アルピーヌは現地時間の7月21日に、同社のA110誕生60周年を記念して100%電気自動車の「A110 E-ternity(エテルニテ)」を2022F1第12戦フランスGPでワールドプレミアすることを発表。その後、同レース期間中にお披露目された。
●文:月刊自家用車編集部
アルピーヌらしいハンドリングを維持しながら、EVとして比類ない軽さを実現
「A110 E-ternity(エテルニテ)」のパワートレーンは、アルピーヌが属するルノーグループの持つエンジニアリングが投入されている。バッテリーモジュールは「メガーヌE-Tech」と同じものを使用。最適な重量配分と12個のバッテリーモジュールを搭載するために、専用のバッテリーケーシングを設計し、フロントに4個、リアに8個のバッテリーモジュールを配置している。
この12個のモジュールを追加したにもかかわらず、「A110 E-ternity(エテルニテ)」の車両総重量は、バッテリーパックの質量(392㎏)を抑えたことで、ICE(内燃機関エンジン)搭載モデルの1120㎏に対し、258㎏増に留まる1378㎏となっている。
リアに搭載されるモーターは、最高出力178kW/最大トルク300Nmを発生。ICE(内燃機関エンジン)搭載モデルの1.8L直4ターボエンジンの最高出力215kW/最大トルク320Nmというスペックと比べても遜色ない性能を持っている。
トランスミッションは、トルク切れのない快適かつ効率の良さと、軽くてかさばらないことが望まれたため、ICE(内燃機関エンジン)搭載モデル搭載の7速DCTのサプライヤーである「ゲトラグ社」と共同で開発。ICE搭載モデルが7速に対し、「A110 E-ternity(エテルニテ)」は2速DCTを搭載している。
これら専用EVパワートレーンの開発で、一充電の航続距離は420㎞(WLTP)、最高速は250㎞/h、0−100㎞/h加速は4.5秒を達成。ICE搭載モデルの満タン航続距離が550㎞、最高速が260〜280㎞/h、0−100㎞/h加速が4.2〜4.4秒であることを考えると、実験車的なプロトタイプでありながら十分な性能を確保している。
ほかにも「A110 E-ternity(エテルニテ)」は、ICE搭載モデルとは異なる点を持っている。それが待望のコンバーチブル仕様だ。ICE搭載モデルでも要望の多いコンバーチブル。「A110 E-ternity(エテルニテ)」では、剛性を損なうことなくリサイクルカーボンを使用した2枚のルーフシェルを採用。軽量な手動取り外しルーフでオープンエアを楽しめる。
また、センターチャンネルと2つのリアスピーカーを加えてサラウンドサウンドを再現する、サブウーファーを含む8スピーカーを採用した最新のオーディオシステムを搭載。加えて、センターコンソールに設置されたタブレット端末の固定スペースと接続ケーブルで、ユーザー自身のAppleまたはAndroidのタブレットをそのまま使用し、マルチメディアシステムとして機能するシステムの搭載を想定しているようだ。
さらに100%EVとして軽さと環境への配慮を両立させるため、一部の主要パーツにリネン素材を使用。並行して開発された2台目の「A110 E-ternity(エテルニテ)」には、この技術をボンネット、ルーフ、リアウインドウ、グリル、シートシェル、リアスカートなどのボディパーツに使用しているという。リネン素材は、カーボンに匹敵する強度を持ち、音響効果にも優れており、将来性のある素材であるとアルピーヌはコメントしている。
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