白内障の治療後やものもらいを患ったときなど、治療の一環として眼帯を着用することがあります。視力と視野に制限がかかる中で、日常の運転にどのような影響があるのかは気になるポイントといえますが、眼帯をつけた状態で片目で運転する行為は、法的に問題ないのでしょうか。
●文:月刊自家用車編集部
眼帯をつけたまま片目で運転したら違反になる?
結論から言えば、「眼帯着用時は運転禁止」といった交通ルール自体はないものの、その状態で運転できるかどうかは条件次第であると言えます。
片目運転の可否の判断基準は視力と視野にあり、そもそも普通自動車免許の取得および更新時には、両眼で0.7以上、一眼でそれぞれ0.3以上という視力条件を満たす必要があります。
また一眼が見えない場合は、他眼の視野が左右150度以上で視力が0.7以上であることが条件とされています。
この条件に基づくと、片目に眼帯をしている状態で運転する場合、眼帯をしていない目の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上あれば法律上は運転が可能ということです。
その一方で、大型第一種免許/中型第一種免許(限定なし)/準中型第一種免許(限定なし)/けん引免許/第二種免許の場合は、条件がさらに厳しく設定されています。
これらの免許に関しては両眼で0.8以上、一眼がそれぞれ0.5以上であり、さらに深視力検査に合格する必要があります。
そのため、普通自動車免許のような救済措置は設けられておらず、片目が見えない場合や眼帯をつけた状態では運転できません。
このように、片目での運転に厳しい制限を設けているのは、安全面でのリスクが関係しているとのことです。
眼帯運転は細心の注意を…
片目で運転すると、視野が大幅に狭くなります。
視野とは目を動かさずに見える範囲のことで、両眼での視野は左右約180度以上と言われています。
しかし片目になると視野が狭まってしまい、周囲の状況を把握しづらくなって側方からの飛び出しや車線変更時の確認が困難になるというわけです。
さらに、片目での運転は奥行き感を掴むのが難しくなります。
通常、両目で見ることで物体の立体感と距離感を正確に判断できますが、片目ではこの機能が失われるため前方のクルマとの距離感が掴みにくくなり、追突事故のリスクが高まります。
また、眼帯をつけた状態で運転して万が一事故を起こした場合、たとえ視力条件を満たしていたとしても、安全運転義務違反に問われる可能性があります。
安全運転義務とは、常に周囲の状況に注意を払い、ほかの交通参加者や歩行者の安全を最優先に考えながら運転する責任のこと。これはすべてのドライバーが負うべき基本的な義務であり、片目が不自由な場合でも例外ではありません。
眼帯をつけながら運転しているということは、リスクを承知したうえで運転しているということでもあるため、相応の責任が伴う点は忘れないようにしましょう。
このように、眼帯をつけた状態でも、もう片方の目の視力と視野の条件を満たしていれば、運転および免許の取得は可能ですが、視野が狭くなり、距離感が掴みにくくなるため、交通事故のリスクが高まることは避けられません。
安全運転を心掛けるためにも、眼帯をつけての運転は極力控え、別の移動手段を選択することが望ましいでしょう。
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