
マツダは「MAZDA SPIRIT RACING(マツダスピリット レーシング)」と命名したサブブランドを展開しているが、そのブランドが手かけるスペシャルモデルの第1弾として、「マツダスピリットレーシング ロードスター12R/マツダスピリットレーシング ロードスター」を東京オートサロン2025にて発表した。マツダがモータースポーツ活動で培ったテクノロジーを注ぎ込んだロードスターの最新系とは?
●文:月刊自家用車編集部
マツダスピリットレーシング(MSR)初となる市販モデル
“マツダの新しい時代のモータースポーツのサブブランド”として発足した「マツダスピリットレーシング(以下、MSR)」は、モータースポーツをより身近なものとして気軽に楽しむことや、「ともに挑む」のスローガンの下、「ファクトリーモータースポーツ活動、チャレンジプログラムの提供などを通じて、移動体験の感動を量産するクルマ好きの会社として、前向きに今日を生きる人の輪を広げてまいります」と宣言。
この宣言を色濃く反映したモデルが、今回発表された「MSRロードスター12R」と「MSRロードスター」だ。スーパー耐久レースなどで培った技術を投入し、パワートレーンや車体の進化を反映して内外装のアピアランスを向上、さらに“速さ”と“質感”にこだわって作り込まれている。
2リッターエンジンを搭載したMSRロードスター/12Rは、ストリートからサーキットでのスポーツ走行までオールラウンドでドライビングプレジャーを提供するよう設計されている。
MSRロードスター12Rは、限定台数200台のスペシャルモデル。吸排気特性をチューニングし、専用のカムシャフト/シリンダーヘッド/ピストン/エキゾーストマニホールドを採用し、最高出力200psを発生する。
ブレンボ製のブレーキディスク&ブレーキキャリパーを装備。いずれもレーシーなレッド塗装が施され、ホイールはRAYS製の専用開発された鍛造の軽量モデルを履く。特徴的なボディカラー・エアログレーを12Rのデフォルトに設定している。
チューニングが異なる2つの仕様をラインナップ
MSRロードスターとMSRロードスター12Rは、ともにロードスターRFの2リッター直4をパワートレーンに採用。ラジエーターの仕様変更によりエンジンの冷却性能はパワーアップしている。
ただ、200台限定販売の12Rは、吸排気特性をチューニングした特別製を積んでいるのがポイント。専用のカムシャフト/シリンダーヘッド/ピストン/エキゾーストマニホールドを採用することで、最高出力200psを発揮するに至った。
一方、通常販売となるMSRロードスターは、最高出力は184psにとどまるものの、レッド塗装されたブレンボ製大径ブレキーディスク&ブレーキキャリパー、減衰特性とバネレートを専用設計したビルシュタイン製車高調整式ダンパーの採用、RAYS製のTE37をベースに専用開発された鍛造の軽量ホイール、風洞実験及びサーキットでの実戦からフィードバックされたエアロパーツ、防眩性と操作性を両立したアルカンターラの内装など、MSR ロードスター12Rと共通の仕様は数多い。
ちなみに価格は、12Rが700万円台後半、無印は500万円台。2025年秋ごろから予約の受注を開始するという。
MSRロードスターは、200台限定のMSRロードスター12Rとは異なり、販売台数の制限は行われない。エンジンのチューニングが若干違うのみで価格も500万円台というから、12Rが買えなくても心配ないかも。
スーパー耐久レースのマシンにも採用されているアルカンターラを、シートやトリムなどインテリアの至るところに採用。ハイバックシートの縁や3点式シートベルトにはレースマインドを感じさせるレッドの差し色が付されている。
ロードスターの新境地を開拓するMSRパーツも発表
今回展示されたMSRロードスター/12Rには、MSRブランドからリリース予定のアフターパーツもてんこ盛り。
それらはマツダ社内の匠エンジニアが選定したパーツで構成されるもので、とくにサーキット走行に適した仕様を求めるカスタマーに向けたラインナップ。マツダ販売店で購入・装着できるよう検討中だという。
今回の出展では、
- 「高回転域を積極的に使いたくなる」チタン製マフラー
- 「スポーツ走行でも意のままに走れる」ADVAN NEOVA AD09:スポーツタイヤ
- 「スポーツタイヤの性能をより引き出せる」強化ブッシュ&ショートバンプストッパー:スポーツアライメントキット
- 「サーキットに安心して行ける」 スリットローター&スポーツパッド:ブレーキセット
- 「MAZDA SPIRIT RACINGのロゴ」を特別にあしらった4点式ハーネス
上記アイテムが展示車両に装着されていた。
当然、こちらのラインナップも時を置かず充実していくだろうし、ロードスターの選択肢が広がったのは間違いない。限定モデルの12Rを運良く手にできれば、サーキットにおける戦闘力は大きく向上するし、無印のMSR ロードスターでもその装備は格上のスポーツカーすら喰いかねないほど充実している。
また、MSRブランドのアフターパーツは、既存のロードスターオーナーには垂涎のアイテムだろう。マツダが計画する“新しい時代のモータースポーツ”は、MSR ロードスターが牽引し、さらに今回出展されたコンセプトモデルの実現へと波及するのを期待したい。
高回転域を積極的に使いたくなるというチタン製マフラー。排気効率はもちろん、軽量化にも大いに貢献するだろう。同じく軽量性能をアップさせるのがRAYS製のTE37をベースに専用開発された鍛造ホイール。ブレキーシステムにはブレンボが採用されている。
スーパー耐久シリーズ参戦車両「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept(マツダ スピリット レーシング ロードスター CNF コンセプト)」もマツダブースに展示された。巨大なリアウイング/低く構えたリップスポイラー/カーボンルーフなど、サーキット専用のアグレッシブなアピアランスが人目を集めていた。
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