
マツダブースの目玉の一つとなる新型CX-5は、モビショーがジャパンプレミア。2025年末から欧州市場を皮切りに世界市場への投入がアナウンスされている。
●文:月刊自家用車編集部(横田晃)
ホイールベース拡大を感じさせない、巧みなパッケージ設計が光る
2012年に登場した初代CX-5は、魂動デザインとSKYACTIV技術を全面採用した、マツダ社内では6世代商品と呼ばれているシリーズの第一弾だった。デザインも走りも高レベルにまとめられたそれは、世界で人気が高まっているCセグメントのSUVとして好評を得た。ただし、後に続いたデミオことマツダ2やマツダ3などの同世代モデルと比べると、まだ未消化の部分も見られ、2016年には早くも2代目へと進化した。
デザインも走りも渾身の作となった2代目は、目論見通り大ヒット。2018年以降はマツダの最量販車種として君臨し、丸9年間をトップランナーとして走り続けた。2世代合わせた販売実績は、世界100以上の国と地域で450万台以上になるという。
それを受けて誕生する新型(3代目)は、ひと目でCX-5とわかるキープコンセプトだ。魂動デザインの美しさは健在だが、じつはホイールベースが115㎜伸ばされているのに対して、前半分のプロポーションは2代目と変わらないため、難しい仕事だったとデザイナーは振り返る。
ホイールベース延長の理由は、前後席間距離を拡大してより広い室内を実現するため。
市場では3列シートを持つ兄貴分のCX-8を2列状態で使う人も多く、日本を含む世界の市場で、より広い室内を求める声は大きかったという。その恩恵は足元だけではなく、頭上空間も拡大され、後席ドア開口部も拡がって乗り降りも楽になっている。荷室フロアも縦方向に45㎜拡大して、A型ベビーカーが縦に積める広さを確保。2列目を倒せば身長190㎝級の人が寝られる広さとなる。その際には、畳んだ後席ヘッドレストを反対向きに差し込むことで枕になる親切設計だ。
CX-5の新旧比較。左が新型、右が現行型になる。
広くなったキャビン空間。実用面の向上は明らか
その一方で、インテリアの質感などは高級車然としていた2代目と比べると、むしろ実用車指向になっている。もちろん質素なわけではなく、マツダ自慢のクラフツマンシップが息づく精緻な作りなのだが、クロームメッキの量を意図的に抑えるなど、全体として遠慮なく使える道具感が前面に出ているのだ。
現行の2代目CX-5が登場した後で、エンジン縦置きの新世代FRシャシーを持つCX-60やCX-80が誕生し、高級車と遜色のない仕立てで好評を得た。その一方で、初代より高級化したCX-5には、「SUVなのに泥で汚しにくい」という声もあったという。
そこで、スペース効率に優れる横置きエンジンを受け継ぐCX-5には、レジャーから冠婚葬祭まで、デイリーユースで気兼ねなく使える万能車としての個性が与えられたというわけだ。
グレード:Centre-Line(欧州仕様)内装:黒合皮
マツダ車初となるGoogleビルドインを搭載
マツダ車初となるGoogleの搭載も、その一環。最近はディスプレイオーディオを備えてアンドロイドオートなどのアプリでスマホと繋ぐインターフェイスが増えたが、新型CX-5は車両自体にGoogleがインストールされ、プレイストアから必要なアプリを専用回線でダウンロードして15.6インチのセンターディスプレイで操るのだ。
車載ITは、Google搭載モデルを搭載。15.6インチのセンターディスプレイが組み合わされる。グレード:Homura(欧州仕様)
メインメーターもフルカラー液晶化。グレード:Homura(欧州仕様)
おなじみのGoogleマップやスポティファイなどのアプリが音声対話でさくさく使える。オーディオやシートヒーターの操作、給油口の位置のお知らせまで、音声で対話可能。
パワートレーンは当初は2.5Lのガソリンエンジン+マイルドハイブリッドだが、2027年以降には、さらなる環境性能を実現したSKYACTIV-Zエンジンとマツダオリジナルのストロングハイブリッドの組み合わせも搭乗する予定。これからもCX-5は、マツダの大黒柱を担うモデルになりそうだ。
2026年に導入予定の国内仕様車は、2.5Lのガソリンエンジン+マイルドハイブリッドの組み合わせになる。2027年にはストロングハイブリッドモデルの投入も予定している。
写真ギャラリー
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(マツダ)
マツダの世界観を具現化するビジョンモデルが世界初公開される。 出展テーマは「走る歓びは、地球を笑顔にする」 今回の出展テーマは「走る歓びは、地球を笑顔にする」で、技術革新と社会インフラ整備[…]
クリーンディーゼルエンジン搭載車の商品強化を図る 今回導入される「XD Drive Edition」は、幅広いニーズに応えるため5モデルすべてに設定される。各モデルともディーゼルターボエンジンを搭載し[…]
初期型 NA6CE(1989年) 未知の需要に果敢に挑戦して大ヒットを記録 初代ロードスターこと、「ユーノス・ロードスター(NA系)」が発売されたのは1989年です。年号が昭和から平成に切り替わった年[…]
東洋工業(マツダ)は、戦後復興に貢献した3輪トラックのトップメーカーだった プロ野球チーム広島東洋カープは、かつて野武士集団とも形容された個性的な市民球団だ。その歩みは長く、球団オーナーを務める松田家[…]
前期型 ロータリーエンジンの開発は、自動車メーカーとして生き残りをかけたマツダの賭けだった コスモスポーツの開発は、単なる新型車の開発ではなく、マツダの社運をかけた一大プロジェクトだった。当時の松田恒[…]
人気記事ランキング(全体)
オフローダーとしてのDNAをプラスすることで、アクティブビークルとしての資質をよりアピール 「デリカ」シリーズは、どんな天候や路面でも安全かつ快適に運転できる走行性能と、広々とした使い勝手のよい室内空[…]
スバルが目指すBEVの未来像。次期型レヴォーグのデザインを示唆するのか? 電気自動車(BEV)でスバルの次世代パフォーマンスカーを目指したのが、Performance E-STI concept。 「[…]
ブラック加飾でスポーティ感を演出した、日本専用の上級グレードを投入 2022年より海外で展開している6代目CR-Vは、国内向けモデルとしてFCEV(燃料電池車)が投入されているが、今回、e:HEVを搭[…]
車内には、活用できる部分が意外と多い カーグッズに対して、特に意識を払うことがない人でも、車内を見渡せば、何かしらのグッズが1つ2つは設置されているのではないだろうか。特に、現代では欠かすことができな[…]
家族のミニバンが、心地よい旅グルマへ 「フリード+ MV」は、ホンダのコンパクトミニバン「フリード+」をベースにしたキャンピング仕様。もともと使い勝手の良い車内空間をベースに、旅にも日常にもフィットす[…]
最新の投稿記事(全体)
ホイールベース拡大を感じさせない、巧みなパッケージ設計が光る 2012年に登場した初代CX-5は、魂動デザインとSKYACTIV技術を全面採用した、マツダ社内では6世代商品と呼ばれているシリーズの第一[…]
STIと並ぶもう一つの柱として、大きな期待を持ってデビュー ベースとなるプラットフォームは生産もトヨタに委託しているソルテラと共通だが、スバルのBEVとしては初めて自社の矢島工場での生産となるトレイル[…]
クロストレックが「ゴツい」タフ仕様に進化 クロストレックは、コンパクトなボディに本格的なSUV性能とラギッドかつスポーティなデザインを兼ね備え、都会からアウトドアまで幅広いシーンで活用できる多用途性を[…]
80年代は「いつかはクラウン」が象徴する、豊かさが訪れた時代だった 排ガス規制のクリアなどを通して、高い品質のクルマを安定して作れるようになった日本メーカーは、ユーザーの多様化に呼応した、きめ細やかな[…]
「誰の真似もせず、自信にあふれること。冒険的で、革新的であること」 新たな「変化」を公言することになったレクサスだが、その根底にあるのは、チーフ・ブランディング・オフィサーであるサイモン・ハンフリーズ[…]
- 1
- 2




































 
  