
6月20日に日本国内への導入が発表され、注文受付がスタートしたフォルクスワーゲン「ID.Buzz(アイディー バズ)」。ワーゲンバスの愛称で長年親しまれてきたフォルクスワーゲン・Type2を彷彿させるレトロな雰囲気を漂わせるデザインが一番の見どころだが、実は中身は最新のBEVというギャップも大いに興味をかき立てるところ。今回は取材時間の関係で助手席と2列目シートの同乗試乗となったが、その魅力を十分に味わうことができたのだ。
●文:月刊自家用車編集部 ●写真:編集部/フォルクスワーゲン・ジャパン
可愛らしいワーゲンバスを、現代風にオマージュ
試乗したのは、ロングホイールベースモデルの「ID.Buzz Pro Long Wheelbase」。全長4965mm、全幅1985mm、全高1925mmと堂々たる体躯を持つこともあって、可愛らしいワーゲンバスとは全く異なるが、全体としての雰囲気が似ているのはデザイン力の勝利。駆動方式をRWDとしたことによるシュートノーズ化が功を奏している。
ショートオーバーハングのプロポーションや、フロントフェイスの特大のVWロゴ、現代風にアレンジされたクラシックなスライディング・ウィンドウ、ツートンカラーで色分けされたフロントフェイスなど、細部にわたり「ワーゲンバス」へのオマージュが施されていることが魅力のひとつ。
大型ディスプレイが目を引くフォルクスワーゲン「ID.Buzz」の運転席。シンプルながら機能的なデザインは、長距離移動でもドライバーにストレスを与えない。EVならではの静かでスムーズな走りを楽しめるという。
家族で出かけるレジャーシーンでも、活躍できるのは間違いない
ホイールベースの延長の恩恵はキャビンスペースの拡大に当てられており、2列目も標準モデルの「Pro」の独立2座キャプテンシートとは異なるベンチシートで、乗車定員も1名増の7人乗りとなる。シート自体がたっぷりとしたサイズなことと、シートスライドの調整幅も大きくなるため脚を組んだり投げ出したりしてもフットスペースは余裕たっぷり。ちょっとしたラウンジといったところだ。
3列目シートはさすがに2列目ほどの余裕はないが、足元も含めて長距離移動も十分にこなせる空間が確保されているため、日常使いにも十分対応できると思う。アレンジ性も含めて、国内のミニバン好きも視野にいれたレイアウトだ。
3列目シートも大柄な男性でも不自由しないスペースを確保。ちなみに3列目シートは脱着することも可能。広大な荷室スペースとして活用することもできる。
重みの効いた落ち着いた乗り心地にも好感
ロングホイールベースとBEVならではの低重心が生み出す、ゆったりとした動きがクルマのキャラクターととても良く合っているのもいいところ。六本木から外苑周辺をしばらく乗っていると、なんだか温かい気持ちになってきた。そのワケは人々のにっこりとした笑顔。乗っている人はもちろん、街中を走るID.Buzzがその姿を眺める人の表情を和ませていることに気づいたから。ハッピーを運ぶクルマってなんてステキなんだろう。これはドライブが楽しくなって仕方がない。
見晴らしの良い透過機能付きパノラマガラスルーフは、透明モードでも抜群の遮熱性能を誇る。試乗した時の外気温は35度前後の炎天下だったが、熱を感じるシーンは皆無だった。
一充電走行距離は500km超え。家族のミニバンとして合格点
気になる電費も良好。WLTCモードで554km(Proは524km)の一充電走行距離は実用面で大いに魅力的だし、286PS/57.1kgmのパワースペックがもたらす力強さもありがたい。こんなクルマを所有していれば、家族や友人たちとのお出かけやレジャーもよりいっそう楽しくなること間違いなし。一番の問題は車庫をかなり選ぶサイズだろうか? いずれにせよ興味を持つユーザーは多いはず。試乗車も多く用意されるというので、ぜひ一度ディーラーを訪ねてみて欲しい。
全周囲カメラや各種センサーを備える駐車支援機能が充実するなど、大柄なボディを苦にさせない工夫も抜かりなく盛り込まれている。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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