スバル新型「インプレッサ」サーキット試乗インプレッション−基本を押さえた良質な走りの味わいが印象的

2023年1月に東京オートサロンにて日本仕様が公開され、3月2日から先行予約がスタートしたスバル新型「インプレッサ」。6代目となる本モデルからセダンボディが廃止となり、5ドアハッチバックのみとなる。車両本体価格は229万9000円〜321万2000円。今回、袖ヶ浦フォレストレースウェイでプロトタイプのサーキット試乗を行った模様をお届けしよう。

●文:川島茂夫 ●まとめ:月刊自家用車編集部 ●写真:澤田和久/株式会社SUBARU

連続的かつ穏やかなハンドリングで、スムーズにコーナリングラインに乗せられる

6代目「インプレッサ」は5ドアハッチバックのみのボディ形状となり、グレードも3つとシンプルな構成。最廉価グレードの「ST」は、最高出力154PS/最大トルク193Nmの2.0L水平対向4気筒直噴エンジンを搭載。上位グレードの「ST-G」と「ST-H」には最高出力145PS/最大トルク188Nmの2.0L水平対向4気筒直噴エンジンと最高出力10kW/最大トルク65Nmのモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムの「e-BOXER」を搭載する。駆動方式は全車にFWD(前輪駆動)と4WDを設定している。

今回、袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗したグレードは「ST-H」。新型インプレッサは最新のスバル車だが、単に車両型式やハードウェア設計が新しいという意味ではない。むしろハードウェアは従来型の改良版と言ったほうが近いくらいだ。が、しかし、4WD車はドライバーや同乗者に心地よいフットワークへのスバルの考え方が変わったようだ。

ハンドリングは操舵等の操作時の個々の反応を刹那に楽しむ、いわゆる操る手応えを求めるのではなく、苦労少なく思い描いたコーナリングラインに乗せられる。具体的には操舵と回頭反応、旋回力のタイムラグを少なく、連続的かつ穏やかにしている。

無駄な挙動が少なく、補正操作の必要性も低下するので精神的にも肉体的にも負担が少ない。ロールなどの挙動もゆったりとしていて収束性も良好である。

同乗者にとっては旋回力の立ち上がりが穏やかで連続的なのは、山岳路でも頭を振り回されるような印象が少なく、乗り心地の向上にも有用である。

マイルドハイブリッドシステムであるe-BOXER搭載車の全開加速性能は従来インプレッサの2.0L水平対向4気筒直噴エンジン搭載車と同様だが、微小なペダル操作での反応と加速の繋がりなど、要所要所で電動パワーアシストを入れてドライバビリティを洗練させている。乗りこなし感よりも扱いやすさを重視した特性は好感が持てる。

騒音振動関連は音量の低下以上に音質の変化が大きく耳当たりの減衰感のあるものに。車体の厚みを感じさせる静粛性とも言える。車格を超えてと言うほどでもないが、基本を押さえた良質な走りの味わいが印象的だった。

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