デビューして以来、卓越したスポーツ性能の高さと先鋭的なイタリアンデザインで人気を集めているSUV「ステルヴ[…]
ボディサイズは現行型とほぼ同等。シリーズ初のGRスポーツを投入 まず、各スタイルの個性の違いを明確に打ち出しているのがフロントマスクのデザインだ。3つのスタイルとも、細くシャープなヘッドランプを採用し[…]
最新の関連記事(SUV)
新開発V8ツインターボで、最高速度310km/h到達 新型ベンテイガ スピードは、ベンテイガ史上最も圧倒的なパフォーマンスを誇る新たなフラッグシップモデル。 パワートレーンは、新開発の4.0リッターV[…]
1951 前身となるジープBJ型が誕生。1954年からモデル名を「ランドクルーザー」に変更 いまやおなじみの「ランクル」の始まりとなったのが、1951年に開発されたトヨタ・ジープBJ型だ。梯子型シャシ[…]
11.2インチ画面とSnapdragon搭載で、UX機能が大きく進化 今回の改良モデルでは、ユーザーエクスペリエンス(UX)の向上や内外装のリフレッシュ、快適性・安全性・環境性能の改善が図られている。[…]
走りの魅力はそのままに機能装備を絞り込むことで、リーズナブルなプライスを実現 2018年に国内デビューして以来、卓越したスポーツ性能の高さと先鋭的なイタリアンデザインで人気を集めているSUV「ステルヴ[…]
ボディサイズは現行型とほぼ同等。シリーズ初のGRスポーツを投入 まず、各スタイルの個性の違いを明確に打ち出しているのがフロントマスクのデザインだ。3つのスタイルとも、細くシャープなヘッドランプを採用し[…]
人気記事ランキング(全体)
ベース車両は日産のNV200バネット 日産「NV200バネット」は、2009年に登場した小型商用バン。全長4400mm、全幅1695mmという取り回しのしやすいサイズ感で、都市部でも扱いやすいことが大[…]
シャンプーで築き上げた“本当によく落ちる”の実績 カーメイトの『本当によく落ちる水アカシャンプー』は、2011年にC63ホワイト&ホワイトパール車用とC64ダーク&メタリック車用がデビュー。 水アカだ[…]
「キャロル」はマツダ・イズムの塊だった 初代の「キャロル(KPDA型)」の発売は1962年です。 広島の地でコルク製品の製造業から始まった「東洋工業」は、戦時中に軍の下請けで3輪オートバイの製造を始め[…]
バブル世代懐かしのバニングカーが最新の機能を搭載し令和によみがえる! 今回、紹介するキャンピングカーはハイファールーフ フュージョン。長野県長野市に本社を構え、キャンピングカーなどの特殊車両の製作をし[…]
1951 前身となるジープBJ型が誕生。1954年からモデル名を「ランドクルーザー」に変更 いまやおなじみの「ランクル」の始まりとなったのが、1951年に開発されたトヨタ・ジープBJ型だ。梯子型シャシ[…]
最新の投稿記事(全体)
先着100名限定でキャンペーン特典付きのヤリスクロス(Uグレード・HEV)の初期費用フリープランを提供 今回発表された「【U29応援】カーライフおためしキャンペーン」は、クルマ離れが進む若年層を後押し[…]
ミニバンの余裕を生かしたキャンパー設計 「フリースタイル」のベース車は、ホンダ・フリード+。もともとフリード+は、2列シート+広大な荷室という構成で、荷物の多いユーザーや趣味を楽しむ人々から支持を集め[…]
樹脂パーツの劣化で愛車が古ぼけた印象に…。でもあきらめないで! いつも目にしている愛車が、なんとなく古ぼけた感じに…。それ、樹脂パーツの劣化が原因かもしれない。最近の車種は、フェンダーやバンパー、ドア[…]
新開発V8ツインターボで、最高速度310km/h到達 新型ベンテイガ スピードは、ベンテイガ史上最も圧倒的なパフォーマンスを誇る新たなフラッグシップモデル。 パワートレーンは、新開発の4.0リッターV[…]
好評の特別装備を追加した買い得な限定モデル 今回発売される「Grateful PINK」シリーズは、小型ハッチバックEV「BYD DOLPHIN」をベースに、カーボン調のインテリアトリムや電動テールゲ[…]
- 1
- 2