
前回、メーター内のアラート(警告灯)が、赤点灯するとヤバいことを解説した(その記事はこちら→https://jikayosha.jp/2024/08/07/196307/)が、では、黄色に点灯したアラートのリスクはどれほどなのか? ここでは、クルマが不調(注意)を訴えている、を意味する黄色の警告灯(表示灯)の一部について解説します。
●文:月刊自家用車編集部
「黄色」の警告灯は、緊急性はないものの、早めの点検&修理が推奨される
クルマには、そのコンディションをドライバーに知らせる警告灯・表示灯が必ず備わっています。これは国際規格(ISO)で色や記号が取り決められているので、国産車・輸入車を問わず知っておきたいものです。この意味を知っていれば、たとえ走行中に警告灯が表示されても、慌てず対処できるはずです。それでは、緊急を要するほどのトラブルではないが、注意すべきトラブル・異状が発生していることを知らせる黄色(オレンジ)の警告灯について説明していきましょう。※ここではトヨタ車/ダイハツ車に搭載されている警告灯(表示灯)を中心に紹介しています。他メーカーでは若干デザインが異なる場合があります。
◆ブレーキ警告灯(黄)◆
この警告灯は、より緊急性のある「赤」と点検を促す「黄」の2種類があります。もちろん「赤」の警告灯の場合は、ブレーキに重大な異常が発生しているので、すぐに運転を取りやめ安全な場所に停車させてください。「黄」の場合は、緊急性はないもののブレーキ系統にトラブルが生じていますので、早めに修理工場で点検しましょう。なお、エンジンON時に点灯しますが、数秒後に消灯する場合は異常を示すものではありませんのでご安心を!
◆ABS・ブレーキアシスト警告灯◆
ABSまたはブレーアシストシステムに異常がある際に点灯。正常な状態では、エンジンONで点灯し、数秒後に消灯します。点灯し続けていてもブレーキ性能そのものには影響はありませんが、早めの点検が必要。
◆エンジン警告灯◆
エンジンまたはトランスミッションに異常が発生した場合に点灯。そのまま走行は維持できますが、トラブルの程度によっては、エンジンを損傷してしまうので、早めの点検が必要です。
◆油量警告灯◆
エンジンオイルが不足しているときに点灯。点灯した場合は、エンジンオイルの点検・補給をするようにしましょう。また、点検・補給後、しばらくすると再度点灯するなら、どこかでオイル漏れを起こしている可能性があるので、エンジン側の点検も行ったほうがいいでしょう。
◆AT警告灯◆
オートマチックトランスミッション(AT)フルードの温度が上昇した際に点灯します。この表示が出た場合、フルード温度に異常が発生しているため、シフトショックが大きくなったり、ギア変更ができなくなったりすることがあります。オーバーヒートの危険性が高いため、(黄)警告灯ですが、(赤)警告灯と同様になるべく早く停車して、フルード温度を下げるよう冷却してください。なお、フルード温度が下がれば警告灯は消えますが、再度点灯する場合は、すみやかに点検に出したほうがいいでしょう。
◆パワーステアリング警告灯(黄)◆
電動パワーステアリング装置に異常が発生した場合に点灯します。黄色の場合、赤色に比べ緊急性は低いのですが、何かしらの異常を知らせるアラートなので、早めに点検をしたほうがいいでしょう
◆ウォッシャー液警告灯◆
ウインドウを洗浄する際に使用するウォッシャー液が不足したときに点灯。ウォッシャー液がなくなっても運転に支障はないけれど、なるべく早めに補充する必要があります。
◆燃料残量警告灯◆
燃料残量が少なくなると点灯します。傾斜のある道路などでは点いたり消えたりすることがありますが、基本的に燃料が少ないという警告ですので、早めに燃料補給することが大事です。
最近のクルマに装備されはじめた警告灯も注意したい
安全システムが格段に向上している現在、メーター内やその周辺に装備される警告灯も今までにないようなものが追加されています。ここではほんの一例ですが、最新の警告灯について紹介しましょう。
◆PSC(衝突安全装置)警告灯◆
PSC(プリクラッシュセーフティ)のセンサー部分が汚れていたり、装置そのものに異常がある場合に点灯。
※手動でシステムオフにした場合にも点灯
◆ハイブリッドシステム過熱警告灯
ハイブリッド車のハイブリッドシステムが過熱した際に点灯。表示された場合は、安全な場所にクルマを止め、システムを停止する。ハイブリッドシステムを停止してから5分以上経過し、警告灯の表示、またはマルチインフォメーションディスプレイの表示が消えている場合は通常走行可能。ただし、頻繁に警告灯が点灯する点検が必要になります。
◆ペダル誤操作警告灯
ブレーキオーバーライドシステムやドライブスタートコントロールの異常時にブザー音と共に点灯。アクセルペダルから足を離し、ブレーキペダルを踏むことで警告灯が消える場合がある。それでも消えない場合はシステム異常が考えられるので、早めに点検・修理を行おう。ブザーが鳴らず、警告灯が点灯した場合はブレーキオーバーライドシステム作動時を示す物なので異常ではありません。
警告灯ではないが、注意を促す表示灯も見逃したらダメ
警告灯とは違って、クルマの状態や環境において注意を喚起する目的で点灯するのが表示灯です。点灯したからと言って直ちに故障を意味するものではありませんが、運転環境において、それぞれの項目で注意を促す目的がありますので、意識しておく必要があります。
◆スリップ表示灯◆
路面が滑りやすい場面で、タイヤがスリップしてTRCやVSC、ABSなど制御装置が作動しているときに一時的に点灯します。ただし、乾燥した路面などグリップの利くシチュエーションで点灯した場合は、システム異常が考えられますので、点検・整備が必要です。
◆LDA(レーンディパーチャーアラート)表示灯
LDA(レーンディパーチャーアラート)の作動状態を知れせるもので、点滅や点灯、黄色や緑などの点灯形態・色によって内容が変わる。緑色は正常作動状態を示しているが、黄色点灯はLDA(レーンディパーチャーアラート)に異常が発生している可能性があ流ので、マルチインフォメーションディスプレイに表示されているメッセージがあれば、そtれ従うようにしましょう。
◆LTA(レーントレーシングアシスト)表示灯
LTA(レーントレーシングアシスト)の作動状態を示す表示灯。白色点灯の場合はLTAがスタンバイ状態、緑色点灯の場合はLTAが作動中、黄色点滅の場合は車両が点滅している側の車線から逸脱していることを表している。また、LTAに異常が発生したときにも黄色点灯となるので、点検を早めに行いたいものです。
◆運転支援情報表示灯
PCS(プリクラッシュセーフティ)やLDA(レーンディパーチャーアラート)、後方車両への接近警報、後方車両接近告知、セカンダリーコリジョンブレーキ(停車中後突対応)などのシステムに異常がある恐れがあるときに点灯します。また、PKSB(パーキングサポートブレーキ)やRCD(リヤカメラディテクション)、BSM(ブラインドスポットモニター)、RCTA(リヤクロストラフィックアラート)、安心乗降アシストなどのシステムに異常がある場合も点灯。停止している時も点灯しますが、表示灯が点滅している場合は、早めに点検したほうがいいでしょう。
◆レーダークルーズコントロール表示灯
レーダークルーズコントロールの作動状態を示します。クルーズコントロール表示灯と同様に、白色や緑色の点灯は正常。黄色点灯は、レーダークルーズコントロールに異常が発生している可能性があるので、早めに点検しましょう。
◆PKSB(パーキングサポートブレーキ)OFF表示灯
PKSB(パーキングサポートブレーキ)の作動状態を示すもので、OFFにすると点灯し、ONにすると消灯し、これが正常な状態。ON/OFF操作していないのに点灯した場合は、PKSB(パーキングサポートブレーキ)に異常があるかセンサー部の汚れなどによりシステムが一時的に使用できない可能性があります。早めの点検をしたいものです。
◆RCTA(リヤクロストラフィックアラート)OFF表示灯
RCTA(リヤクロストラフィックアラート)の作動状態を示すもので、RCTAをOFFにすルト点灯する。RCTAに異常があるとき、またはレーダーセンサー周辺のリヤバンパーに汚れや付着物がある場合にも点灯するので、この場合は点検が必要。
黄色警告灯の場合、緊急性がさほど高くなく、どちらかと言うと注意を促す警告が多いのですが、放置するとダメージが大きくなるトラブルもあるので、警告灯が点灯・点滅したら早めに点検整備に出したほうが安心です。なお、上記の警告灯(表示灯)以外にも、メーカーや車種によってまだまだたくさん存在します。自分のクルマに装備されている警告灯や表示灯をチェックしておきたいものです。
なお、重要とされる警告灯・表示灯の基本デザイン、色分けについては国際規格(ISO)により取り決められていますが、細かな部分でのデザインが若干異なっていたり、一部のメーカーでは独自の警告灯・表示灯もありますので、見たことのない表示が出た場合は、整備工場やディーラーに相談しましょう。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
最新の関連記事(クルマ雑学)
最初期のヘッドライトは、灯油を燃やすランプ式 クルマにヘッドライトが装着され出したのは1890年頃です。初期の頃は灯油を燃やして光源としていました。その後明るさを高めたアセチレンガスを燃料としたランプ[…]
圧倒的な高性能ぶりでライバルを圧倒したN360だが、当時の世評は世知辛くて…… 1967年春にホンダが発売した軽自動車のN360は、レースでの活躍ですでに世界に名を轟かせていた同社の2輪車用をベースと[…]
FFミニの成功は車体レイアウトの先進性とバーフィールド型ジョイントの開発が大きな要因であった ミニの誕生には、革新的レイアウトが驚きの目をもって迎えられたことには違いないが、多くのメーカーがそれにどっ[…]
世界初のガソリンエンジン車の駆動系 最初の自動車の駆動方式はミッドシップだった 最初の自動車は前輪駆動だった。1769年、蒸気で走る世界初の3輪自動車が現れたが、前1輪を駆動するFF車だった。蒸気機関[…]
1900年初頭、石油ランプからアセチレンランプへ進化 ガソリンエンジンを搭載した自動車が実用化された初期の時代は石油ランプが用いられていた。1900年代に入ると炭化カルシウムと水を反応させて、発生する[…]
人気記事ランキング(全体)
カーメイトの人気シリーズ「ゼロワイパー」 カーメイトが展開するゼロワイパーは、フロントウィンドウに施工することで、雨天時でもクリアな視界を確保できる撥水コート剤だ。このシリーズには、フィルムタイプもラ[…]
洗練された”ふたりのくるま旅”を演出する創業40周年記念モデル リンエイプロダクトが手掛ける最新のキャンピングカー「ファシールバカンチェス ダイネット40」は、創業40周年を記念する特別なモデルであり[…]
優雅な大人のクルマ旅が楽しめる軽キャンパー バンテックは埼玉県所沢市に本社を構え、キャンピングカーの製造•販売を展開。『快適で安全』を理念にオリジナルモデルを開発している。 キャブコンなど比較的大型の[…]
サニーに代わるエントリーカーとして開発 日本が高度経済成長期に入って庶民にも“マイカー”が浸透し始めた1960年代には、日産を代表する大衆車の「サニー」が登場します。 この「サニー」は、ほぼ同時期に発[…]
環境性能を重視したキャンピングカー ACSリトルノオクタービアMは、キャンピングカーの中でも特に環境性能を意識したモデルとなっている。標準で搭載される太陽光発電システムは200Wのソーラーパネルを2枚[…]
最新の投稿記事(全体)
スポーティーと上級感をさらに高めるアイテムがラインナップ 新型プレリュードの純正アクセサリーは、「UNLIMITED GLIDE PLUS SPORTS ESSENCE(アンリミテッド グライド プラ[…]
前輪駆動のクーペは絶滅危惧種 「ホンダ・プレリュード」の車名を聞いて懐かしく感じるユーザーは、相応の年齢に達していると思う。 プレリュードはミドルサイズのクーペで、1978年に初代モデルを発売した。 […]
e:HEVをさらに進化させ、電動化時代でも「操る喜び」を追求 新型プレリュードは、自由に滑空するグライダーから着想を得て、「どこまでも行きたくなる気持ちよさ」と「非日常のときめき」を追求した「UNLI[…]
子どもとのお出かけがより安心安全に! このカメラキットは、左側の死角をモニターに映し出すことで、安全運転をサポートするとても便利で有効なアイテム。車種専用の設計が施されているため目立たずスマートに装着[…]
ファミリーで過ごす時間を大切にする空間づくり 「Walk Type-A」は、家族や仲間と過ごす時間を軸に設計されたキャンピングカーで、間仕切りを極力なくした開放的な室内が特徴。広々としたダイニングスペ[…]
- 1
- 2