16年ぶりの全面刷新。「走り」が期待できそうな新型エルグランドは、「ライバル」に勝てるのか?│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

16年ぶりの全面刷新。「走り」が期待できそうな新型エルグランドは、「ライバル」に勝てるのか?

16年ぶりの全面刷新。「走り」が期待できそうな新型エルグランドは、「ライバル」に勝てるのか?

来年夏に国内デビューする新型エルグランドは、じつに16年ぶりとなるフルモデルチェンジとなる。熱心なニッサン党が長らく待ち望んでいたLクラスミニバンだけに、販売面でも大きな注目を集めるのは間違いない。現状で分かっていること、予想される価格などをまとめてみた。

●文:月刊自家用車編集部

現行モデルはライバルに完敗

そもそもLクラスのプレミアムミニバンは、1997年に登場した初代エルグランドがパイオニア。それまでの商用バンベースの1BOXミニバンとは一線を画した、乗用車ベースのFRシャシーと大排気量エンジンによるダイナミックな走り、快適な室内は好評を得て、たちまち新しい市場を開拓した。

2002年に登場した2代目は、初代の快進撃を受けてキープコンセプト路線を追求。専用シャシーのFRの走りは洗練され、室内もさらに快適になっていたが、1日違いで発表されたライバルのアルファードにじわじわと押されてしまう。そこで2010年の3代目ではライバルと同じ横置きエンジンで広い室内を追求しつつ、車高を下げて走りの良さにこだわったものの、オラオラな迫力や押し出しを武器にするライバルに、完敗してしまった。

そこから長い冬眠を経て、いよいよ登場する4代目は、憎きライバルに真正面からリベンジを挑む。全長5m、全高2mに迫る堂々たる体躯に秘めた、最新電動技術が勝利の武器だ。

4代目となる新型エルグランドは、2026年夏にデビュー予定。威風堂々としたデザインと最新電動技術を武器に、強力なライバルに挑むことになる。

デザインコンセプトは「The private MAGLEV(日本語名:リニアモーターカー)」とし、非日常の旅に出かける高揚感や期待感を感じさせる特別なデザインが注がれる。

現行車からサイズを拡大したエクステリアは、ジャパンフラッグシップとして、“威風堂々”とした存在感を重視して開発。

新型は、ドライバーズカーとしての性能向上を重視して開発

開発コンセプトは「リミットレスグランドツアラー」。威風堂々としたデザインや快適な乗り心地に加えて、ドライバーズカーとしての適性にもとことんこだわり、いつまでも乗っていたいと思わせる走りに仕上げたという。

JMS2025が展示されたモデルは、洗練された2トーンカラーだが、ショーファーカー(運転手付きVIPカー)としても人気のライバルに負けない、迫力ある漆黒のバリエーションも用意される。押し出し感のあるマスクは日本の伝統工芸である組子がモチーフで、中に仕込まれたLEDランプによるアニメーションのおもてなしなど、日本車らしい心配りも自慢だ。

プライベートラウンジを謳う室内の広さは言うまでもないが、2列目シートには日産自慢の宙に浮いているようなかけ心地の中折れゼログラビティシートを採用するなど、快適さは申し分ない。国内モデルとしては初となる、4.3インチの大型統合型インターフェイスディスプレイなど、先進性もプレミアムだ。

インテリアは、特別なプライベートラウンジのような空間を目指して開発。広がりのあるインストルメントパネルデザインや、運転席からの視界が広がる高くなったアイポイントにより、安心感とともに誇らしさを感じられる設計とした。

日産国内モデル初となる14.3インチ大画面統合型インターフェースディスプレイを採用。

サポート性に優れるシート形状を採用するなど、ミニバンながら走りにこだわった設計が注がれる。ドアトリムには、エクステリアの組子パターンと統一感を持たせたキルティング地を採用。所有欲をくすぐる加飾も新型の特徴のひとつ。

2列目には、長時間でも快適に過ごせる左右独立タイプのリクライニングシートを装備。3列目シートも余裕をもたせたレイアウトで、7人フル乗車時の乗員快適性を追求している。

新世代のe-POWERとe-4ORCEを組み合わせた、最新電動モデルへ

そのうえで、このクルマの売り物はやっぱり走り。パワートレーンは新開発の発電特化型1.5リッターエンジンと緻密な制御で4輪をモーターで駆動する、新世代のe-POWERとe-4ORCEが組み合わされる。

第三世代となるe-POWERは、1.5リッター3気筒エンジンがベースだが、エクストレイルとは異なり可変圧縮比機構は採用されないが、圧倒的な滑らかさと静けさ、トップレベルの燃費を妥協なく両立するとのこと。インバーターや変速機など、5つの部品を1つにまとめた電動パワートレーンによって、軽量化と高剛性、静粛性向上も果たしているという。

そのパワーを路面に伝える新世代e-4ORCEは、走り出しや加減速時は揺れを抑えたフラットな動きで乗り物酔いをしにくい乗り心地を実現する一方、コーナリングではブレーキとも連携しながら行きたい方向に気持ちよく向きを変えるよう、4輪の駆動力をきめ細かく制御。

さらに全車に装備される電子制御のインテリジェントダイナミックサスペンションが、小さな凸凹のいなしからうねりのある路面、ワインディングでのロールを押さえた機敏なハンドリングまで、意のままの走りと快適な乗り心地を両立させる。

これらパワートレーンとサスペンションの統合制御によって、好みに合わせて選べる走行モードも6タイプ実装され、高速巡行からワインディング、街中に雪道まで、安心、快適で愉快なドライブが楽しめるミニバンに仕上がるという。

ベーシックな仕様でも600万円台からか?

このように新型エルグランドは、“技術の日産”にふさわしいハイテクを満載して、プレミアムミニバンの新しい価値の創造に挑む。

となると、気になるのは価格だが、セレナe-POWERの最上級グレードとなるルキシオン(484万7700円※FF仕様のみの設定) や、ライバルとなるアルファード・ハイブリッド(510万円〜882万円)の価格設定からして、現行型の価格(408万2100〜597万8500円)より大幅にアップするのは確実。さらにコストが嵩む4WD仕様のe-4ORCE車のみということを考えると、最もベーシックな仕様でも600万円台にはなるだろう。アルファード・ハイブリッドの最上級仕様エグゼグティブ ラウンジに対抗する最高峰グレードともなれば、必然的にほぼ同価格帯で勝負することになるはずだ。

2026年は久々にLクラスミニバンが熱い。新生エルグランドがアルファードにどこまで迫れるのか? 大きな注目を集めるのは間違いない。

3列目シートの格納は左右跳ね上げ式。座面の厚みをしっかりとった座り心地重視の設計もあって、格納時は少し出っ張り感が出てしまうタイプになる。

シフトセレクターはスイッチタイプ。

3Dサラウンド再生機能を備えたBOSE・22スピーカーサウンドシステムなど、上級モデルらしい装備も採用される。

サンルーフは前後2分割スライド式。

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