
冬道の運転で不安を感じやすいSUV特有の横滑りや車重による挙動変化。ヨコハマの最新「アイスガード8 SUV」は、旋回性能や限界域での粘りを飛躍的に向上させ、その弱点を克服したという。
●文:川島茂夫 ●写真:横浜ゴム
乗用車用とは一味違う、SUV専用スタッドレス
昨シーズン登場し、高い完成度で話題を呼んだ横浜ゴムのスタッドレスタイヤ「アイスガード8」に、待望のSUV版「アイスガード8 SUV」が加わった。
単にSUVサイズを揃えただけでなく、吸水素材「水膜バスター」などのコア技術を継承しつつ、高重量・高重心なSUVの車体特性に合わせてトータルで最適化を施した意欲作という。
また、SUVへの最適化は氷雪上性能に限らずオンロード性能も含めた性能全般に及んでいるそうだ。
SUVのための設計が最も分かりやすく表れているのがトレッドパターンだ。ベースモデルに対して接地幅を3%拡大し、大ぶりなリブとブロックで剛性を16%ほど向上させたという。、氷上では鋭いエッジを利かせ、雪上では力強く路面を噛み込む力強い造形に仕上げられている。
高荷重・高速化する最新SUVに対応した専用構造を採用。実接地面積を3%拡大し、リブ・ブロックの大型化により剛性を16%向上。「ベルト状の大型センターリブ」や「相互に支えるブロック形状」が、氷雪路面での確実な足回破性と高い操縦安定性を実現。
旋回性能が大幅進化。横グリップが生む安心感が心強い
さっそく氷盤と圧雪コースでその実力を試したところ、セダン用のアイスガード8が「縦方向の限界グリップ」を追求していたのに対し、このSUV用は味付けが大きく異なっている。
限界性能の高さもさることながら、横方向の粘り強さとコントロール性の高さが際立っている。
従来モデル(G075)との比較データでは、制動距離を約4%短縮したのに対し、旋回の平均ラップタイムは8%ほど短縮されるとのこと。加減速時以上に横Gがかかった際の挙動変化が大きいSUVにおいて、この横グリップの飛躍的な向上は操縦安定性に直結してくるはずだ。
従来型(G075)との制動比較テスト。氷上・雪上性能をブラッシュアップし、重いSUVでも短い距離で確実に止まる優れた制動力を手に入れている。
また、圧巻だったのは氷上での旋回能力の高さだ。限界を超えて滑り出してもグリップが唐突に抜けず、滑りながらもググッと踏み止まる粘りを見せる。滑ってからの修正や立て直しが極めて容易で、ラップタイム以上の「扱いやすさと絶対的な安心感」をドライバーにもたらしてくれるだろう。
吸水素材が氷の上の水膜を効率よく除去し接地感をもたらす。ツルツルに磨かれた氷盤路面でもABSとの良好なマッチングだったことも印象的。
雪上ではショルダー部で横滑りを抑えつつ、トレッド中央で力強く雪を噛んで前へ進む印象が強め。新雪から氷が露出したミューの低い路面まで、挙動は終始マイルドで、予期せぬ唐突な裏切りがない。このあたりの扱いやすさは、セダン用アイスガードの良いところをしっかり継承しているというわけだ。
今回の試乗では、わだち跨ぎの直進安定性までは試せなかったが、この限界域での懐の深さなら、悪路での走破性も大いに期待できそう。
4年目も初期の氷上性能を維持するロングライフを実現
また、メーカーによると本製品では、経年劣化への対策も入念に施したとのこと。独自技術により、性能低下が顕著になる4年目でも新品時に近い氷上性能をキープできるという。雪国ユーザーにとって、このロングライフ性能は大きな経済的メリットになるはずだ。
氷上摩擦力の経時劣化比較グラフ。劣化抑制剤を配合した「冬ピタ吸水ゴム SUV」を採用し、性能低下が目立ち始める約4年後でも使用開始時に近い高い氷上グリップ力を維持するという。
氷雪上のグリップの良さにとどまらず、限界付近でのコントロール性能を高めることで、ドライバーの疲労やストレスまで軽減してくれるのは、多くのドライバーが頼もしく思うはず。SUVに乗り慣れたベテランはもちろん、冬道の運転に不安を抱えるビギナードライバーにも、オススメできる優れたスタッドレスタイヤだ。
滑り出しの挙動がマイルドで、万が一の際も復帰しやすい優れたコントロール性を発揮。雪道に不安を感じるドライバーにもオススメできる。
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