現地時間の6月6日から米Appleが開催している開発者向け会議「WWDC22」において基調講演が行われ、iPhone向けOSの最新版となる「iOS16」やApple Watch向けOSの「watchOS 9」、最新M2チップ搭載の新型「MacBook Air」、新型「13インチMacBook Pro」、macOSの最新版「macOS Ventura」、iPad向けOSの最新版「iPadOS 16」の発表とプレビューを行った。その中の「iOS16」パートでは次世代CarPlayが紹介され、現在のCarPlayで実現されいる以上の、スピードメーター/回転計も統合しながら表示、カスタマイズできる機能がアンヴェールされた。
●文:月刊自家用車編集部
車のデータを利用して速度、燃料の残量、気温などを計器類にシームレスに表示
「CarPlay」は、iPhoneを車に備え付けのディスプレイオーディオやカーナビゲーションに、Lightning – USBケーブルによる有線接続または、ワイヤレス接続し、車向けの表示画面でiPhone内のカーナビゲーションソフトの使用や音楽再生、電話の通話、メッセージの表示・音声読み上げが可能なシステムだ。昨今では、対応アプリも増えてどんどん便利になっているが、開発者向け会議「WWDC22」においてiPhone向けOSの最新版となる「iOS16」のお披露目とともに「次世代CarPlay」も公開された。「次世代CarPlay」についてAppleは「ドライバーのすべての画面にコンテンツを提供して統一された一貫性のある体験をもたらす」、「クルマとiPhoneのいいとこ取り」と基調講演内で説明している。
「CarPlay」は、米国内において98%以上の車が接続に対応し、さらに米国内のクルマ購入者の79%がCarPlayに対応したクルマのみを検討しているという。それほど人気のCarPlayだが、今回お披露目された「次世代CarPlay」は、今までのカーナビゲーションの延長線という範囲を超えて、車の速度や燃料計などメーターまで「CarPlay」で表示するという内容だ。
「次世代CarPlay」は新たに、あらかじめ車両に搭載されているカーエアコンの調整やラジオのコントロールが可能になり、さらには車のデータを利用して速度、燃料の残量、気温などを計器類にシームレスに表示する。ユーザーは、様々な計器類のデザインを選択して自分好みに変更できる。今回の基調講演のデモでは、多彩なメーター表示を公開。速度、燃料の残量、気温だけでなく、水温、油温、トルクやパワー表示も可能なようだ。また、ウィジェットへの対応が拡大され、天気やミュージックなどの情報を車のダッシュボードで一目で確認できるようになっている。
さらに、メーカーやブランドによって異なるインパネデザインによる、物理的なメーターやディスプレイオーディオ/カーナビゲーション画面レイアウトにも柔軟に対応。複雑なレイアウトでも、それに合わせた配置を「次世代CarPlay」側でやってくれるようだ。
●次世代CarPlayメーター表示パターン
Appleはこの「次世代CarPlay」開発にあたり、自動車メーカーと協力を重ねてきたという。現時点での対応予定メーカーは、ランドローバー/メルセデス・ベンツ/ポルシェ/日産/フォード/リンカーン/アウディ/ジャガー/アキュラ/ボルボ/ホンダ/ルノー/インフィニティ/ポールスターの15ブランド。次世代のCarPlayに関する詳細情報は、今後発表される予定で、対応車種については、来年後半に発表が開始される。
速度や回転計、燃料計の表示には車載コンピューターとの接続が必要だ。現時点で「次世代CarPlay」の詳細な接続方法は不明だが、有線またはワイヤレスでiPhoneと接続し、車からiPhoneへデータを送るということになるだろう。これらの機能により、現在の「CarPlay」で問題になっている、トンネル内や通信電波の弱い場所などでカーナビゲーション上での自車位置を失ってしまうなどのトラブルも「次世代CarPlay」と対応する車種の登場で、車速パルスなどをiPhoneに送信できるようになれば解決できるだろう。
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