マツダ マツダ2(デミオ)・クラス超えの実力ぶりが光る、走り自慢のコンパクトカー【国産車カタログ】

●文:月刊自家用車編集部(ハラ)

【プロフィール】2019年にモデルネームを「マツダ2」に変更

2014年に登場したコンパクトハッチバック。日本国内では「デミオ」として発売されていたが、2019年7月の一部改良時に、世界基準のグローバルネーム「マツダ2」に変更されている。

デビュー直後のパワートレーンは、1.3L直4ガソリン(92PS/12.3kg・m)と1.5L直4ディーゼルターボ(105PS/25.5kg・m)の2つ。トランスミッションは6速AT(FF/4WD)と5速MT(FF)を選ぶことができた。ガソリン車は2018年に1.5L直4(110PS/14.5kg・m)に変更されている。

スタイリングに重きをおいた魂動デザインを採用したこともあって、キャビンパッケージは前席優先の設計。他社のライバル車に比べると後席/荷室は手狭という弱みを持つが、クラスを超えた高級感や走りを楽しめる、独自のキャラクターを武器にしている。

魂動デザインが注入されることで、流麗なスタイリングを実現。撮影車は2020年の15S PROACTIVE S Package。

ディーゼルターボ車のXDはグリル内のガーニッシュが赤く塗装され差別化される。

【モデル変遷&グレード体系】ほぼ毎年、細かな年次改良を実施

2014年9月にフルモデルチェンジを実施。海外ではマツダ2として発売されたが、国内では4代目デミオとして発売されている。

デビュー当時のグレードは、1.3Lガソリン車(13C/13S/13S Lパッケージ)も1.5Lディーゼルターボ車(XD/XD ツーリング/XD ツーリング Lパッケージ)も、3つのタイプを設定。最上級グレードのLパッケージ車は、クロスレザーシートを標準装着する、欧州のプレミアムコンパクトを意識したグレード。デミオのイメージを変えた立役者ともいえる。

2015年9月3日にレバー操作で助手席を55度回転させることで乗降をサポートする、助手席回転シート車を追加(ガソリン車/ディーゼルターボ車)。9月24日にモータースポーツのベース車として適した15MBを追加。パワートレーンは1.5L直4ガソリン(116PS/15.1kg・m)で6速MT車のみ。

2015年12月に商品改良を実施。ディーゼルターボにエンジンのノック音を抑制する「ナチュラル・サウンド・スムーザー」を設定。ガソリン車の電動パワーステアリングの制御変更が行われた。新グレードとして「13S ツーリング」、特別仕様車として黒色の本革シートを採用する「BLACK LEATHER LIMITED」が設定された。

2016年10月に商品改良を実施。内外装配色を変更したほか、「G-Vectoring Control」を全車に標準装備。ディーゼルターボ車に「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」も採用。「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」の視認性向上やスマート・ブレーキ・サポート(SBS)、マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)など機能装備も強化されている。

2017年4月に商品改良を実施。「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」を標準装備して先進安全機能を強化。

2017年11月に「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」の設定車種を拡充。「360°ビュー・モニター」と「フロントパーキングセンサー(センター/コーナー)」を新設定した。特別仕様車「Noble Crimson(ノーブルクリムゾン)」も追加。

2018年8月に商品改良を実施。ガソリン車の搭載エンジンを1.3Lから1.5L車に変更。特別仕様車「Mist Maroon(ミスト・マルーン)」を設定。

2019年7月にモデル名をマツダ2に変更(9月発売)。内外装の意匠変更に加えて、新サスペンションへの変更、高速走行時の車両の挙動をより安定させる「G-ベクタリング コントロール プラス(GVC プラス)」の採用、頭がぶれにくい新構造のフロントシートなど、ドライブの質を高める機能装備の強化が行われている。安全運転支援機能も「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)[全車速追従機能付]停車保持機能なし」(AT車)を設定したほか、「レーンキープアシストシステム(LAS)」も選べるようになった。

2020年4月にマツダ創立100周年を記念した「100周年特別記念車」を1年間限定販売。

2021年6月に一部改良を実施。エンジン/装備の改良と新カラーを追加。ガソリン車のエンジンは圧縮比が12から14に変更され、e-SKYACTIV Xの開発で培ったエンジン制御技術を採用。特別仕様車「Sunlit Citrus」を設定した。

視認性に優れるキャビンデザイン。改良時にフロントシートを新設計するなど、人馬一体を意識した工夫も盛り込まれている。

ドライバーの快適性を追求した前席と比べると、後席と荷室は手狭感が否めない。

【試乗インプレ】フットワークはクラストップレベル。ガソリン車も侮れない実力を持つ

パワースペックこそ開きはあるが、ガソリン車もディーゼルターボ車もフットワークの良さを強く実感。安定性が求められる高速道路でも、柔軟なアシの動きが求められるワインディング路でも、ハンドリングの入力に対して極めて素直で、ドライバーが狙う走行ラインを無理なくトレースすることができる。マツダ2(デミオ)は、ほぼ毎年のように細かく改良が加えらているが、後期モデルになるほど走りの質も向上しているといっていい。 

乗り心地はコンパクトクラスのライバル勢に比べると硬めだが、路面の凹凸に身構える必要はなく、当たり柔らかに乗り越えていくタイプ。高速走行にめっぽう強いことも大きな武器といえる。

分厚いトルクを発揮するディーゼルターボ車の方が幅広い走行状況で扱いやすいが、最新モデルの1.5Lガソリン車はさまざまな改良を受けたことで加速の立ち上がりが良化するなど、走りの洗練感が増している。

力強さはディーゼルターボ車に及ばないが、高回転域の伸び感に優れるガソリン車も魅力十分。良質な走りを楽しめる稀有なモデルだ。


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