「当時の国産車の中では抜群の空力特性を実現したエアロデザイン」性能を追い求めるあまり奇抜さが際立った悲運のクルマ[SUBARU アルシオーネ]

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デビュー時はFFのVSターボと4WDのVRターボの2グレード。上級のVRターボは、エアスプリングを制御して車高や減衰力をコントロールするEP-Sやリヤワイパー、ヘッドランプウォッシャーなどが標準装備となる。

理想の空力性能を実現させるフロントとリヤのウインドウ傾斜角28度など、多岐にわたって開発者のこだわりが詰まったクルマだったが、大衆には受け入れられることはなかった。
主要諸元 
●全長×全幅×全高:4450mm×1690mm×1335mm ●ホイールベース:2465mm●車両重量:1130kg ●乗車定員:4名●エンジン(EA82型):水平対向4気筒SOHC1781cc+ターボ ●最高出力:135PS/5600rpm●最大トルク:20.0kg・m/2800rpm●最小回転半径:4.9m ●10モード燃費:10.2km/L●燃料タンク容量:60L●変速機:3速オートマチック●サスペンション(前/後):ストラット式独立懸架/
セミトレーリングアーム式独立懸架●タイヤ(前/後):185/70HR13  ◎新車当時価格(東京地区):231万5000円

クルマにとって空気抵抗の低減は、加速性能/操縦性/経済性/静粛性の向上を目指すための最も効率的な手段。重心の低い水平対向エンジンの恩恵もあり、アルシオーネは初めてCD値0.30を切る国産車となった。

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VRターボにオプションのエレクトロニック・インストルメントパネルには、平均車速などが表示できるトリップコンピューターとクルーズコントロールが一体で装備された。L字型ステアリングは乗降しやすいように65mm跳ね上がる。乗車時は前にセットした位置に復帰するメモリー付き。

1.8Lターボは、レオーネにも採用されていた水平対向4気筒SOHCのEA82型を採用。ただアルシオーネのローフォルムに対応すべく、独自のレイアウトとなっている。

ハロゲンフォグランプ組み込みの衝撃吸収バンパーのVXは4気筒車に比べわずかに全長が長い。エアコンや4輪ABS、クルーズコントロールやアルミホイールなどが標準装備となるため、4気筒車よりむしろ買い得な価格設定とも言えた。

【主要諸元】 
●全長×全幅×全高:4510mm×1690mm×1335mm ●ホイールベース:2465mm●車両重量:1130kg ●乗車定員:4名●エンジン(EA82型):水平対向6気筒SOHC2672cc ●最高出力:150PS/5200rpm●最大トルク:21.5kg-m/4000rpm●最小回転半径:5.2m●10モード燃費:8.0km/L●燃料タンク容量:60L●変速機:4速オートマチック●サスペンション(前/後):ストラット式独立懸架/セミトレーリングアーム式独立懸架●タイヤ(前/後):205/60HR14 ◎新車当時価格(東京地区):292万9000円

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ルーフを除く360度全てを3次曲面ガラスで構成するグラスtoグラス( ガラスとガラスがほぼ接する状態)のエクステリアは、カーデザイン界の鬼才ジウジアーロの提案。細いピラー全てをガラスの内側に配した、まるでジェット機をイメージさせるラウンドキャノピーは電動昇降式のミッドフレームウインドウ付き。新システムVTD-4WDを核とする安全テクノロジーの積極採用、厳寒のフィンランドからニュルブルクリンクまで世界各地での走り込みによる操安性の評価も高かったが、生産台数は5年半で2万4379台にとどまった。
【主要諸元】 
●全長×全幅×全高:4625mm×1770mm×1300mm  ●ホイールベース:2610mm ●車両重量:1620kg ●乗車定員:5名●エンジン(EG33型):水平対向6気筒DOHC3318cc ●最高出力:240PS/6000rpm●最大トルク:31.5kg-m/4800rpm ●最小回転半径:5.4m ●10モード燃費:7.0km/L●燃料タンク容量:70L●変速機:4速オートマチック●サスペンション(前/後):ストラット式独立懸架/ストラット式独立懸架●タイヤ(前/後):225/50VR16  ◎新車当時価格(東京地区):399万5000円

エンジンは、レガシィの2.2Lをベースに開発された3.3Lのフラット6。低重心でコンパクト、フラットなトルク特性のこのエンジンはスポーツというよりジェントルという表現がぴったり。