
●まとめ:月刊自家用車編集部
新型は、より人に優しいミニバンへ正常進化
現在公開されている新型フリードの情報は、内外装のカタチと、グレード展開、その装備内容が分かる程度。だがこのレベルでも新旧のフリードを見比べていくと、新型はよりユーザーに親しみやすいミニバンを目指していることが見てとれる。
まず新型のスタイリングは、1BOXミニバンのイメージにとても忠実。シンプルな見た目で印象もスマートで都会的だ。SUVライクなクロスターこそ、レジャービークルらしい雰囲気が強めだが、シャープでスポーティ風味のデザインを採用していた従来型と比べるとデザインの方向性は明らかに違う。
新型フリードには、標準の「エアー」(左)とSUVルックの「クロスター」(右)の2系統が用意される。両車の違いはバンパー&グリルの加飾が異なるほか、クロスターにはタイヤまわりにプロテクターモールが装着されている。
従来型の標準ボディ車。グレードはハイブリッドG。全長☓全幅☓全高は4265☓1695☓1710mm。ホイールベースは2740mm。
新型のボディサイズは、従来型よりも若干全長が長くなったが、日本の道路を走るにはちょうどよいサイズ(全長☓全幅☓全高:4310☓1695☓1755mm ※エアーの数値)は堅守。運転席からの視界もボンネットを意識しやすく、車両感覚を掴みやすい。運転のしやすさという美点も健在だ。
キャビンまわりで違いを感じるのが、車両後端のデザインの変化。新型はリヤピラーのクオーターウインドウを四角く大きく開口した形状にすることで、サードシートに座った際の開放感が大きく高まっている。
なお、サードシートは、従来型も狭いながらもしっかりと座れるタイプで、それが人気を集める理由になっていたが、新型でもその美点は踏襲。ただ、目線の位置のウインドウが広がったことで、乗車時の心理的な圧迫感は、新型は相当軽減されている。
左が新型、右が従来型(クロスター)。ベース車のフィットと同様に、新型のインパネは一新。7インチカラー液晶メーターやダッシュ上に配置されるメインモニターなど、機能装備は大きくアップデートされている。
左が新型、右が従来型(クロスター)。ともにキャプテンシート仕様。アルファードなどのように上級仕立てではないが、1席ごとに横幅を広く取れるため、ベンチシートに比べると居心地の良さは大きく違う。ロングドライブでどちらを選ぶなら、間違いなくキャプテンシートに1票だ。
新型のハイブリッドは「e:HEV」に変更。性能面で大きな飛躍が期待できる
そしてもうひとつ新型で注目したいのが、ハイブリッド車の進化ぶりだ。従来型とベースエンジンの排気量(1.5L)こそ変わっていないが、従来型の「i-DCD」から最新の「e:HEV」に変更されることで、動力性能も燃費も大きく向上するのは確実。
現時点ではパワーやトルクなどのスペックは明らかにされていないが、e:HEVは通常時のモーターを主とした電動走行に加え、高速走行時にはエンジン直動に切り替わるメカニズムを備えているのが特徴。これにより、ハイブリッド車が苦手としがちな高速巡行での燃費の落ち込みを防ぐ強みがある。高速で長距離ドライブをする機会が多いユーザーにとって、新型フリードのハイブリッド車は、かなり魅力的なモデルになるのは間違いない。
新型のオススメは、実用に徹した「エアー」のガソリン車と、レジャー向けに特化した「クロスター」のハイブリッド車
正式発表前のため価格は明らかにされていないが、間違いなく最も安く買えるのは、標準ボディの「エアー」のガソリン車だ。エアーは、内装が少しシンプルでブラインドスポットモニターなどの上級安全装備も省かれているが、ホンダセンシングの主要機能や両側パワースライドドアなどは標準で装備。動力性能&燃費の2つを少し我慢できるならば、エアーのガソリン車で十分と感じるユーザーは意外と多いだろう。
少し予算に余裕があるならば、よりSUVらしく仕上がったクロスターのハイブリッド車も魅力的。フィットを例に出すと、e:HEV搭載のハイブリッド車とガソリン車では動力性能が大きく異なり、別のクルマと言ってもいいほどだ。その関係はこの新型フリードでも同じと考えていい。ガソリン車を普通の1.5L級モデルとするならば、e:HEV車は1.8L級くらいの余力はあるだろう。駆動方式は、SUVルックを楽しむということで、行動範囲が広くなる4WDを選びたい。
ちなみにフリードの大きな売りになるシート配列は、新型でも従来通りに2−2−2の3列シート6人乗り仕様(セカンドキャプテンシート)と2−3−2の3列シート7人仕様(セカンドベンチシート)、2−3の2列シート5人仕様が選べるが、やはり最もバランスが良いのは3列6人乗りだ。
キャプテンシートは座面の横幅が広く、足元スペースも十分すぎるほど余裕がある。いたってシンプルな造りだが、キャプテンシートならではのゆったりとした寛ぎ空間を楽しめるのは魅力的。荷室の使い勝手は、サードシートが取り外されている5人乗り仕様の方が優れているが、6人&7人乗りもサードシートを格納してしまえば、荷室の広さは大差ない。7人乗りが絶対に必要というわけでないならば、6人乗りを選んでおけば間違いはない。
5人乗りの荷室はラゲッジボードを外すことで、高さのある荷物も積みやすくなる強みを持つ。
ホンダセンシングの基本機能は全グレードに標準装備
| ●新型フリード装備比較 標準装備=● メーカーOP=▲ | |||||||||
| グレード | エアー | エアー EX | クロスター | ||||||
| 駆動方式 | FF | 4WD | FF | 4WD | FF | 4WD | |||
| 乗車定員 | 6名 | 6名 | 7名 | 6名 | 5名 | 6名 | 5名 | 6名 | |
| ホンダセンシング (衝突軽減ブレーキ【CMBS】、誤発進抑制機能、後方誤発進抑制機能、近距離衝突軽減ブレーキ、歩行者事故低減ステアリング、路外逸脱抑制機能、渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール【ACC】、車線維持支援システム【LKAS】、トラフィックジャムアシスト【渋滞運転支援機能】、先行車発進お知らせ機能、標識認識機能、オートハイビーム、パーキングセンサーシステムなど)  | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 
| アダプティブドライビングビーム&後退出庫サポート | ▲(e:HEV) | ▲(e:HEV) | ▲(e:HEV) | ▲(e:HEV) | |||||
| ブラインドスポットインフォメーション | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||
| フルLEDヘッドライト | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 
| LEDフォグライト | ● | ● | ● | ● | |||||
| 両側パワースライドドア | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | 
| 運転席&助手席シートヒーター | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |
| リヤクーラー | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
| コンビシート(プライムスムース×ファブリック)& 専用インテリア | ● | ● | ● | ●(専用加飾) | ●(専用加飾) | ●(専用加飾) | ●(専用加飾) | ||
| アルミホイール(15インチ) | ● | ● | ● | ●(専用デザイン) | ●(専用デザイン) | ●(専用デザイン) | ●(専用デザイン) | ||
| ラゲッジルーム内アクセサリーソケット | ● | ● | ● | ● | |||||
| CROSSTAR 専用装備 (専用フロントグリル、専用バンパー【フロント/リヤ】、ホイールアーチプロテクター、 サイドシルガーニッシュ、ルーフレールなど)  | ● | ● | ● | ● | |||||
| グレード | エアー | エアー EX | クロスター | ||||||
| 駆動方式 | FF | 4WD | FF | 4WD | FF | 4WD | |||
| 乗車定員 | 6名 | 6名 | 7名 | 6名 | 5名 | 6名 | 5名 | 6名 | |
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(ホンダ)
ホンダの電動スポーツは「プレリュード」だけじゃない Super-ONE Prototypeは、「e: Dash BOOSTER」をグランドコンセプトに、日常の移動を刺激的で高揚感あふれる体験へと進化さ[…]
薄型キャビンながら広い室内空間を実現 この「Honda 0 Alpha」は、都市と自然の両方に美しく調和し、あらゆる場面で人びとに寄り添うことを目指したSUV。2025年1月のCES 2025で発表さ[…]
「ビッグ3」が反対した法律「マスキー法」と、ホンダの逆転劇 世界で最も早く自動車が普及するモータリゼーションが起きたアメリカでは、1960年代にはその弊害が問題化していました。1940年代からカリフォ[…]
ブラック加飾でスポーティ感を演出した、日本専用の上級グレードを投入 2022年より海外で展開している6代目CR-Vは、国内向けモデルとしてFCEV(燃料電池車)が投入されているが、今回、e:HEVを搭[…]
役人が決めるか、市場が選ぶか。自動車業界を揺るがした「特振法」の真相 敗戦当初は復興のためにさまざまな分野で保護貿易が認められていた日本も、経済成長が進むにつれてそれが許されなくなりました。自動車に関[…]
人気記事ランキング(全体)
車内には、活用できる部分が意外と多い カーグッズに対して、特に意識を払うことがない人でも、車内を見渡せば、何かしらのグッズが1つ2つは設置されているのではないだろうか。特に、現代では欠かすことができな[…]
ホイールベース拡大を感じさせない、巧みなパッケージ設計が光る 2012年に登場した初代CX-5は、魂動デザインとSKYACTIV技術を全面採用した、マツダ社内では6世代商品と呼ばれているシリーズの第一[…]
ホンダの電動スポーツは「プレリュード」だけじゃない Super-ONE Prototypeは、「e: Dash BOOSTER」をグランドコンセプトに、日常の移動を刺激的で高揚感あふれる体験へと進化さ[…]
カッコよくなっても、実用面の堅実さはしっかりと継承 低く伸びやかなボンネットから続くボディラインは、フロントウインドウからルーフ、リヤエンドまで優雅な曲線を描く。これは、生活に溶け込んだクルマという従[…]
●SUVの「死角」を減らす注目アイテム 人気のSUVだが、その車高の高さやボディサイズがもたらす「死角」は、ドライバーにとって常に付きまとう課題だ。カローラクロスも例外ではなく、運転席から遠い左前輪付[…]
最新の投稿記事(全体)
TMS2025で、次期マツダ2のスタディモデルを披露 MAZDA VISION X-COMPACT(マツダ ビジョン クロスコンパクト)は、マツダ2の後継モデルと目されているコンセプトモデル。 もちろ[…]
「一人のため」に設計された、新時代の「ショーファードリブン」 「センチュリーはトヨタ車じゃないから」とは、随分と昔にトヨタの開発者から聞いた言葉だ。その後も同様の話はたびたび耳にする。つまりセンチュリ[…]
無骨さが釣り人の心に刺さる! 実用性と快適性を兼備する釣り用キャンピングカー 釣り車ともいうべき車中泊仕様のデモカーをリリースするのは大阪府堺市に本社を構え、大阪、名古屋、埼玉に店舗を展開するユーアイ[…]
車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽しんでいるユーザー[…]
基本を無視すれば、無用のトラブルを引き起こすことも… 整備作業においてボルトやナットの脱着は避けて通れない基本中の基本の作業。それだけに、ソケットレンチやメガネレンチの使用頻度は必然的に高まる。が、ボ[…]
- 1
 - 2
 




























  