
軽トラックを仕事で使う人にとって、燃料代は無視できないコストだ。毎日決まった距離を走る車両なら、わずかな差でも年間では大きな金額になる。
そんななか、フォロフライが軽トラックタイプの商用EV「FKT(エフケーティー)」の受注を2026年9月7日から開始した。同社の試算では、FKTの走行1kmあたりの電気代は約2.7~3円。比較対象のガソリン軽トラックは約10.3円/kmとしており、走行コストは約4分の1になるという。
しかも、FKTはEVになっても最大積載量350kgを確保。一充電走行距離は225kmで、キャビンにはAC100V電源も標準装備する。
●文:月刊自家用車編集部 ●写真:フォロフライ株式会社
年間9万円以上の差? ガソリン軽トラと比較すると
まず気になるのが、EVならではの走行コストだ。
フォロフライによると、営業所での夜間充電を中心とした運用なら、FKTの1kmあたりの電気代は約2.7~3円。年間1万2500km、つまり「1日50km×年間250日」走行した場合、年間の走行コストは約3万3000~3万7000円となる。
一方、比較対象となるガソリン軽トラックは約10.3円/kmで、年間では約12万9000円。同社の試算によると、1台あたり年間9万円以上の差が生じるのだそうだ。
ただし、これはあくまで同社による試算。レギュラーガソリン170.1円/L、夜間電力単価20円/kWh、FKTの電費7.5km/kWhなど、一定の条件を設定して比較している。車両価格や充電設備の設置費用、税金、保険料、整備費用などは含まれていない。
それでも、毎日一定の距離を走る配送車や公用車などでは、燃料費を抑えられる可能性があることはFKTの大きな特徴といえる。
225km走れて、最大350kgを積める
商用車として重要なのが「どれだけ走れて、どれだけ積めるか」だ。
FKTは30kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載し、一充電走行距離は225km。これはWLTC相当の条件による同社テスト値となる。市街地での配送や、決まったエリアを巡回するような業務であれば、日中に充電せず、営業所に戻ってから夜間に充電する運用も想定されている。
普通充電は6kWに対応し、充電時間は約5時間。急速充電では約1時間とされ、CHAdeMO規格に対応する。そして、EVになっても最大積載量は350kg。荷台は長さ1669mm×幅1380mm×高さ370mmで、荷台床面の地上高は660mmとなっている。
車両サイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1980mm。乗車定員は2名で、最小回転半径は4.4m。
4WDの設定はなく、駆動方式は2WDのみ。未舗装路や勾配のある場所などで使う場合は、導入前に確認しておきたいポイントだ。
「クルマが電源になる」AC100V電源を標準装備
FKTには、もうひとつEVならではの特徴がある。それが、AC100V電源をキャビン内に標準装備していることだ。
電動工具や投光器などを現場で使用できるため、作業場所によっては発電機を持ち込む必要がなくなる。エンジンをかけたまま電源を取る必要もないため、住宅街での早朝作業や屋内・構内での作業との相性もよさそうだ。
停電時の電源としての活用も想定されている。
ただし、使用できる電力には上限があり、走行用バッテリーの残量によっては使用できない場合もあるため、接続する機器の消費電力などを事前に確認する必要がある。
AC100V電源をキャビン内に標準装備。電動工具や投光器などを、現場でそのまま使用可能。
配送、自治体、農業などを想定
フォロフライが想定しているのは、ラストワンマイル配送やルート集配、自治体の公用車、農業・施設管理など。たとえば配送業務なら、営業所で夜間に充電して翌朝出発。住宅街での配送でもEVならではの静粛性を生かせる。
自治体の公用車では、100V電源を停電時の電源として活用することも想定。農業や施設管理では、構内での運搬や集出荷場との往復に加え、現場で電動工具を使うといった用途も考えられる。
なお、荷台に専用の荷箱を架装した「FKT-B」もオプションとして設定される。
価格は個別案内。最大87万3000円の補助金も
気になる車両価格はオープン価格。特設サイトでは個別に案内するとしており、1台から相談できる。
事業用で購入する場合は、一般財団法人環境優良車普及機構(LEVO)が執行する「令和7年度補正予算 商用車等の電動化促進事業(トラック)」を活用でき、FKTの事業用補助基準額は最大87万3000円とされている。補助制度の内容や予算枠は変更される可能性があるため、実際に導入する際は最新情報を確認したい。
FKTは、軽トラックとしての最大積載量350kgを維持しながら225kmの一充電走行距離を確保し、さらにAC100V電源まで備えた商用EVだ。車両価格そのものは個別案内となっているものの、「毎日決まった距離を走る」「夜間に充電できる」「現場で電源を使う」という条件がそろう事業者にとっては、EV化を検討する理由になりそうだ。
軽トラックの使い勝手を残しながら、燃料費や静粛性、電源機能といったEVならではのメリットをどこまで仕事に生かせるのか。フォロフライの新型「FKT」は、そんな商用車の電動化を具体的に考えさせる1台といえる。
諸元表
| 寸法・重量 | |
|---|---|
| 全長 | 3,395mm |
| 全幅 | 1,475mm |
| 全高 | 1,980mm |
| ホイールベース | 2,430mm |
| 荷台寸法(長×幅×高) | 1,669mm×1,380mm×370mm |
| 荷台床面地上高 | 660mm |
| 車両重量 | 1,080kg |
| 乗車定員 | 2名 |
| 最大積載量 | 350kg |
| 性能 | |
| 最小回転半径 | 4.4m |
| 一充電走行距離 | 225km(WLTC相当の条件による当社テスト値) |
| 充電時間 | AC(普通充電 6kW)約5時間/DC(急速充電)約1時間 |
| 駆動用バッテリー | |
| 種類 | リン酸鉄リチウムイオン電池 |
| 総電力量 | 30kWh |
| 原動機 | |
| 最高出力 | 30kW |
| 最大トルク | 120N・m |
| 走行装置 | |
| 駆動方式 | 2WD |
| タイヤサイズ(前/後) | 145R12 LT 8PR 86/84S |
| 充電・電源 | |
| 普通充電リッド(AC) | J1772規格 |
| 急速充電リッド(DC) | CHAdeMO規格 |
| AC100V電源 | 1ヶ所 |
| USB電源 | 2ヶ所 |
| バッテリー用ヒーター | 標準装備 |
| 主な安全装備 | |
| 安全装備 | 衝突被害軽減ブレーキ(前方・後方)/車線逸脱警報機能/前方車両発進通知機能/ESC(電子式横滑り防止装置)/障害物警報機能(前方・後方)/超音波センサー(フロント/リア)/バックカメラ/坂道発進サポート機能/運転席・助手席SRSエアバッグ/3点式シートベルト(プリテンショナー機能付)/EDR(イベント・データ・レコーダー)/ABS/衝撃吸収ボディ/歩行者被害軽減ボディ/高電圧遮断システム/低速車両接近通報装置/後退時警報音/車速連動オートドアロック |
| 主な快適装備 | |
| 快適装備 | TFT液晶マルチインフォメーションディスプレイ/センターディスプレイ/エアコン/リモコンキー・プッシュスタートシステム/運転席・助手席パワーウィンドウ/運転席シートヒーター(座面のみ)/大型ドアミラー(ウインカー付き、電動格納機能付き)/LEDヘッドランプ/車載通信端末(コネクテッド・サービス) |
| オプション | |
| オプション | 運転席・助手席フロアマット/充電ケーブル |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
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