
日産自動車は9日、Cセグメントのプレミアムモデルとなる新型グローバルSUV「テクトン」を発表。ルノーとの協業によりインドで開発・生産し、中東やアフリカなど世界50市場へ輸出する戦略車で、インド事業再生の要となる注目のモデルだ。
●文:月刊自家用車編集部 ●写真:日産自動車
アライアンスの強みを武器に、インドを「世界の輸出ハブ」へ
日産自動車が本日インドで発表したC-SUVセグメントの新型「テクトン(TECTON)」は、単なるニューモデルの枠にとどまらない存在だ。これは現在、日産が取り組んでいる経営再建計画「Re:Nissan」の勝負手ともなる。
自動車業界がかつてない激動期にある今、日産は経営資源をどこに集中させるかという難しい選択を迫られている。その答えが、高い経済成長を続けるインド市場であり、世界的に需要が増えているSUVセグメントだ。
テクトンの大きな強みは、ルノー・日産・三菱自動車のアライアンスの恩恵をフルに活かしている点にある。今回のモデルは、ルノーグループとの協業体制のもと、インド現地で開発から生産までを一貫して行う。ルノーグループのチェンナイ工場を生産拠点とすることで、コスト競争力も磨き上げられている。
この車はインド国内での販売だけでなく、中東やアフリカを含む約50の国と地域へ輸出される。つまり、インドを「ただの販売市場」として見るのではなく、高品質な車を世界へ供給する「戦略的輸出ハブ」へと位置づけ直したのだ。日産にとって、この生産と輸出の二軸を確立することは、グローバルでの事業体制を盤石にするため大きな一歩となるはずだ。
75年間に渡るSUVの歴史に、ユーザーのリアルな声を取り込む
熾烈なSUV市場で生き残るために、日産がこだわったのは「徹底的な顧客目線」だ。開発陣は、インド、中東、アフリカの数千人にもおよぶSUVユーザーと直接対話し、彼らが日常の運転で何を感じ、何に困り、どんなデザインを好むのかを徹底的に分析した。
日産といえば、かつて「パトロール」や「サファリ」で磨き上げた、道なき道を行く圧倒的な走破性と信頼性が代名詞だ。テクトンには、その75年にわたるSUVの血統がしっかりと流れている。しかし、それだけではない。現代のユーザーが求める「スマートさ」を融合させるため、細部まで磨き上げた。
外観は堂々たるパトロールの意匠を汲み取りつつ、都会にも馴染むモダンな佇まいも特徴のひとつ。Googleの技術をネイティブに搭載し、スマホを取り出さずとも直感的に地図やアプリを操作できるインテリア環境も整えられている。さらに、乗員に疲れを感じさせない広々としたキャビン空間と、日産独自の先進的な安全運転支援技術もモデルとしての魅力を向上させている。力強いSUVの伝統と、デジタル時代の利便性。この両立こそがテクトンの見どころと言える。
「テクトン」が証明する、日産の新しいビジネスモデル
ワールドプレミアの壇上に立ったチーフ・パフォーマンス・オフィサーのギョーム・カルティエは、テクトンという存在に込めた決意をこう語った。
「インドにおいて、より強く、より競争力のある日産を築く。そのためのパートナーシップを活用し、市場を切り拓くモデルがこのテクトンだ」
この言葉の裏には、これまでのやり方を根本から変えるという強い意志が感じられる。パートナーと連携して効率よく生産し、求められる価格で、確実に顧客の心をつかむ。このサイクルを確立することで、インド事業を再生し、さらにグローバル全体の底上げも狙う。テクトンは、そのための試金石となる存在なのだ。
この新型車が市場でどのような評価を受けるか。それは日産の今後を占うだけでなく、自動車メーカーが激しい競争を勝ち抜くためにどう変化すべきか、その答えを示すことにもなるだろう。日産がこのテクトンを皮切りに、世界中のユーザーに新しい未来を見せてくれるはずだ。
力強いエクステリアデザインはパトロールに通じるものも感じさせる。
プロテクター風のホイールアーチモールやがっしりとしたルーフレールなどが目を引く。
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