
トヨタ、開幕モンテで完全勝利。 新加入オリバー・ソルベルグが史上最年少Vを果たし、GRヤリスが表彰台を独占したWRC2026開幕戦。 あまりにも劇的なシーズンの幕開けとなった現地モナコでは、豊田章男会長による「水素Rally2」のデモランも実現し、欧州のファンを驚かせた。 レース結果と合わせ、現地で語られたモリゾウの「本音」に迫る。
●文:月刊自家用車編集部 ●写真:トヨタ自動車株式会社
「これ以上ないスタート」とは、まさにこのことだ。 2026年WRC開幕戦モンテカルロ
GRヤリスRally11号車(セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ)。WRCモンテカルロでは3位でフィニッシュ。
1月22日(木)から25日(日)にかけて、モナコおよびフランスで開催された2026年WRC(世界ラリー選手権)開幕戦ラリー・モンテカルロにおいて、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)が歴史的な勝利を飾った。新加入のオリバー・ソルベルグが初優勝を果たし、2位エルフィン・エバンス、3位セバスチャン・オジエと続き、GRヤリスRally1が表彰台を独占(1-2-3フィニッシュ)。最高のシーズンスタートを切った現地モナコには、TGR会長の豊田章男氏(モリゾウ)も駆けつけ、水素エンジン車両でのデモランや新体制への想いを語った。
史上最年少Vの衝撃とチームの結束
WRCモンテカルロで優勝したオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組。
最終日デイ4は雪やアイスバーンが混在する難コンディションとなったが、24歳のオリバー・ソルベルグがベテラン勢を抑えきり優勝。父ペター・ソルベルグも成し得なかったモンテカルロ制覇を、史上最年少記録で達成した。
現地で見守った豊田会長は、インタビューで「新加入のオリバーが、なんとエバンスとオジェの上にいる。しかも4位との差も結構あって」と驚きつつも、その活躍を称賛。レース中、ヤリ-マティ・ラトバラ代表に状況を尋ねた際のエピソードとして、「『(優勝は)まず大丈夫じゃないか』と言う彼に『明日もあるよね?』と返したら、『いやいや、私は私のボーイズをよく知ってるから大丈夫だ』と言っていた」と明かし、チーム代表とドライバー間の厚い信頼関係を強調した。
水素エンジン「Rally2」がモナコを疾走
GR Yaris Rally2 H2 コンセプトは、水素を燃料として燃焼させるため、走行時のCO₂排出はほぼゼロ。それでいながら、ガソリン車と同様の「内燃機関ならではの迫力ある排気音」や、ダイレクトな操作感はそのまま残されている。
また、今大会ではレースだけでなく、カーボンニュートラルに向けた新たな挑戦も披露された。豊田会長自らがステアリングを握り、水素エンジンを搭載した「GR Yaris Rally2 H2 コンセプト」でデモランを実施したのだ。
GR Yaris Rally2 H2 コンセプトのステアリングを握り、WRCモンテカルロのコースを走行したトヨタ自動車株式会社豊田章男会長(モリゾウ)。
走行後のインタビューで豊田会長は、「トップドライバーの中で私だけ単に運転が好きな『おじさん』ですが、モナコのオフィシャルコースを運転できたことは光栄」と笑顔を見せつつ、車両の進化について熱く語った。 「ベルギーで走らせた時はノーマルのヤリスに水素エンジンを積んだものでしたが、今回は『Rally2』。一歩前進というよりは、もっと前進じゃないですかね。モータースポーツの世界、しかもモナコに水素のラリー2が走った。これはちょっとバズってほしいですね(笑)」
「GR Yaris Rally2 H2 コンセプト」のベースとなっているのは、世界中のプライベーターに向けた競技車両「GR Yaris Rally2」。そこに、FCEV(燃料電池車)の「MIRAI」で培った技術を応用した70MPaの高圧水素タンクと、水素専用の直噴エンジンを搭載している。
「音を聞いている限りは(ガソリン車と)分からないと思う」と語るほどの完成度を見せた水素エンジン車。モータースポーツの未来の選択肢として、欧州のファンに強烈なインパクトを残したようだ。
「変化」こそが強さの秘訣、そして5月のラリージャパンへ
2026年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロ。TGR-WRTは表彰台を独占した。
また、2026年は開催時期が変更となる日本ラウンドについても言及。「ラリージャパンは5月になります。いい流れ、いいスタートが切れた中での開催になると思います」と期待を寄せ、「私も行きます」とファンの前で来場を約束した。
日本人ドライバーの勝田貴元も総合7位でポイントを獲得し、チーム全体が躍動したモンテカルロ。5月のラリージャパンに向け、トヨタの「もっといいクルマづくり」とWRCでの挑戦は加速し続ける。
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