
高速道路のサービスエリアやパーキングエリアで、ふと目に入る「青い枠線の駐車マス」。空いていれば止めていいのか、それとも何か特別な意味があるのか、気になったことがある人も多いはずだ。実はこの青い枠、近年深刻化するSA・PAの駐車場問題に対応するための重要な仕組みとして導入されている。見過ごされがちな小さな変化の裏には、高速道路を支える現場の工夫と切実な事情が隠れている。
●文:月刊自家用車編集部
SA・PAで見かける青い枠線、その正体とは
高速道路のSAやPAを利用すると、白線ではなく青いラインで囲まれた駐車マスを目にする機会が増えている。見た目は単なる色違いの駐車スペースに見えるが、実はこれには明確な役割がある。この青い枠の正体は「兼用マス」と呼ばれる仕組みだ。
兼用マスは、大型車と普通車のどちらも利用できるよう設計された駐車スペースで、状況に応じて使い方が変わるのが特徴となっている。一見すると曖昧なルールに思えるが、限られた敷地で多くの車両をさばくための、現場目線の合理的な解決策だ。
なぜ兼用マスが必要とされたのか
SA・PAの駐車場は、もともと大型車用と普通車用で区画が分けられている。しかし、交通量の増加や物流需要の拡大により、特に大型車の駐車スペース不足が慢性化してきた。夜間や連休、繁忙期になると、トラックが止められずに駐車場内を彷徨う光景も珍しくない。
より多くの大型車/普通車が利用できるよう、兼用マスの設置が進められている(中日本高速道路㈱より提供)
一方で、時間帯によっては普通車が少なく、大型車用スペースが余るケースもある。こうした需要の波を少しでも吸収するために導入されたのが兼用マスだ。固定的な区分を見直し、柔軟に使える余地を持たせることで、全体の効率を底上げしようという狙いがある。
普通車と大型車、それぞれの使い分け
兼用マスは使い方を理解していれば、決して難しいものではない。大型車の場合は、通常の大型車マスと同様に1台で利用する。一方、普通車の場合は、同じ区画内に2台が縦列で駐車する前提となっている。
多くの利用者が快適に駐車場を利用できるよう、兼用マスの使用方法は覚えておきたい(中日本高速道路㈱より提供)
この縦列駐車という点がポイントで、青い枠が広く見えるからといって、普通車1台で横に止めてしまうと、本来の機能が発揮されなくなる。現地では案内表示も設けられており、少し意識するだけで誰でも正しく使える仕組みだ。
勝手に止めていいのか?という疑問の答え
「空いているなら止めても問題ないのでは」と考える人もいるだろう。結論から言えば、ルールを理解したうえで使うなら問題はない。ただし、何も考えずに止めてしまうと、結果的に他の利用者の迷惑になる可能性がある。
特に普通車が大型車用スペースや兼用マスを占有してしまうと、長距離を走るトラックドライバーが休憩できず、安全面にも影響が出かねない。兼用マスは「誰でも使える魔法のスペース」ではなく、「状況に応じて譲り合うための装置」と考えるのが適切だ。
大型車の駐車不足が抱える深刻な背景
大型車の駐車スペース不足は、単なる不便さの問題ではない。トラックドライバーには法令で定められた休憩義務があり、適切な場所で休めないことは過労運転や事故リスクにつながる。
実際、混雑時には本来止めるべき場所が確保できず、やむを得ず通路付近や不適切な場所に止めるケースも発生している。こうした状況を少しでも改善するために、兼用マスのような柔軟な仕組みが導入されてきた。
普通車ドライバー側にもできること
普通車のドライバーに悪意があるわけではなく、単にルールを知らずに止めてしまうケースも多い。特に高速道路を利用する頻度が低い人ほど、駐車マスの意味を意識する機会が少ないのが実情だ。
だからこそ、青い枠を見かけたら「ここは兼用マスかもしれない」と一瞬立ち止まって考えることが大切になる。その小さな意識が、駐車場全体の流れをスムーズにし、結果的に自分自身の利用環境も良くすることにつながる。
SA・PAは今も進化し続けている
SA・PAは単なる休憩施設ではなく、交通と物流を支える重要なインフラだ。限定グルメや施設の充実が注目されがちだが、その裏では駐車場の使い勝手を改善するための地道な工夫が続けられている。
青い枠の兼用マスは、その象徴とも言える存在だ。次にSA・PAを利用したときは、駐車スペースの色や配置にも目を向けてみると、高速道路の裏側にある工夫が見えてくるはずだ。
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