
クルマの日常点検で気を付けなくてはならないのがエンジンオイル。店などに頼むと料金がかかるため、自分で交換する読者も多いだろう。そんなエンジンオイルの交換でよく聞くのが、入れすぎてしまった失敗談。ただの入れすぎでしょと思うかもしれないが、量によっては笑いごとで済む話ではないのだ。実際にエンジンオイルを多く入れすぎるとどうなるのか、編集部員が身体を張って試してみた。
●文/まとめ:オートメカニック編集部
エンジンオイルを多く入れられる犠牲車は…
今回の実験では、走行距離4万km弱のアルファ147を用意した。エンジンの異音もなく、コンディションもいい。実験場所はもちろん、公道でなくクローズドのテストコースで行う。
オートメカニックの実験でたびたび犠牲になるアルファ147 2.0ツインスパーク。
オイルレベルゲージをFに合わせてから1Lずつ入れていく
アルファ147のオイルレベルゲージをFに合わせて、それから1Lずつ追加していく。追加後は、テスト走行を実施。
1Lずつ入れていきます。
まず、オイルレベルゲージがFの状態からエンジンオイルを1L 注ぎ足したが、走りと排ガスに異常は見られず。フル加速でも問題なし。
また1L 足してみると、空吹かしの時に少し白煙が見えた。しかし、走行にはパワー不足などの異常は感じなかった。
2Lでうっすらと白煙が見えるくらい。意外と大丈夫なのか…?
さらに1L 追加。この時点で、Fゲージより合計3L 多くエンジンオイルをいれているが、一体どうなるのか。
エンジンオイル追加後、テスト走行をするとすぐにこれまでとは違う重さを感じる。アクセルのレスポンスも明らかに鈍くなった。しかも、加速時の排ガスが白くなり、出たり消えたりするように。白煙がかなり臭くなった。
3L追加した時点で、加速時に臭い白煙が出るようになった。加速も明らかに重い。
3Lですでに異常が見られたが、そこからオイルを1L 追加して4Lに。この時点で編集部員はおっかなびっくり。
もう1L 追加しちゃいます。
ビビりながら走行をすると出だしから吹けが悪い。少し加速すると白煙が大量に出てきて調子は最悪。それに加えて、カキーンと甲高いノッキングが発生。いまにも故障しそうだ。
臭い白煙がモウモウのアルファ147。パッと見だとドリフトしているように見えるかも…
これ以上は危険を感じたため、ここで実験は終了した。ちなみに、実験後のスパークプラグはカーボン堆積がひどく、写真の通り真っ黒に。
燃焼室にエンジンオイルが入り込んでしまっているため、真っ黒になってしまったスパークプラグ。
結果
エンジンオイルの入れすぎは1Lでは異常を感じず、2Lは少しの白煙、3Lだと加速の重さと白煙、4Lは吹けの悪化と大量白煙に加えて、大きいノッキングが発生するという結果に。車種にもよるが、結果からだと、1L 程度多く入れすぎても即トラブルにはならないのかもしれない。(※保証はできませんので、あくまでも自己責任でお願いします)
4L入れた時のレベルゲージ。オイルの付着位置が高すぎて分からなくなるほど。
エンジンオイルは少なすぎても多すぎてもトラブルの元なので、きちんと点検してちゃんと規定量を入れよう!
※本実験は安全面に十分配慮し、クローズドのテストコースにて実施しております。決して真似などをしないでください。本記事を読んで発生した事案などにつきましては、一切の責任を負いかねます。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。
人気記事ランキング(全体)
給油の際に気付いた、フタにある突起… マイカーのことなら、全て知っているつもりでいても、実は、見落としている機能というもの、意外と存在する。知っていればちょっと便利な機能を紹介しよう。 消防法の規制緩[…]
日常の延長にある「もうひとつの居場所」 ハイエースなど一般車両ベースのキャンピングカーの人気が高まっている理由は、「特別な装備を持ちながら、普段の生活にも溶け込む」ことにある。このモデルもまさにその代[…]
家族で出かけたくなる「軽」な自由空間 週末に川遊びや登山、キャンプなどで思い切り遊んだあと、そのままクルマで一晩を過ごす――。そんなシーンを想定して生まれた軽キャンパーがある。限られたボディサイズの中[…]
なぜ消えた?排気温センサー激減のナゾ 排気温度センサーは、触媒の温度を検知し、触媒が危険な高温に達したときに排気温度警告灯を点灯させるためのセンサーだ。このセンサーは、いつのまにか触媒マフラーから消滅[…]
自動車整備の現場では、かなり昔から利用されているリペア法 金属パーツの補修材として整備現場ではかなり昔から、アルミ粉を配合したパテ状の2液混合型エポキシ系補修材が利用されている。 最も名が通っているの[…]
最新の投稿記事(全体)
リビングのような空間と先進運転支援技術で受注好調。ハイウェイスターに人気が集中 新型「ルークス」は、外観に「かどまる四角」をモチーフとしたデザインと、日本の伝統建築にインスピレーションを得た新たな2ト[…]
世界中から支持されるランドクルーザー、その人気は永遠なり! もともとランドクルーザーは、単なる移動手段ではなく、人々の命を預かる「道具車」として、特に僻地や未開の地で切実なニーズに応え続けてきた歴史を[…]
高い環境意識のもとに生まれたスタイリッシュなEV ボルボ史上最も小さなEVとして、2023年11月に日本導入されたのがEX30だ。 サイズでいえば全長4235×全幅1835×全高1550㎜なので、日本[…]
車中泊を安心して、かつ快適に楽しみたい方におすすめのRVパーク 日本RV協会が推し進めている「RVパーク」とは「より安全・安心・快適なくるま旅」をキャンピングカーなどで自動車旅行を楽しんでいるユーザー[…]
電動SUVが“旅の相棒”になる、新しいカタチ アウトランダーPHEVをベースにした「イーポップ」は、電動SUVの持つ走破性と静粛性をそのままに、快適な旅の空間をプラスしたキャンピングカーだ。最大の特徴[…]
- 1
- 2