
クルマを買うとき、現金一括か、それともローンを組むか。人それぞれ考え方や、その時の懐事情などさまざまな背景があると思う。なかにはローンを組むこと自体に抵抗がある人もいるだろう。ただローンを組めること自体、一定の信用が得られていることの”証”なのも事実。さて、クルマのローンにはさまざまな種類があるが、今回は大雑把に「一般的なローン」と「残価設定ローン(いわゆる残クレ)」を取り上げる。それぞれのメリット/デメリットについて、紹介していこう。
●文:松村 透/月刊自家用車編集部
通常のローン/残価設定ローン、共通のメリット/デメリット
まずは「通常のローン」と「残価設定ローン」における、共通のメリット/デメリットについて挙げてみた。近々、住宅ローンを組んでマイホームを購入予定という人は要注意だ。
◎メリット
- 手元の資金を減らさずに済む
- 手持ちの予算では買えない価格帯のクルマを契約することができる
- 完済すればローンの実績として評価があがる(繰り上げ返済も同様)
- 販売店側の対応が変わることも(現金一括よりもローン契約の方が喜ばれる傾向が強い)
◎デメリット
- そもそも審査をクリアしないと契約できない
- ローンを完済するまでは”所有者”ではなく”使用者”となる
- 金利分の負担額が増える
- マイホームを買うときに住宅ローンを組むとしたら、査定額に影響する(完済したら融資額を増やす場合もある)
通常のローンのメリット/デメリット
次に「通常のローン」のメリット/デメリットについてまとめてみた。長期ローンを組んででも欲しいクルマがあるとしたら、それなりの覚悟、そして長期(下手をすると10年)に渡るライフプランをシミュレーションしてから検討してみてもいいかもしれない。
◎メリット
- 一生モノとして契約するなら長期ローン(最長120回など)が組める
- 残価設定ローンとは異なり「完済したら所有者になる」前提のため、カスタマイズもできる
- 銀行のマイカーローンを組んだ方が、金利を抑えられるケースも(その分、審査が厳しくなる傾向がある)
◎デメリット
- 残価設定ローンよりも金利が高めに設定されていることが多い
- ローンの審査が残価設定ローンより厳しくなる場合がある
- “超高級なクルマ”でもローンが通ってしまうこともあるので、クルマ”エンゲル係数”が大幅に上昇する可能性も
残価設定ローンのメリット/デメリット
次に、近年「新しいローンの形」として市民権を得つつある「残価設定ローン(いわゆる残クレ)」のメリット/デメリットについて取り上げてみたい。便利である分、デメリットもそれなりに大きいのだ。
◎メリット
- 通常のローンよりも、高額なクルマ(国産上級車など)に手が届きやすくなる
- 通常のローンよりも、低金利で設定されていることが多い
- リセールバリューがよいクルマであれば、自己資金をあまり減らすことなく乗り換えが可能になる場合も
◎デメリット
- 改造はできない(ノーマルが基本)、過走行や傷・板金塗装の有無などに応じて査定額が減額される
- 不人気車だと最終回月の残債が下取り額を上回ってしまう可能性がある
- ”残クレのループ”に1度はまると、返却/他車への乗り換え時などに残債がゼロの状態に戻しにくくなる(常に残債を抱えている状態)
まとめ:現金一括派でも、少額ローン契約で交渉が有利になる場合も
住宅ローン以外は現金一括!ローンは組まない!」といった確固たる信念をお持ちの方もいるはず。たしかに「自分の身の丈にあった買いものをする」という点においてとても、堅実な考えであることは確かだ。
しかし、クルマの契約だけが販売店に課せられた目標(ノルマ)ではない。自動車保険はもちろん、ローンの契約もノルマに含まれることが多い。
つまり「60回とはいわないが、2回でも3回でもいいからローンを組んでほしい」というのが、販売店側の本音だったりする。
販売店とすればローン契約が1つでも増えればいいので、細かい条件に関しては契約者にお任せ。契約者からすれば、多少の手数料を払うことにはなるが、ローンを組んで(現金一括できるぐらいなのでおそらくは)無事に完済という実績が付く。ローンを組んでくれた代わりに「何らかの色(おまけ)」を付けてくれるケースも出てくるはず。
そこで、実際には現金一括で買えるのに、あえて2回(もしくはそれ以上)のローン契約を結ぶ。あるいは頭金を多めに入れて、少ない残債(たとえば10万円単位の端数など)をローンで組むなど、いろいろな方法がある。
「ローンはぜったいに組まない」と固持せず、時には柔軟に対応することで、その行ために対して販売店側が「ありがたく」感じてくれることも。いわゆる”Win-Win”の関係というわけだ。
安心かつ充実したカーライフを送るうえでも、売る側も買う側も「損して得取れ」の精神で、時にはローンを有効に活用したい。
※掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。※各写真はイメージです。
最新の関連記事(購入ガイド)
メリット1:ドライバーがクルマに合わせるという”楽しさ” 一般的に、古いクルマになればなるほど、オーナー(ドライバー)がクルマに合わせなければスムーズに動かすことが難しくなります。 古いキャブ車であれ[…]
人気の「カワイイ」系、そのパイオニアとして登場 2002年に登場した初代アルト・ラパンは、当時の軽乗用車市場ではまだ浸透していなかった「カワイイ」というサブカルチャー的な要素をいち早く取り入れたパイオ[…]
スバル・フォレスター/価格:404万8000〜459万8000円 S:HEVモデルの追加で、万能タイプに進化 フォレスターは、スバルが長年培ってきたAWD技術と水平対向エンジンの組み合わせにより、どん[…]
最新改良で新しい外装塗料を採用。美しさと耐久性が向上している 5月に実施された一部改良(7月より改良モデルは発売)では、外装の美しさと耐久性を向上させつつ、原材料費の高騰に対応した価格改定を実施。この[…]
最新改良で2WDモデルを廃止。全車4WDモデルのみのラインナップへ 2024年11月に実施した最新改良では、従来はメーカーオプションだった機能の一部グレードで標準装備化が図られた。 具体的には、Xグレ[…]
最新の関連記事(新車)
洗練されたデザインと先進機能が融合 新型eKスペースは、親しみやすさとモダンで高品質なエクステリアデザインや使いやすさと先進性を高めたインテリアデザイン、街中での取り回しの良さ、ゆとりのある室内空間を[…]
鮮やかなレッドのアクセントが映える特別なデザインをプラス ジープ コマンダー トレイルエディションは、リミテッドグレードをベースに、ブラックとグレーを基調としたボディに鮮やかなレッドのアクセントが映え[…]
デリカのDNA&魅力が軽モデルに凝縮 新型デリカミニは、デリカの名にふさわしいタフなデザインと、軽自動車の枠を超えた快適な走行性能、先進の安全技術を兼ね備えているスーパーハイト軽ワゴン。 コンセプトは[…]
構造用接着剤を延長し剛性を強化、より過酷な走行環境に対応 今回実施される改良では、スーパー耐久シリーズ参戦で得た学びを活かし、さらなる過酷な環境での走行に耐えるため、基本性能の向上に重点を置いている。[…]
走りへの期待を高める特別な内外装を採用 ヴェゼル e:HEV RSは、「URBAN SPORT VEZEL(アーバン スポーツ ヴェゼル)」をグランドコンセプトに、デザインと走りのスポーティーさを追求[…]
人気記事ランキング(全体)
車内を快適に! カーエアコンの正しい使い方とは? 車内を快適な温度に保つために必要な、カーエアコンの正しい使い方を4つのポイントから見ていこう。 まずひとつ目のポイントは、カーエアコンの起動タイミング[…]
見た目では用途がわかりにくい、意外性のあるカー用品 世の中には多種多様のカー用品があり、奇抜なものから思わずおっと唸ってしまうようなアイテムがたくさんある。カー用品のお店やECサイトでカーグッズを探っ[…]
コンパクトに収まるベース仕様 RS1+のベースとなるのは、スズキ・エブリイワゴン。標準設定としてベッドマット、カロッツェリアの楽ナビ、そして諸費用を含む構成になっている。軽キャンピングカーを求める人に[…]
大人が手にする秘密基地 N-VAN コンポの最大の魅力は、まるで子供の頃に夢見た秘密基地を現実にしたような空間にある。助手席側の大開口部とフラットな床が生み出す自由度は抜群で、サイドオーニングを展開す[…]
全方位型のツインタイプの小型ファン 先日、ヘッドレストに装着するタイプの扇風機を愛車に導入したのだが、ファンとしてはオーソドックスな丸型タイプの扇風機も使う機会があったので、便利そうな2種を紹介してい[…]
最新の投稿記事(全体)
老舗ビルダーが提案する、軽キャンパーの新たな可能性 近年、車中泊やアウトドアブームの隆盛は著しい。都市生活者のストレス増大やリモートワークの普及が、自然回帰への欲求を刺激していると分析される。 こうし[…]
仕向け地に合わせて作り分けられた”双生児”の個性 最近では少なくなってきましたが、かつてはいわゆる兄弟車がたくさんありました。トヨタならカローラとスプリンター、日産ならサニーとパルサーとラングレーにロ[…]
とても機能的!フォグライトの色が切り替えられる! ホンダアクセスは、これまでホンダ車専用の純正アクセサリーとして「LEDフォグライト クリア」と「LEDフォグライト イエロー」の2タイプを設定してきた[…]
憧れの旧車に乗れるだけでも非日常的な体験と言えるが、旧車コミュニティ「Vintage Club by KINTO」がこのほど開催する「博物館キャラバン」はさらに特別な思い出を作ってくれるはず。旧車を「[…]
アルミホイールもキズがつけば腐食する! 早めの対処が必要だ アルミは腐食しないと思ってる方、結構いるんじゃないですか? 実は、アルミも鉄などと同様にキズついたまま放っておけば腐食するのです。単にアルミ[…]
- 1
- 2