
日産自動車は第3世代モデルとなる新型「日産リーフ」を世界初公開した。新型は2025年秋に米国で販売開始され、その他の地域でも順次展開されるという。
●まとめ:月刊自家用車編集部
最新技術が注がれた、次世代のクロスオーバーEV
高効率の追求を大きなテーマに開発された新型リーフ(第3世代)は、従来のハッチバックモデルからクロスオーバーモデルにがらりとチェンジする。性能面でも電費や航続距離の改善にとどまらず、システムのアップデートから車体設計、パッケージングに至るまで全方位に進化。日産初となる技術や、「リーフ」として初採用となる仕様や装備の数々が盛り込まれている。
日産初となる技術
- モーター、インバーター、減速機を一体化した新型3-in-1 パワートレイン
- NACS(北米充電規格)充電ポート、プラグ・アンド・チャージ機能(北米市場のみ)
- ナビゲーションと連動し、バッテリーの温度をマネージするナビリンクバッテリーコンディショニング
- LED 3D ホログラフィック リアコンビネーションランプ
- 調光パノラミックガラスルーフ(遮熱仕様)
- インテリジェントディスタンスコントロール
リーフとして初採用した技術
- 水冷式の温度調整システムを備えたリチウムイオンバッテリー(最大75.1kWh)
- 14.3インチのデュアルディスプレイ(統合型インターフェイスディスプレイ)
- Googleマップを含むGoogleビルトイン機能
- ワイヤレスApple CarPlay®およびAndroid Auto™
- フラッシュドアハンドル
- 19インチホイール
- 64色のアンビエント照明
- 3Dビュー、インビジブルフードビュー、フロントワイドビュー機能を持つ、インテリジェントアラウンドビューモニター
- Bose® Personal® Plus プレミアムオーディオ
ファストバッククーペ風に仕立てることで、空気抵抗の低減を実現
新型のボディ寸法は、全長×全幅×全高:4405×1810×1557mm(北米仕様の数値)。現行型と比較して全長を120mm短縮し、全幅を20mm拡大、全高は10mm低減。ホイールベースは2690mmと10mm短縮されている。全体的にはコンパクトになったわけだが、これは主にフロントオーバーハングを切り詰めてスポーティなスタイルを重視したことが理由。力強さを感じさせる大径タイヤもよく似合う。
上位モデルのアリア譲りとなる空力性能を考慮したクロスオーバースタイリングは、滑らかな面構成と未来的な「デジタル“禅”」のアクセントが特徴。日本独自の美意識も巧みに取り込まれている。キャビン後半部は、ファストバッククーペ風に仕立てることで、空気抵抗の低減を実現しており、Cd値は0.25(欧州仕様の数値。米国と日本使用は0.26になる)を達成。100km/h走行時の抵抗を現行型比で約10%削減している。
Aピラーからリヤハッチにかけてのウィンドウラインのアクセントは、日本刀(カタナ)からインスピレーションを得たという特徴的なデザイン。
余計な装飾を削ぎ落としたすっきりとしたデザインを採用することで、空気抵抗係数0.26(米国・日本)、0.25(欧州)を実現。
見る角度によって奥行きが変化するホログラムのような効果を生み出す「LED 3Dホログラフィック コンビネーションランプ」を採用。
それでいてキャビンスペースの余裕も十分に考慮されており、後席の余裕はヘッドルームまわりは現行型と同等、レッグスペースや座面高も遜色なく確保されている。車体後端部は現行型よりも高くなったことで、有効荷室高が拡大されるなど、優れた使い勝手を維持している。
洗練されたインテリアは仕向地ごとに複数の仕様が用意される。シートは前席、後席ともに、ゼログラビティシート構造を採用する。
12.3インチと14.3インチ2つのディスプレイが組み合わされるデュアルスクリーン。
前席のフットスペースは、エアコンユニットをモータールーム内に移動させることで大幅に拡大。インパネは、大型ディスプレイを2つ並べたクリーンなデザインを採用することで、未来的な印象を与えつつも、インフォメーション表示や操作のしやすさを両立している。
空調ユニットはモータールームに移設したことで、フロントキャビンに余裕を確保。開放感ある前席の足元空間を実現している。
電子調光技術を用いることでガラスの透明度を調節できる調光パノラミックサンルーフを採用。ガラス部には赤外線反射コーティングを用いることで、高い遮熱性能も確保されている。
パワーマネジメントの一新により、電動駆動の性能も向上
パワーユニットは、従来は個別の部品で構成されていたモーター、インバーター、減速機を一体化した、新開発の「新型3-in-1パワートレイン」を搭載。バッテリー容量「52kWh」仕様と「75kWh」仕様の2つが用意される。パワースペックも異なり、52kWh仕様は最高出力130kW(174hp)/最大トルク345Nm、75kWh仕様は最高出力160kW(214hp)/最大トルク355Nmとなる。
モーター、インバーター、減速機を一体化した新型3-in-1パワートレインを日産車として初採用。独自のモーター制御技術により、静粛性の向上とよりスムースな走行性能を実現。
75kWh仕様では、満充電での航続距離600km以上(WLTC基準)を目標として開発されており、これは現行型(60kWhで450km)と比較すると、航続距離で150km以上の延伸、電費で6.5%以上の向上に相当する。
急速充電の効率化も図られており、指定した充電ポイントに向けてバッテリー温度などを最適化することで、充電時間の短縮を実現。北米仕様の75kWh仕様では、15分の充電(150kW充電器)で約210kmの航続距離回復を可能としている。
走行性能においては、快適性と質感の進化が見どころ。モーターの駆動トルクを緻密に制御し、ローターの磁石を斜め構造に配置することで、モーター特有の微小なトルク変動を抑制。高剛性モーターマウントブラケットなども相まって、BEVの強みである静粛性と滑らかさを高めている。
プラットフォームはCMF-EVをベースに開発。フロントサスはストラット式、リヤサスはマルチリンク式を採用。強化されたボディの横方向剛性は現行型よりも66%向上。
シャシーは、CMF-EVプラットフォームをベースに開発。走行性能のグレードアップが図られ、リヤサスペンションには、アリアやエクストレイルにも採用されているマルチリンク式独立懸架を採用。現行型のトーションビーム式からクラスアップするなど、アリアのダウンサイジング版ともいえる構成になっている。
前のクルマが減速しドライバーがアクセルペダルを戻すと、システムがなめらかにブレーキを制御して速度を落とすことで、ドライバーの減速操作をサポートする「インテリジェントディスタンスコントロール」や「プロパイロットプロ」など、日常の運転の安心感を高めるための、先進的な運転支援技術も搭載される。
新型リーフは、日本の栃木工場とイギリスのサンダーランド工場で生産。価格などの詳細は、販売開始時期に合わせて各市場にて発表される予定だ。
新型リーフ 主要諸元(北米仕様車) | ||
バッテリー容量 (使用可能電力量) | 52.9kWh | 75.1kWh |
最高出力 | 130kW | 160kW |
最大トルク | 345Nm | 355Nm |
最高速度 | 160km/h | 160km/h |
一充電走行距離 (社内測定値) | – | 最大303miles (EPA) 日本/欧州 600km以上 |
急速充電規格 | NACS(日本:チャデモ、欧州:CCS) | |
全長 | 4,405mm (日本 : 4,360mm、欧州 : 4,350mm) | |
全幅 | 1,810mm | |
全高 | 1,557mm (日本、欧州:1550mm ) | |
重量 (モデル、装備により異なる) | 1,794kg-1,982kg | |
ホイールベース | 2,690mm | |
サスペンション | フロント:ストラット式、リア:マルチリンク式 | |
Cd値 (社内測定値) | 0.26 (欧州仕様は0.25) | |
荷室容量 (社内測定値) | 420L (欧州仕様は437L) | |
タイヤ寸法(前後) | 215/55R18 235/45R19 195/60R18 (欧州仕様のみ) |
空力性能を追求した特徴的なデザインの19インチアルミホイール。ブラック基調にホワイトのアクセントが施され、未来的なボディカラーとのコントラストも楽しめる。
「BOSE」のロゴがあしらわれたヘッドレスト一体型のスピーカー。パーソナルで没入感のあるサウンド体験してくれる。
センターコンソールには、スマートフォンなどのワイヤレス充電スペースを完備。すっきりと収まるデザインで、充電ケーブルの煩わしさから解放される。ドリンクホルダーも備わるなど、機能性とデザイン性を両立している。
フロントマスクは、日産のEVを象徴するVモーションがさらに進化。シャープなLEDヘッドライトと光るエンブレムが、未来的な表情を楽しませてくれる。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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