老眼メカニックの作業時間を短縮する「魔法」のメガネ!秘密はレンズの上下逆転にあり│月刊自家用車WEB - 厳選クルマ情報

老眼メカニックの作業時間を短縮する「魔法」のメガネ!秘密はレンズの上下逆転にあり

老眼メカニックの作業時間を短縮する「魔法」のメガネ!秘密はレンズの上下逆転にあり

趣味で続けているクルマのメンテナンス。ただここ数年は老眼の進行でどんどん厳しい状況になってきていた。しかしそんなある日、運命的に出会ってしまったのがこのアイテム。一般的な遠近両用レンズの上下が逆に配置された「逆遠近両用メガネ」だ。これまで作業中に使っていたメガネをこれに変えただけで、最近困っていた上目遣いの作業が格段に楽になった。熟年世代のサンデーメカニックにとって、ぜひおすすめしたい逸品だ。

●文/写真:ハリー山崎

趣味のクルマいじりを諦めない!逆遠近両用メガネを試してみた

還暦を過ぎたあたりから、長年趣味としてきたクルマのメンテナンスにも黄信号が灯り始めた。原因は、歳を重ねるごとに進行する老眼だ。エンジンの奥まった場所や足回りの細かいボルト、配線作業など、上を見上げる姿勢での精密な作業がとくに厳しくなってきている。

すでに普段の生活では遠近両用メガネは手放せないが、一般的な遠近両用レンズは近くを見る部分が下側に配置されているため、上を見上げての作業が多いメンテナンス作業では焦点がなかなか合わず、非常に不便を感じていた次第。

そんな悩める状況の中、面白いアイテムを見つけてしまった。そのアイテムは「逆遠近両用メガネ」という製品。これは、近くを見るためのレンズが上側に、遠くを見るためのレンズが下側に配置されている特殊な構造のメガネだ。一般的なメガネとは逆の構造であることから、上目遣いで行う作業時に威力を発揮するという。

クルマのメンテナンスでは、写真のように上を見上げる作業が意外と多い。加齢により老眼が進むと、遠近両用レンズのメガネが重宝するが、実際の作業では不便に感じることが多くなるわけです。なぜなら、一般的な遠近両用レンズは、遠くを見る部分が上側、近くを見る部分が下側に配置されているから。しかし、メンテナンス作業では、上を見ながら細かい作業を行う場面も少なくないため、近くを見るためのレンズが上側にないと、作業が非常にやりにくく感じることが多くなってきた。

カスタムメイドで応える専門店の技術と経験に感謝

これはいい! さっそく行きつけの眼鏡店に相談してみたところ、対応するできるという。聞けば「逆遠近両用メガネ」を、電気料金の検針員やヘリコプターのパイロット向けに製作した経験があるとのこと。自動車整備士向けは初めてだそうだが、これは相談するしかない!

今回は札幌に店舗を構える「富士メガネ 札幌 狸小路本店」の外崎店長に相談してみた。一級眼鏡製作技能士の資格を持つスペシャリストであり、「電気料金の検針員や、頭上のスイッチを確認する必要があるヘリコプターのパイロット向けには作った経験があります。自動車整備士向けの経験はありませんが、挑戦してみましょうか!」と心強い言葉をいただいた次第。

店舗では、実際の作業姿勢を再現しながら、上側に来る近距離用レンズの位置が大事ということを説明。スクーリングのあと、メガネとレンズのタイプを選ぶことになった。

プロのアドバイスの上で選んだのは、上下の境目で度数がはっきりと分かれているバイフォーカルレンズというタイプの製品。

実際のメンテナンス作業を再現しながら、「近くを見るレンズ」の位置を決めていった。普通の遠近両用メガネとは逆に、今回は近くを見るレンズを上に配置する「逆遠近両用メガネ」。遠近両用メガネには、大きく分けて「累進多焦点レンズ」と「バイフォーカルレンズ」の2つがあるが、検眼の際にしっくりときたのは、バイフォーカルレンズの方。メンテナンス作業のように一点をじっと見つめることが多い使い方にも向いているという。

これはレンズの上部に小窓のように近距離用のレンズが組み込まれているのが特徴だ。

一点を注視することが多いメンテナンス作業では、一般的な老眼鏡に使われている累進多焦点レンズ(度数が滑らかに変化する特性を持つ)よりも明らかに見やすいだろうとのこと。さらに嬉しいことに、フレームは上下方向に広い既存のメガネを再利用できたので、価格も手頃に抑えられたこともありがたかった。

今回は、手持ちのメガネコレクションの中から、上下の幅が広いフレームを選び、再利用してレンズを入れてもらった。写真の赤丸部分に近くを見るレンズが入っている。写真ではわかりにくいかもしれないが、バイフォーカルレンズのため、レンズの境目ははっきりしている。でもメンテナンス用なので見た目は気にしないことにするので、問題なし!

その効果は期待以上。作業性の劇的向上でストレスともサヨナラ

さっそく、この逆遠近両用メガネを装着して、メンテナンス作業に取り組んでみたところ…。3つの美点を発見!

「上目遣いでの作業が格段に楽になりました」

リヤサスのショックの上部点検や、クルマの下に潜り込んでの作業を行う時は、これまで顎を上げたり、無理な姿勢で覗き込んだりする必要があったのだが、この逆遠近両用メガネなら、視線を上げるだけで近くの対象物にピントが合ってくれる。当然、無理なく楽な姿勢で作業ができるようになった。これは本当に嬉しいポイントです。

使い心地は期待以上。上目遣いで点検するような場面では、驚くほど見やすく楽に感じる。視線を上げて行う配線作業や、車の下での作業も格段にやりやすくなっている。

「拡大鏡からの解放」

これまで、細かい作業にはメガネの上から装着する拡大鏡を使っていたが、メンテナンス中は視線を動かすことが多いため、着け外しが非常に面倒だった。エンジンルームに置き忘れて壊してしまったことも…。でも逆遠近両用メガネならかけたままでOKなので、作業効率が格段に向上していることが実感できる。

「遠近の切り替えがとてもスムーズ」

1つのメガネで、近いところも、少し遠いところも、くっきり見えるのがありがたい。老眼鏡を使っていた時は、軽く目線を外す程度の視線移動でも、視界がぼやけてしまってイライラとしていたが、そんなストレスからおさらばできた。

目の状態は老眼が進んだ弱い近視なので、遠くを見るときは、レンズの下側を使うとよく見える。細かい作業と遠くの計器や動作を交互に確認するような場面で、これが非常に役立つのだ。

ジャッキスタンド(リジッドラック)を使ったDIY作業では、作業箇所と目の距離が近くなるため、老眼にはつらい。この写真のようにトレーリングアームの車体取り付け部を上目遣いで見る際には、逆遠近両用メガネのメリットが大きく感じる。ただ、視線を頻繁に動かす作業となると、度数が大きく異なる遠近両用レンズ特有の慣れも必要になりそうだ。

一般的な遠近両用メガネの場合、ハブ側のトレーリングアームの取り付け部を見るには、顎を上げて覗き込む必要があるのだが、逆遠近両用メガネなら、顎を引いたまま見ることができる。このストレスフリー感覚がとにかくありがたい。

一般的な遠近両用メガネは、下を向いて行う作業に適しているのに対して、この逆遠近両用メガネは、クルマの整備のように上を向いて行う作業に向いている。

大げさかもしれないが、まさにシニアメカニックのための「救世主」。人それぞれに老眼の進み方や見え方は違うと思うが、こういうところにコストをかけてみるのはいかがだろうか?

今回お世話になった、富士メガネは全国に64店舗を展開。第14回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 第1回「内閣総理大臣賞」も受賞した定評ある眼鏡店になる。富士メガネのホームページはこちら→https://www.fujimegane.co.jp/

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