スタッドレスタイヤとして抜群の知名度を誇るブリヂストン「ブリザック」。その最新モデルが昨年登場したばかりのVRX3だ。今回は、師走の北海道・新千歳モーターランドでリアルワールドでの雪上性能を体験したレポートをお届けしよう。
●文:川島茂夫 ●まとめ:月刊自家用車編集部 ●写真:(株)ブリヂストン/ 月刊自家用車編集部
氷上性能だけではない、安心感に満ちたタイヤ
ブリザックの最新モデルとなるVRX3の第一のセールスポイントは氷上性能である。前モデルとなるVRX2に対して氷上性能は2割アップ。横滑りに対しても強く、ABS等との相性もいい。事前に開催されたスケートリンクを用いた特設コースでの試乗でも謳い文句どおりの結果となった。
独自技術である発泡ゴムを進化させ、空隙の形状に毛細管現象を応用。吸水性をさらに向上させたフレキシブル発泡ゴムの採用など、搭載技術を見ても氷上性能への強いこだわりが理解できる。だからといって、氷上性能ばかりがVRXの特徴とするのは早計だ。
この試乗は圧雪等々の冬期に経験する可能性が高い路面での総合的な性能を試すのが目的である。しかし好天続きの北海道だったため、路面状況は試乗には不適な状況。圧雪ステージはシャーベットと濡れて柔らかく厚い圧雪。他はドライ路面。圧雪というより濡れた雪塊を踏み砕くような走りだ。細かな雪上性能がチェックできるような状況ではないのだが、走りにくい環境という点では安心感や扱いやすさが試される。
結論としては、どこも難なく走れてしまった。雪塊を踏み砕きなおかつグリップも失わないのはトレッドブロックの掛かりのよさと排雪性能のよさだろうし、ウェットからシャーベットへ移った瞬間に滑ったとしても大きくラインを乱さずグリップ回復させられた。路面状況の悪い部分を選って走らせても、そんな感じなのだ。
ドライ路面ではしっかりした路面感覚があり、中立付近が緩んだ印象もない。ロードノイズもとくに気にならず、ノーマルラジアルとさほど変わらない印象。限界性能まで求めれば差はあるのだろうが、ふつうに走っている限り難点は見当たらない。車内会話を楽しみながらの観光ドライブのような試乗になってしまった。
氷上性能のために他性能が犠牲になった感はなく、安心して氷上 重視で選べるスタッドレスなのだ。
信頼性抜群の「ブリザック」が11代目に
1988年に初代(PM10/20)が誕生してから世代を追うごとに進化を遂げてきたブリヂストン「ブリザック」シリーズ。昨年2021年に登場したVRX3はその11代目となる最新モデルだ。定評のある氷上性能をさらにアップさせたほか、ライフや効き持ちも向上しているのが見どころ。全111サイズの豊富なバリエーションを揃えている。
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