
中国・シンセンを本拠地として、グローバルに事業展開するBYDから、コンパクトEVのドルフィンが日本導入された。価格はバッテリー容量44.9kWhのスタンダードモデル(航続距離400km)が363万円、容量58.56kWhで出力やトルクも高くなるロングレンジモデル(航続距離476km)が407万円。CEV補助金が65万円、さらに自治体ごとの補助金(例えば東京都は45万円)を利用すれば、スタンダートモデルは200万円台半ばで購入できるなど、現実的な選択肢として考えているユーザーもいるのでは? 今回は、走りや使い勝手も含めた実力を見ていきたい。
●文:まるも亜希子●写真:澤田和久
国内仕様のドルフィンは、日本市場を意識した仕様変更も実施済み
ドルフィンは、すでに2021年からタイやオーストラリア、シンガボールなどで販売され、その累計販売台数はグローバルで約43万台にものぼる。しかも今回の日本導入にあたり、日本市場に合うように仕様変更しているのがすごい。右ハンドル&右ウインカーやCHAdeMO規格の急速充電対応、日本語音声認識への対応に加えて、日本の都市部に多い機械式立体駐車場の高さ制限1550mmに合うように、本国では1570mmある全高(アンテナ含む)を20mm下げている。また日本人ユーザーから要望の多い、誤発進抑制システム(正式名称はペダル踏み間違い時加速抑制装置)や、国産車では例のない車内置き去り防止装置も全車標準装備とした。
全長☓全幅☓全高は4290☓1770☓1550mm。やや幅広なことを除けば、ボディ寸法はコンパクトクラスに収まる。コスパ面も、国や地方自治体から支給される補助金まで考えれば、国産メーカーのハイブリッド車とも戦えそうだ。
外観は、ATTO3が王朝シリーズといって高貴なイメージを強調しているのに対し、ドルフィンはその名のとおり、可愛らしく愛嬌のあるイルカをイメージ。海洋生物の自由さ、美しさから着想を得たオーシャンエステティックデザインを採用している。確かに、フロントマスクはイルカのつぶらな瞳を思わせる新型LEDヘッドライトがどこか人懐っこく、サイドにまわるとフロントフェンダーからV字に流れるようなキャラクターラインが躍動的で、まるでイルカが海面からジャンプするようなダイナミックさも感じさせる。アルミホイールのデザインはスタンダードがちょっと愛らしい印象、ロングレンジは上質感のある印象の異なるデザインで、ボディカラーもスタンダードはモノトーン、ロングレンジはツートーンと差別化されており、快適装備の充実度も変わってくる。
インテリアはATTO3ではミュージック&フィットネスという斬新なテーマだったが、ドルフィンでは外観同様にイルカや海のモチーフが散りばめられている。イルカのフィンをモチーフにしたドアレバーや、水飛沫のようなエアコンアウトレットなど、探すのが楽しみになってくる。また、センターコンソール中央に置かれる大型モニターは、ステアリングのスイッチを押すと縦から横にぐるりと自動で動くというBYDならではの仕掛けで、ATT03から受け継がれたものだが、大きく変わったのは最小化したシフトノブ。ハザードスイッチなどと並び、縦に回すダイヤル式となっており、「D」に合わせるとイルカがピシャッと水面に飛び込んだような音が鳴った。「R」にするとまた別の音が鳴り、「P」はシフトノブの右側を押し込む操作となっている。ウインカーの音が左右で異なったり、30km/h以下で発する車両接近通報装置の音も、2種類が選べるなどユニークな「音」がドルフィンの特徴の1つとなっている。
シッカリとした低重心感と、加減速のコントロールしやすさが印象的。BEVらしく出足も鋭く、コーナーなどの荷重移動も申し分がない。
スタンダードモデルでも十分な性能。多彩なモードセレクトで、好みの走り味が選べることもマル
スタンダードモデルのモーター出力は70kW、ロングレンジは150kWだが、スタンダードモデルでも走りにはなんの不足もない。市街地では軽やかな中にもシッカリとした低重心感と、加減速のコントロールしやすさが快適なドライブを提供してくれる。いわゆるワンペダル的な強い減速Gではなく、あくまで頭で思い描くのと同じ感覚の減速をしてくれるところは、EV初心者にも扱いやすいはずだ。高速道路に入ると、ETCレーンを通過してからの助走区間が短いところではEVらしい瞬発力を発揮。硬すぎないのにガッシリとした剛性感があり、コーナリングもぴたりと安定している。走行モードは「ノーマル」「スポーツ」「エコ」の3つ、回生の強さがスタンダードとハイの2段階で選択できるため、同じノーマルでもメリハリの効いた走りにしたければ回生をハイにしたり、スポーティさが欲しければスポーツでハイにするなど、そのシーンに合わせたフィーリングが手に入るのも楽しいところだ。
また、後席スペースがゆったりとしており、乗り心地も不快なところがほとんどない。ラゲッジ容量は通常で345L、フロアボードの高さが2段階に変えられ、6:4分割の後席をどちらも倒すと1310Lに拡大する。これならファミリーカーとしても十分な実力。価格と使い勝手を照らし合わせると、ライバルはBEVに限らず、アクア(最上級グレード259万5000円)やフィットe:HEV(同254万9800円)のハイブリッドコンパクトにも及ぶかもしれない。
プロダクトとしては申し分のないBYDドルフィン。あとはディーラー整備を含め、サービスの部分でどれだけ日本人の心を掴めるかにかかっているのではないだろうか。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(BYD)
輸入車ブランド販売台数TOP20 順位6月 順位5月 順位4月 ブランド 普通 小型 合計 前年比(%) 1月からの累計(台) 111メルセデス-ベンツ4,512—4,51295.423,061 23[…]
日本バス協会への加盟と名古屋営業所の開設 電気自動車(EV)世界大手の日本法人で、商用車事業を手掛けるBYD JAPAN株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:劉学亮)は2026年7月17日、[…]
即戦力狙いのボディ設計で、馴染み深い圧倒的大空間を実現 ラッコ(RACCO)は、中国のBEV(電気自動車)大手メーカーであるBYDが、日本の軽自動車市場に向けて開発したスーパーハイト系の軽乗用BEVで[…]
実質200万切りでガソリン車も狙い撃ち BYDの新型軽EVである「RACCO(ラッコ)」の発表会が2026年7月28日に都内で開催された。 ラッコは、BYDが日本専用に開発した新型モデルになるが、海外[…]
「軽EV専用設計」に加え、堅牢なボディ構造と生産技術を注入 「日本の街並みにジャストサイズな電動モビリティ」として開発されたラッコは、スーパートールワゴン&両側電動スライドドアという王道のパッケージに[…]
最新の関連記事(EV)
輸入車市場の新たな主役へ。首都圏だけでなく全国で売れている驚きの理由とは 今回の「上半期No.1」という記録は、一時的な値引きやフリート需要による突発的なものではない。データ(JATOダイナミクス調べ[…]
ガソリン代を気にせず旅ができる画期的な新型軽EVをベースに採用 キャンピングカーとしての使い勝手と、日々の運転での取り回しの良さを両立させるために、軽自動車サイズは圧倒的な強みを持つ。しかし、従来の軽[…]
日本バス協会への加盟と名古屋営業所の開設 電気自動車(EV)世界大手の日本法人で、商用車事業を手掛けるBYD JAPAN株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:劉学亮)は2026年7月17日、[…]
免許不要で乗れる!? 荷物も積める新発想の4輪EV ブレイズ イーカーゴは、同社初となる4輪タイプの電動モビリティ。最大の特徴は、「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」に分類されることだ。この区分[…]
EVバンシリーズKia PBVのみを販売 Kia PBVジャパンは、日本国内における第一号直営ディーラー「Kia PBV東京西」を5月15日にオープンした。 そのメディア向け発表会では、発売予定のKi[…]
人気記事ランキング(全体)
見た目は“軽トラ”なのに、分類は四輪の特定小型原付 ブレイズ イーカーゴを見てまず気になるのが、そのスタイルだ。運転席の後ろに荷台を備えた姿は、まさに小さな軽トラック。ただし、もちろん軽トラックではな[…]
値引き情報の見方 ◎車両本体目標 車両本体価格からの値引き目標額。レクサスは車両本体からの値引きが基本的に行われないため、付属品のサービスなども含めて商談条件を確認したい。 ◎リセール予想 A:すこぶ[…]
電源不要! ポンピングするだけで“泡洗車”が楽しめる 洗車場などで見かける、クルマ全体を真っ白な泡で包み込む泡洗車。見た目にも気持ちがいいが、自宅で楽しもうとすると、すごく手間のかかる位メーがある。高[…]
1st バラードスポーツCR-X(1983-1987) 2nd CR-X(1987-1992) 3rdCR-Xデルソル (1992-1999) 4th CR-Z (2010-2017) 多彩な個性で勝[…]
値引き情報の見方 ◎車両本体目標 車両本体価格からの値引き目標額。実際の商談では、車両本体だけでなく付属品からの値引きも含めた総額で判断したい。 ◎リセール予想 A:すこぶる割高な下取りが期待できるB[…]
最新の投稿記事(全体)
走りの意欲を掻き立てる漆黒のMパフォーマンス 今回登場した特別仕様車「Black Package」は、サーキット由来のテクノロジーと高い走行性能を誇るMパフォーマンス・モデルをベースにブラックやカーボ[…]
40年の歴史を誇る英国サンダーランド拠点から、欧州の電動化市場に殴り込み 日産の欧州事業を支えてきた英国サンダーランド工場は、1986年の稼働開始から今年でちょうど操業40周年という節目を迎える。 初[…]
圧倒的な走りと高い実用性を両立したハイブリッドモデル 今回の一部改良では、パワートレーン体系の見直しが図られ、国内ランドクルーザーシリーズ初となるハイブリッドモデルが新規採用された。 グレード価格GX[…]
「乗せてもらう人」も「サポートする人」もストレスフリーな設計 日産は、福祉車両を「ライフケアビークル」と位置づけ、日常の移動を快適にサポートするモデルを数多く展開している。 今回のブースで最大の目玉と[…]
カタログだけでは分からない質感や使い勝手を体験できる 本イベントは、毎年多くのキャンピングカーファンやファミリーでにぎわう東海エリア最大級の車中泊・キャンピングカー展示販売イベントだ。 会場には人気の[…]
- 1
- 2























