
6月4日、スーパー耐久シリーズ富士24時間レース開催中の富士スピードウェイのイベント広場で行われた北米カムリのカスタム対決イベントにおいて、TOYOTA RACING会長でトヨタ自動車副社長の中嶋裕樹氏が、北米生産のカムリを日本市場へ導入する計画を正式に明言した。右ハンドル化を施したうえで2026年秋頃の国内販売開始を目指す。
●文:月刊自家用車編集部 ●写真:トヨタ自動車株式会社/月刊自家用車WEB編集部/奥隅圭之
米国の若者にセダンが原点回帰で人気
2025年北米SEMAショーで公開されたカムリGT-Sコンセプト。そのカッコ良さが多くの若者を惹きつけたという。
トヨタ自動車の中嶋裕樹副社長は、6月4日スーパー耐久シリーズ富士24時間レースのイベント会場(北米カムリカスタム対決)で北米カムリの逆輸入を明言。その後行われたラウンドテーブルでは、北米カムリの日本導入に向けた認証について「アメリカで作ったカムリを日本に持ってくること自体、新しいチャレンジです。だからこそ正規のルートでしっかり認証を受け、お客様にお届けすることが我々の当然の目標でした」と語った。タンドラやハイランダーが少量輸入を前提とした特別認証を活用したのに対し、カムリは日本に元来マーケットがあり、大きなボリュームでの展開を見据えた判断だという。
4ドアセダンのカムリは、2023年末に10代目で日本市場での販売を終了し、現在日本では販売されていないが、北米市場では根強い人気を誇る。中嶋裕樹副社長によると、現地を訪れた際、若者の間でカムリの人気が高まっていることに驚かされたという。親世代がSUVを乗り継いできたため、若い世代にとっては逆にセダンが「クールでカッコいい」と捉えられているのがその理由だ。
「右ハンドル化」と「認証プロセスの合理化」で日本の公道へ
昨年11月のスーパー耐久シリーズ最終戦富士で展示された北米カムリ。日本向けも北米カムリと同じケンタッキー工場で生産して輸入される。
北米カムリは2026年モデルでノーマルからスポーティモデルまで10グレード(FF/4WD)を揃える。日本仕様がどうなるかは現時点で不明。パワートレーンは2.5Lのハイブリッドのみだ。
すでにトヨタは、米国生産の大型モデルである「タンドラ」や「ハイランダー」で米国製乗用車の認定制度を活用して、日本へ正規導入して受注を重ねている実績がある。
これに続く形で、セダンの王道であるカムリの導入も進められる。アメリカ生産でありながら、日本のユーザー向けに右ハンドル仕様を用意し、日本の車検に適合する形で公道を走れるよう作り込まれているのがありがたいところだ。
導入へのハードルとなる認証手続きに関しても、国土交通省の応援や協力を得ながら、従来のように車両をすべて仕立ててから試験を受けるだけでなく、既存のデータも活用した「より合理的な方法」で進められているという。2026年6月末には認可(大臣認定)を取得する予定で、今秋の日本導入に向けた準備は着実に進んでいる。
写真はタイ王国向けの現行型カムリ右ハンドル仕様。
国内での販売目標について中嶋副社長は、「なんとか年間で1万台くらいは売りたい」と、意気込みを語った。将来的には、ベース車両の導入だけでなく、今回のカスタム対決で登場したものも含め、カスタムエアロパーツなどの市販化も視野に入れているという。
モリゾウ会長が語る「すべてのステークホルダーをウイナーに」
北米カムリカスタム対決のイベントの後半、モリゾウこと豊田章男会長は、日本の自動車産業の未来と貿易バランスの観点から熱い想いを語った。
北米カムリのカスタム対決イベントの場で公表されたこの日本導入計画に対し、モリゾウこと豊田章男会長は、日本の自動車産業の未来と貿易バランスの観点から以下のように熱い想いを語った。
「日本の自動車産業を支えるためには、ある程度、日本国内での生産量を確保しなければ経済波及効果を維持するのは難しい。しかし、関税問題などが浮上する中、我々はアメリカをはじめ世界中で車を作らせてもらっている。『メイド・バイ・トヨタ』の車を日本に導入することで、トレードバランスの改善にも貢献できるはずです。
私はこの関税や貿易の問題において、政府、マニュファクチャー(自動車メーカー)、そして何よりお客様という、すべてのステークホルダーを『ウイナー』にしたいんです。単なる関税交渉だけでなく、互いの強みを活かして双方がウイナーになる方法のひとつとして、このカムリの導入が機能してくれたらいいと願っています。」
単なるトヨタを代表するセダン復活のニュースに留まらず、グローバルな自動車産業の枠組みを見据えたトヨタの新たな挑戦。今秋上陸予定の右ハンドル仕様の北米カムリに、大きな注目が集まりそうだ。
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