
●文:月刊自家用車編集部
アルファード:モデル概要
4代目となるアルファードは「性能を世界基準に昇華させる」を開発テーマに定め、プラットフォームを刷新、単なるミニバンから“高級サルーン”を意識したクルマになっており、振動や騒音対策、燃費や走りといった基本性能を大きく向上させている。
プラットフォームは、TNGAプラットフォーム(GA-K)をミニバン用に最適化したもので、ロッカーをストレート構造としたほか、同時に車体底部の後方にブレースをV字型に設けることで、車両剛性を従来型比約50%アップしている。さらに構造用接着剤の高減衰タイプを足元付近に用いて、車両後方のねじれ等が生じやすい箇所付近には高剛性タイプのものを使用するなど、それぞれ最適に塗布することでボディの変形を効果的に抑制している。
サスペンションは、フロント側はTNGA用のマクファーソンストラット式に刷新。リヤ側は従来のダブルウィッシュボーン式をベースに新たに開発したものを採用している。地面から伝わる振動の周波数に応じて減衰力を機械的に可変させる周波数感応型ショックアブソーバーを設定するなど、しっかりとした操縦安定性と同時に地面からの不快に感じるような微細な振動を吸収している。この入念な足まわり対策を施したことが、走行性能の向上に大きく貢献している。
キャビンについても、2列目のシートのクッションフレームの取付部分にゴム製のブッシュを配置したほか、背もたれやアームレストに低反発のフォームパッドを採用するなど、徹底的に防振の工夫を行なったことで静音化。搭乗者に伝わる振動は従来型比で約3分の1まで低減している。
安全運転支援システムは、最新のトヨタセーフティセンス【プロアクティブドライビングアシスト(車線内走行時常時操舵支援)/プロアクティブドライビングアシスト(信号交差点に対する右左折時減速支援)/高度運転支援技術「トヨタ チームメイト」/アドバンスト パーク(リモート機能付)/アドバンストドライブ(渋滞時支援)】を搭載。
アルファード:スタイリング&パッケージ
力強さと塊感も意識してデザインされたボディシルエット。全長4995mm/全幅1850mmのサイズは国産ミニバンとしては最大級だ。先代と比べると滑らかさが増して見えるため、流麗さが際立つ印象が強まっている印象を受ける。
アルミホイールはスーパークロームメタリック塗装が奢られたトリプルスポーク形状を採用。タイヤサイズは225/60R18と、ミニバンとしては相当な大径サイズ。
グリルデザインは平面と断面を階段状に重ねた形状で、グリルと一体化したフロントライトは3眼タイプのLEDヘッドランプ(上)とターンライト機能とデイライト機能を兼ねるコンビネーションライト(下)の組み合わせになる。
【TOYOTA ALPHARD EXCLUSIVE LOUNGE 2WD(2023年6月モデル)】 ●全長×全幅×全高:4995×1850×1935mm ●ホイールベース:3000mm ●車両重量:2230kg ●乗車定員:7名 ●パワーユニット:2487cc直4DOHC(190ps/24.1kg-m)+モーター(134kW/270Nm) ●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード総合燃費:17.5km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)/ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:225/65R17
【TOYOTA ALPHARD EXCLUSIVE LOUNGE PHEV 6人乗り(2025年1月モデル)】 ●全長×全幅×全高:4995×1850×1945mm ●ホイールベース:3000mm ●車両重量:2470kg ●乗車定員:6名 ●パワーユニット:2487cc直4DOHC(177ps/22.3kg-m)+モーター(134kW/270Nm) ●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード総合燃費:16.7km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)/ダブルウィッシュボーン式(R) ●タイヤ:225/55R19
アルファード:インパネ内装&シート
ドライバーを包み込むクルーザーのようなコクピットをイメージしたインパネデザイン。シフト切り替えを電動で行うことで、警戒な操作を可能とするエレクトロシフトマチックも選択可能。ドライバーをその気にさせる機能装備が増えたことも、新型の特徴のひとつになっている。
エクゼクティブラウンジの2列目シートは、目玉の「エグゼクティブラウンジシート」。オットマンも備えた豪華シートで、プライベートジェットのような最上級のおもてなし空間を楽しませてくれる。3列目シートは左右跳ね上げ式。荷室部分はボディ相応の広さがあり、一定のユーティリティ性能を持つが、シート座面の厚みの影響で格納時のスペース効率は今ひとつだ。
アルファード:パワートレーン
パワートレーンは、導入当初はガソリン車とハイブリッド車の2系統を用意していたが、2025年1月にプラグインハイブリッド車を追加。またガソリン車はヴェルファイアとは異なるラインアップで、2.5L NA(トランスミッションはスーパーCVT-i)の組み合わせになる。ハイブリッド車は、2.5Lのシリーズパラレルハイブリッドシステム、プラグインハイブリッド車は、ハイブリッド車と同じ2.5Lエンジンをベースとするが、出力密度の高い駆動用モーターを搭載することでシステム最高出力225kW(306ps)を発揮する。モーターを最大限活用することでハイブリッド車を超えるスムーズな加速を実現した。
ハイブリッド車のエンジンは、従来型と同じ2.5Lハイブリッドを引き継ぐが、エンジン出力もモーター出力もパワーアップしたことで、速度コントロールや余力感がさらに向上している。最新プラットフォームにアップデートされたことで、静粛性と乗り心地がさらに良化していることも現行型の魅力のひとつだ。
アルファード:モデル変遷
【2023年6月】4代目となるアルファードが発売開始
パワートレーンは2.5Lガソリン車と2.5Lハイブリッド車を選択可能。駆動方式はFFと4WDが用意されるが、ハイブリッド車はリヤ側にモーターを組み込むE-Fourと呼ばれるタイプになる。
グレードはガソリン車は1タイプ、ハイブリッド車は2タイプが用意される。なお、ウェルキャブ(福祉車両)としてGサイドリフトアップチルト装着車も用意されている(価格472万〜564万円)。最上級グレードのエグゼクティブラウンジは、ハイブリッド車専用となる。当時の月販目標台数は兄弟車のヴェルファイアと合わせて合計8500台とされていた。
●アルファード グレードバリエーション&価格【2023年6月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【2WD/4WD】 |
2493cc直4DOHC 182ps/24.0kg-m | Z【CVT】 | 540万円/559万8000円 |
2487cc直4DOHC 190ps/24.1kg-m + モーター 134kW/270Nm | Z【電気式CVT】 | 620万円/− |
Executive Lounge【電気式CVT】 | 850万円/− | |
2487cc直4DOHC 190ps/24.1kg-m + ツインモーター 134kW/270Nm(フロント) 40kW/121Nm(リヤ) | Z【電気式CVT】 | −/642万円 |
Executive Lounge【電気式CVT】 | −/872万円 |
【2025年01月:最新型】一部改良を実施。動力性能&環境性能を強化したプラグインハイブリッド車も追加
装備機能の強化に加えて、8人乗り仕様も追加
一部改良を実施。ガソリン車とハイブリッド車は、ドライブレコーダー(前後方)を備えたデジタルインナーミラーを全車標準装備にしたほか、JBLプレミアムサウンドシステム(15スピーカー)および14インチリヤシートエンターテインメントシステムの設定をZにも拡大。さらにハイブリッド車にセカンドシートをベンチシート仕様とした8人乗り仕様のXグレードを追加している。
エグゼクティブラウンジに6名乗りのプラグインハイブリッド車を追加
新設定したプラグインハイブリッド車は、音や振動の少ないEV主体の静粛性の高い走りや、大容量リチウムイオンバッテリーを床下に搭載した低重心で安定した走りにより乗員快適性も向上。ショーファーカーとしてさらに完成度が高まっている。搭載するプラグインハイブリッドシステムは、バッテリーに充電した電力だけで、ショーファーユースの日常移動の多くでEV走行が可能(EV走行換算距離73km)。
アルファード Executive Lounge(2.5Lプラグインハイブリッド E-Four 6人乗りタイプ)
●アルファード グレードバリエーション&価格【2025年1月モデル】 | ||
パワートレーン | グレード【トランスミッション】 | 価格【2WD/4WD】 |
2493cc直4DOHC 182ps/24.0kg-m | Z【CVT】 | 555万円/574万8000円 |
2487cc直4DOHC 190ps/24.1kg-m + モーター 134kW/270Nm | X【電気式CVT】 | 510万円/− |
Z【電気式CVT】 | 635万円/− | |
Executive Lounge【電気式CVT】 | 860万円/− | |
2487cc直4DOHC 190ps/24.1kg-m + ツインモーター 134kW/270Nm(フロント) 40kW/121Nm(リヤ) | X【電気式CVT】 | −/532万円 |
Z【電気式CVT】 | −/657万円 | |
Executive Lounge【電気式CVT】 | −/882万円 | |
2487cc直4DOHC 177ps/22.3kg-m + ツインモーター 134kW/270Nm(フロント) 40kW/121Nm(リヤ) | Executive Lounge(プラグインハイブリッド)【電気式CVT】 | −/1065万円 |
アルファード:最新値引き&納期情報(2025年2月現在)
- 車両本体目標値引き額:5万円
- 納期の目安:−
- リセール予想:A+
2024年末に一部改良を実施したタイミングで受注が再開されたが、オーダーが殺到したこともあって受注を停止している販売店が目立つ。ただガソリン車は3〜4か月で納車が可能というケースもある。今後の受注の再開時期については不透明なので、本気で購入を検討しているならば、複数の販売店に受注再開時に連絡が欲しいと伝えるのがベター。なお、値引きに関しては「車両価格の値引きはゼロ」で購入しているユーザーが大半だ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(アルファード)
PHEVモデルは、アルファード&ヴェルファイアの頂点に君臨するフラッグシップモデル さっそくアルファードPHEVの試乗車(6人乗り)を外観からチェックしてみると、ハイブリッドモデルとの大きな違いは見つ[…]
テールランプのオリジナルデザインは目を引くこと間違いなし! オリジナルデザインのテールランプやヘッドライトをアッセンブリすることを得意とするVALENTI(ヴァレンティ)が、『東京オートサロン2025[…]
アルファードPHEVは、月々11万6050円の支払いプランから利用が可能 KINTOは、車両の代金に加えて、自動車保険(任意保険)や自動車税、メンテナンス費などの諸費用も含め、月々いくらの月額利用料と[…]
シリーズ初となるプラグインハイブリッド車を追加 今回追加されるPHEV仕様は、音や振動の少ないEV主体の静粛性の高い走りと、大容量リチウムイオンバッテリーを床下に搭載した低重心で安定した走りを実現する[…]
アルファードがベースのキャンピングカー(グランドモーター) ベースとなる車両は広々とした高級感あふれるミニバン・アルファード。キャンピングカーとしてだけでなく、世間でよく見かける超人気車種だ。サイズが[…]
最新の関連記事(新車カタログ(国産車) | トヨタ)
RAV4 モデル概要:プレミアムキャラの強化でイメージ一新、トヨタ自慢のミドルSUV 現行型は5代目となるモデルで、国内向けのモデルとしては2005年に登場した3代目以来の復活になる。その開発コンセプ[…]
カローラ:モデル概要〈TNGA技術が注がれた新世代のベーシックセダン〉 カローラは、1966年に誕生して以来、世界150以上の国と地域で、販売累計台数が4750万台を超えるロングセラーモデル。12代目[…]
MIRAI:モデル概要|環境車から、クルマの本質で勝負できる 上質なセダンに進化 水素を燃料とするFCV(燃料電池自動車)は、ゼロエミッションでありながら短い燃料充填時間で長い航続距離を可能とす[…]
プリウス:モデル概要 プリウスは、1997年に世界初の量産型ハイブリッドカーとして誕生。以来、圧倒的な燃費性能を備えた新世代のエコカーとして、ハイブリッドの普及を牽引してきたモデルだ。 2023年に登[…]
クラウンセダン モデル概要:パーソナルからビジネスまで、オールマイティに使える新世代セダン 「クラウンセダン」は、新世代クラウン(16代目)の中では「クロスオーバー」「スポーツ」に続く3番目に登場。快[…]
人気記事ランキング(全体)
トヨタ ハイエースベースのキャンパー ロングトレイン(カトーモーター) ベースとなる車両はトヨタのハイエース。アウトドアを中心としたユーザーに、非常に人気の高い車だ。 ハイエースはなんと言ってもクラス[…]
清潔感漂う落ち着いたインテリアに、高機能を詰め込んだ ネストツールズは、自宅のリビング空間さながらを移設するカスタマイズが高く評価されているキャンピングカーブランド。今回紹介する「ラミータ」は、ハイエ[…]
アルファード:モデル概要 4代目となるアルファードは「性能を世界基準に昇華させる」を開発テーマに定め、プラットフォームを刷新、単なるミニバンから“高級サルーン”を意識したクルマになっており、振動や騒音[…]
ポルシェは2024年から東京マラソンオフィシャルパートナーとして運営車両を提供 ポルシェジャパンは、東京マラソンオフィシャルパートナーとして3年契約を結んでおり、東京マラソンの運営を支援する車両提供を[…]
三菱デリカD:5ベースのキャンパー D:キャンパー(グランドモーター) ベース車両はデリカD:5。ミニバン市場の中でもアウトドアに最適な4WDとして高い人気を誇っているこの車両を、キャンパーとしてさら[…]
最新の投稿記事(全体)
自分の意思でエネルギーマネジメントができる、世界レベルでも稀有なクルマ 最新アウトランダーの走り味を語り始める前に、まずアウトランダーにしかできないことをおさらいしておきましょう。 まず急速充電器が使[…]
ハイブリッドでもフルタイム4WDシステムが使える 注目のハイブリッドシステムは、トヨタ&レクサスでおなじみのシリーズパラレル式(=THS Ⅱ)ではなく、V6-3.5L直噴ツインターボと10速ATの間に[…]
ホンダはビート発表時、「アミューズメント」という言葉を使った。2シーター・ミッドシップというマニアックなスポーツカーでありながら、誰もが低価格でドライブを楽しめる。ビート(鼓動)のネーミングにはそんな[…]
他社にない製品を開発し続ける日本ブランド:KEIYO 「小粒でもピリリと辛い、ニッポンの電機メーカー」を標榜するKEIYO。 居眠りウォッチャーや常時録画ドラレコ、水をなじませて視界を確保する超親水フ[…]
アルファード:モデル概要 4代目となるアルファードは「性能を世界基準に昇華させる」を開発テーマに定め、プラットフォームを刷新、単なるミニバンから“高級サルーン”を意識したクルマになっており、振動や騒音[…]
- 1
- 2