
旅に出る自由をさらに深めてくれるのが、軽キャンピングカーの進化だ。中でも岡モータースが手がける「ミニチュアクルーズ ATRAI SV」は、ベース車にダイハツ・アトレーを採用し、アウトドアでも自宅のように快適な空間を提供する。ソーラーパネルによる電源確保、実用性を高めた家具設計、豊富な収納など、軽自動車のサイズを超えた充実ぶりが魅力だ。今回は、その装備内容をじっくりと見ていこう。
●文:月刊自家用車編集部
太陽光を活用した電源システムで、電力の心配から解放される
「ミニチュアクルーズ ATRAI SV」の大きな特徴のひとつが、標準装備されるSHARP製225Wソーラーパネルだ。車両のルーフにスマートに装着されており、走行や停車中に太陽光を効率よくサブバッテリーに蓄電してくれる。これにより、電源インフラのない場所でも長時間の滞在が可能となり、キャンプや車中泊の自由度が格段に向上している。
電力は、車載の100Vコンセント(3カ所)とUSBソケット(1カ所)を通じて利用でき、スマートフォンの充電はもちろん、家庭用電子レンジなどの家電製品にも対応する。しかも電子レンジは18Lの大容量タイプをビルトイン。キャビネット内に設置されており、車内・車外どちらからでもアクセスしやすい縦開き構造だ。まさに“動くキッチン”といえる装備が整っている。
利便性と多用途性を兼ね備えたフレキシブルな装備群
「ミニチュアクルーズ ATRAI SV」は、その名のとおりコンパクトながら、多様な使い方を可能にする装備が揃っている。例えば、車内とバックゲート下の両方で使える3WAYテーブルは、食事や作業、リラックスタイムに柔軟に対応。車内ではセカンドシートとリアベッドマットでテーブルを囲んだ“対面対座モード”にも展開可能で、まるで小さなダイニングのような空間が出現する。
さらに、ステンレス製のシンクには伸縮式シャワーヘッドを装備。調理や簡単な洗い物にも対応できる。10Lの給水タンクは2個標準で備わっており、FFヒーター装着車は1個となるが、それでも十分な容量だ。
静粛性と断熱性に優れたウインドウシステム
車内の快適性を高めるための細やかな工夫も光る。ペアアクリルウインドウ(Ver.2)は、車内の空気をアウター底部から静かに排出するシステムを備えており、夜間の使用もストレスがない。加えて、静音ファンと無段階風量調整機能を備えているため、就寝時にも室温調整が快適に行える。なお、この装備はオプションとなる。
用途に応じて選べる乗車・収納スタイル
「ミニチュアクルーズ ATRAI SV」は、乗車人数や使用目的に応じて3つのパターンから座席レイアウトと収納方式を選択できる。最大4名乗車に対応する標準仕様では、後席2脚の背もたれを倒すことでベッド展開が可能。また、セカンドシート足元収納スペースに後席シートを格納することで、対面対座モードへの移行もスムーズに行える。
オプション設定となる「マルチアンダーBOX」を装着することで、さらなる収納性が得られる。2個装着する2名乗車パターンでは、18Lのコンプレッサー式冷蔵庫とポータブルバッテリー(エコフローEFデルタ2およびエキストラバッテリー)を同時に格納可能。3名乗車パターンではBOXを1個設置し、冷蔵庫またはバッテリーのいずれかを収納する選択肢となる。用途に応じて最適なスタイルが選べるのも、このモデルの魅力だ。
大容量収納で荷物にも困らない
収納に関しても、細部まで工夫が行き届いている。セカンドシート足元の収納スペースは約150Lという大容量で、旅行カバンやクーラーボックスなどかさばる荷物を余裕を持って収められる。さらに後部ベッド下にも約100Lの大型収納庫を装備。ここには寝袋や着替え、折り畳みチェアのほか、オプションの外部テーブルを収納するスペースも確保されている。なお、FFヒーター装着時には収納容量が一部減少する。
自由な旅への、新たな選択肢
軽自動車のサイズを活かしつつ、装備面ではハイエース級の実用性を実現している「ミニチュアクルーズ ATRAI SV」。ソーラー発電による高い電源自立性と、住まうように過ごせる快適な室内環境は、まさに現代の“動くセカンドハウス”と呼ぶにふさわしい。日常から一歩抜け出し、自由な旅へと出かけるなら、この一台が新たな選択肢となるだろう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
大人の秘密基地が公道を走る?「N-VAN COMPO」が軽キャンの常識を変える 子どもの頃に憧れた秘密基地。その夢を大人になっても持ち続けている人にとって、「N-VAN COMPO」は心くすぐる存在か[…]
ポップアップで広がる空の部屋。家族旅を快適にするミニバンキャンパー「セレナ P-SV」 ミニバンの実用性とキャンピングカーの機能性。その両方をバランスよく融合させたのが、日産ピーズクラフトが手がける「[…]
USBポートに挿すだけでOK! 高性能バージョンを早速購入 以前にも紹介したことがある、USBタイプのカーグッズ。車内のドレスアップにもなるアイテムで、筆者も気に入って愛用している。今回、その製品の進[…]
クルマのUSBポートに接続するだけで、YouTube動画などを楽しめる カーエンターテイメントアダプター「U2KIT CEA950」は、クルマのUSBポートに接続するだけで、手軽に高度な車内エンターテ[…]
カローラクロス:都市を駆ける洗練されたSUVへ カローラシリーズ初のSUVとして誕生したカローラクロス。「アーバン・アクティブ」をデザインテーマとしたエクステリアは、伸びやかなガラス面とランプが特徴的[…]
最新の投稿記事(全体)
キャンピングカー選びのジレンマを、解決すべく開発された 国内キャンピングカー市場は、レジャー需要の深化のみならず、災害時のシェルターやテレワーク拠点としての活用といった多用途性への関心の高まりを背景に[…]
コンパクトなのに本格派。街にも自然にも似合う一台 「小さくても本格的なキャンピングカーが欲しい」「普段使いできて、週末には自然の中でくつろぎたい」——そんなニーズに真っ向から応えるのが、KATOMOT[…]
センターディスプレイのグラフィックを最新インターフェイスに刷新 ボルボV60シリーズは、2024年には日本国内で約2200台が販売されるなど、XC40、XC60に次ぐ人気を持つエステートモデル。特に日[…]
国内テストドライバーのレベルアップなくして目指す「アシ」の実現なし クルマの足回りの出来映えは、複雑なメカニズムほど上等といったような単純なものではない。確かに、バブル景気で潤沢な開発資金を得た日本メ[…]
三菱車としては初のスペシャルティクーペ 「ギャランGTO」が発売されたのは、“いざなぎ景気”と呼ばれる高度経済成長期のただ中だった1970年です。国民総生産が世界2位まで駆け上がり、大阪万博の活況に国[…]
- 1
- 2