
現行世代で大きくジャンプアップしたこともあって、いまやコンパクトクラスは国産車全体の中でも見逃せない美味しいクルマが揃っている。ここでは本誌が実力を認めた注目4モデルをピックアップ。今、買うべき1台をお教えします!
●まとめ:月刊自家用車編集部(ハラ)
TOYOTA アクア 【弱点らしき弱点がない、このクラスの優等生】
価格:199万7000~259万8000円
2022年11月に導入された「アクア GR SPORT」は、アクアらしい快適性と「GR」ならではの“走りの味”を両立する、バランスの良いグレードだ。
現行型にも多くの先進装備が投入されているが、その中でも廉価仕様以外に搭載されたバイポーラ型ニッケル水素電池は注目のポイント。小型軽量化だけでなく充放電性能に優れ、同型のハイブリッドシステムを搭載するヤリスのハイブリッド車よりも余力感に優れている。
ヤリスよりも後席&荷室が広いことも見逃せない強みで、日常域での扱いやすさを持つことも見逃せない。スポーティな雰囲気は薄めだが、ファミリー視点ではこのクラスの最有力候補といっていいモデルだ。
NISSAN ノート/ノートオーラ【プレミアム視点ならば、最有力候補】
価格:224万9500~250万8000円(ノート)269万9400~304万1500円(ノート オーラ)
ノートの上級設定仕様となる「ノート オーラ」。価格は少し高くなるが、注がれる内容はそれ以上。プレミアム重視ならばこちらがオススメだ。
先代でもプレミアム感をセールスポイントとしていたが、現行型は内装質感に加えて、キャビン快適性や走りの質感まで範囲を拡大。電動駆動ならではの洗練されたドライブフィールや、クラストップレベルの静粛性、重質な乗り味など、1クラス上のプレミアムモデルにも負けない走りも武器になっている。
さらにワイドボディ化&モーター出力が向上したノートオーラ(以下オーラ)の存在も見逃せない。大まかなドライブフィールや走り質感は大きく変わらないが、動力性能や静粛性という強みがさらに増している。
HONDAフィット【圧倒的なユーティリティ性能が売り。実用性はトップ級】
価格:159万2800~266万4200円
2022年10月のマイナーチェンジ時に追加された「RS」は、専用サスを採用することで走りの魅力を高めたスポーティ仕様。
ファミリー&レジャーに使いやすい基本コンセプトは変わらないが、代を重ねるごと上級志向が高まっている。現行型もクラストップレベルのキャビン容量や多様な積載性を武器にしており、ユーティリティ機能ならば、フィットがナンバー1といっていい。
もうひとつ、注目したいのは上級タイプのe:HEVに変更されたハイブリッドの性能向上だ。通常時はモーター主体の電動駆動だが、高速走行時はエンジン直動となることで高速走行を苦にしない。市街地走行から高速走行まで、力強さと優れた燃費性能を実感することができるだろう。
TOYOTA ヤリス【前席優先のパッケージだが、軽快な走りは唯一無二】
価格:147万~254万8000円
登場時はトヨタの最新技術が注がれたことでも話題を集めた新世代コンパクト。走りの魅力を大きくアピールしていることも特徴のひとつ。
先代(ヴィッツ)は軽量小型の実用的なモデルだったが、現行型はパーソナル&スポーティ志向を強めていることが最大の特徴。後半を絞り込んだフォルムや短いリヤオーバーハングなど、後席や荷室の使い勝手を割り切ったパッケージングを採用している。
パワートレーンも売りの一つ。フリート向けの1L車以外は、TNGA技術が注がれた新世代パワートレーンに一新。1.5Lガソリン車もハイブリッド車も軽快な走りが楽しめる。こなれた価格と優れた実用燃費を持つこともアピールポイントだ。
【キャビンの居心地&快適性】クラス超えレベルのノート/オーラが一歩リード
近年のコンパクトモデルにとって内装質感の向上は重要ポイントの一つ。いずれのモデルも頑張っているが、エンジン音の穏やかさや走りの力感といった走りの快適さに関してはハイブリッド車が有利。
ヤリスハイブリッドとアクアの比較では、常用回転域がアクアの方が低く乗り心地もマイルド。フィットも穏やかな乗り味を味とするが、振動騒音対策は車格相応のレベル。ノート/オーラだけが車格超えを狙ったレベルで、頭ひとつリードしている。
ノートとオーラは、足まわりの味付けが異なっており、乗り心地はノートに分がある。車格感はオーラの方が格上だが、穏やかな乗り味を好むユーザーにはノートがオススメだ。
アクアのインパネ。
ノートオーラのインパネ。
【キャビンユーティリティ】広々キャビンに多彩なアレンジ機能を持つフィットが圧倒的に強い
コンパクトクラスはタウン&パーソナル目的で選ばれることが多いカテゴリー。時には乗員フル乗車、もしくは大きな荷物を積載するなど、多彩な用途に対応できることも求められる。
そういった用途を苦手にしているのが、前席優先で設計されているヤリスだ。アクアもヤリスとの比較では広くなっているが、フィットとノートと比べると自慢できるほどのキャビンユーティリティではない。
幅広く使えるという点でベストはフィットだ。初代以来ファミリーユースを基本コンセプトとしており、多人数乗車でも和める居心地の良さを持つ。ノート/オーラも後席はゆったり過ごせるキャビンだが、荷室スペースと積載の多様性でフィットと差が付いてしまう。
フィットのインパネ。
ヤリスのインパネ。
【走りが楽しい】ツボにはまればノート/オーラが一番手
今回比較する4モデルは、いずれも走りをしっかりと煮詰めている実力派が揃うが、動力性能の余裕と安定した操縦性という視点を重視するならばノート/オーラがまとまりがいい。
電動モーターの大トルクと瞬発力、トルク変動やスナッチングを抑えた滑らかさもお見事。限界まで安定したコントロール性を維持するハンドリングもクラス超えといっていい。特に4WD車の出来がいい。巧みな荷重移動やサスの使い方は、このクラスのライバル車では一歩リードしている。
ヤリス譲りの最新ハイブリッドやシャシー性能に加えて、ACCなども最新制御を採用。開発年次が新しい分だけ、ヤリスより秀でている部分が目立つ。ハイブリッド専用モデルだが性能&機能を考えればコスパは優秀。ハイブリッド車狙いのユーザーにとっては選択肢から外せないモデルだ。
ノートとノートオーラの選び分けは、価格は少し高くなるものの動力性能や内装質感に優れるノートオーラがオススメ。目玉装備のプロパイロットがOPでしか選べないのは少し残念だが、クラス超えレベルの力強い動力性能やキャビン快適性&内装質感は、他のモデルにはない武器といえる。
【ロングドライブ&燃費】ヤリスとアクアが圧倒的な強さ
高速操安性と乗り心地の質感はノートがリードするが、燃費も含めた高速長距離適性は、ガソリン/ハイブリッドともにトヨタの2車がリードする。特にヤリスの1.5Lガソリン車は、他社のハイブリッド車に肉薄する実用燃費を持つ優れもの。高速巡航時の余力感もドライバビリティも良好だ。
マイナーチェンジ時にガソリン車の性能向上も図られたが、それでもハイブリッドのe:HEVの優位は揺らがない。コンパクトカーの本質を上手に追求した王道モデルであり、装備面も含めてコスパに優れる優等生。お好みに合わせて選べる派生モデルの充実ぶりも武器のひとつだ。
ガソリン車/ハイブリッド車ともに抜群の燃費性能を誇る。スペシャリティのGRヤリスを除いたとしても、走りの質感はクラストップレベルという強みも魅力。後席快適性やユーティリティはほどほどでOKならば、有力な選択肢になりうるモデルだ。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(コンパクトカー)
装備水準の引き上げで、プレミアムキャラを強化 今回のアクアの一部改良では、内外装デザインの刷新に加え、先進の安全装備やマルチメディア機能、基本性能を大幅に向上させることで、先進感や上質なイメージをさら[…]
メーカーオプションで提供されていた装備機能の一部を標準化 今回実施された一部改良では、従来モデルではメーカーオプションで提供されていた機能装備を標準設定とすることで、商品力を向上させている。 さらに特[…]
2L直4ディーゼルターボ+モーターで、システム最高出力120kW/システム最大トルク400Nmを発揮 BMW 1シリーズは、コンパクトセグメントに属するハッチバックモデル。現行型は第4世代にあたるモデ[…]
初となるボディカラー「オブセッションブルー」に加え、ガラスルーフも装着 特別仕様車「Cielo BlueHDi」のベースモデルとなるのは、1.5Lディーゼルターボを搭載する308GT BlueHDi。[…]
最終モデルにふさわしいレーシーなアピアランス 国内のコンパクトスポーツを代表するスズキのスイフトスポーツは、2003年のHT81Sを皮切りに進化を続け、4世代目の現行モデル・ZC33S型へと至った。そ[…]
最新の関連記事(購入ガイド)
個性が異なるエクステリア、キャラの違いは明白 まず注目すべきはエクステリアの違いだろう。 「アドベンチャー」はSUVらしい力強さを前面に押し出していて、専用デザインのフロントバンパーやラジエーターグリ[…]
なぜ新型ルークスはこれほど売れたのか? 初期受注で2万2000台ものセールスを記録するなど、幸先の良いスタートを切った新型ルークス。小洒落た内外装や先進装備の充実が評価されたのは間違いないが、それ以上[…]
再開後も受注殺到は避けられない ジムニーノマドは2025年1月の発表直後に注文が殺到し、わずか数日で受注停止となった超人気モデル。その後、月間計画台数が拡大され、供給体制に目処がついたこともあって、2[…]
受注再開は、2026年夏ごろが有力 カローラクロスは、2025年5月の改良時にフェイスリフトの実施やガソリン車の廃止、スポーティなGRスポーツの追加など、過去最大規模の大きな変更が加えられた。改良前か[…]
圧倒的な人気を背景に、強気なセールス戦略を展開中 発売前の予約の段階で1万台を超える受注を集めるなど、現行デリカミニの販売状況は極めて好調に推移している。そんな理由もあって、販売現場はなかなか強気で、[…]
人気記事ランキング(全体)
車種専用設計だから、ピッタリ装着。見た目にも違和感なし カーメイトと言えば、使い勝手の良い様々なカーグッズをリリースしており、多くのユーザーから評価されているブランドとして知られている。今回紹介するの[…]
30周年記念車にも適合 ステップワゴン スパーダの力強く伸びやかなシルエットを強調し、フロントフェイスの存在感を高める「バンパーワイドガーニッシュ」。 フロントバンパーに重厚感とワイドな印象を付与する[…]
耐久性抜群でスタイリッシュ。便利な開閉式のリアラダー クラフトワークス(Fun Standard株式会社)は、実用性とデザイン性が高い、自動車用アクセサリーを多数リリースしているブランドだ。そのクラフ[…]
車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽しんでいるユーザー[…]
国内自社工場一貫生産による高品質。1Kのような間取りが特徴 キャラバンZEROを製作するOMCは東京都武蔵野市にあり、オーダーメイドのキャンピングカーを製造販売。そのこだわりは国内自社工場一貫生産で、[…]
最新の投稿記事(全体)
実験車はコラムシフトのトヨタ ビスタ! 今回用意したクルマはトヨタのビスタ。最近ではあまり見ないコラムシフトのクルマだ。ビスタは、DレンジからPへの操作量が長くとられているので、相当なおバカさんでない[…]
901運動で生まれた硬派なつくりの上質セダン 初代の「P10型・プリメーラ」が発売されたのは1990年です。まさにバブル経済で日本中がうかれまくっていた時代で、自動車業界では「ユーノス・コスモ」、「三[…]
洗車してもツヤが冴えない本当の理由 どれだけ丁寧に洗車しても、どこかボディがくすんで見える。ワックスをかけても、思ったほど光沢が出ない。そんな状態に心当たりがあるなら、塗装表面に鉄粉が刺さっている可能[…]
車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽しんでいるユーザー[…]
良好な日米貿易関係の構築に向けて、日本でも成功しそうなモデルを厳選 カムリ(Camry)、ハイランダー(Highlander)、タンドラ(Tundra)の3モデルは、米国で生産され、彼の地で高い人気を[…]
- 1
- 2







































