
1996年に市販車として初めてニッケル水素電池を搭載したRAV4 L EVを発売するなど、トヨタの電動化戦略の先頭をプリウスとともに走ってきたRAV4。先代となる5代目から登場したPHEV(プラグインハイブリッド)は、圧倒的な速さや上質感が印象的なモデルだったが、新型では、どのような進化を遂げているのだろうか?
●文:まるも亜希子 ●写真:奥隅圭之
第6世代ハイブリッドを初搭載。システム出力242kWを発揮
電動化・知能化・多様化の3つの進化に力を入れたという新型RAV4。上位モデルに相当するPHEVモデルの大きなトピックは、先代からの立ち位置を継承する「Z」グレードに加えて、モータースポーツで鍛えた技術や知見をフィードバックし、走る楽しさにこだわる「GRスポーツ」が登場したことだ。専用エクステリアやパーツを用いて「Z」「GRスポーツ」を差別化することで、ユーザーの選択肢を豊かなものにしている。
そしてもう1つ、トヨタ初となる第6世代ハイブリッドシステムを搭載したことも見逃せない。新開発された大容量電池は、バッテリーセルが従来の96セルから104セルに増加し、充電容量は先代の18.1kWhから22.7kWhへと約30%アップした。システム最高出力は、第5世代を継承したハイブリッドが177kWのところ、PHEVは242kWを達成。先代PHEVの225kWと比べても大きなジャンプアップを実現している。俊敏さの目安となる0-100km/h加速も、6秒から5.7秒に短縮している。
2.5Lエンジンに組み合わされるプラグインハイブリッドシステムは、システム最高出力242kWを発揮。一充電走行距離はZが151km、GRスポーツが145kmと日常域での移動の大部分をカバーできるEV走行距離を獲得している。
充電容量30%アップの恩恵で、EV航続距離151kmを実現
また、日常域での走りの質を高める工夫の充実ぶりも見逃せない。先代は車両の前後方向にバッテリーセルを並べていたが、新型では左右方向に並べる横型の構造に変更。パッテリーパックを構造部材としてより活用できるようにしたことで、車両剛性も約1.5倍に向上させている。
ほかにも電力のロスを低減するSiC半導体をPCUに採用し、ACチャージャーを空冷から水冷に変更、さらに新しいサーマルマネージメントシステムを採用したことで、EV走行レンジの幅が広がっている。
PHEVモデルには、ハイブリッドモデルよりも進化した第6世代ハイブリッドシステムを採用。eAxleもトランスアクスル、モーター、インバーター、DCDCを1つのユニットに統合して搭載される最新ユニットとなる。
システムの中核を担うeAxleは出力を12%アップしたにもかかわらず、先代よりも小型化。その恩恵は室内にも及び、ハイブリッドモデルと変わらないスペース効率の良さを実現している。
満充電からのEV航続距離は、従来の約95kmから約151km(GR SPORTは145km)と大幅に拡大。充電性能では7kWまでの普通充電に加えて50kWまでの急速充電にも対応している。充電時間の目安としては、6kWの普通充電で満充電まで約4時間30分、50kWの急速充電で80%まで約28分となっている。
航続距離が伸びて出先での充電も短時間で済むようになり、近場のドライブだけでなく遠出もしやすいPHEVになっているわけだ。
雨の一般道でも際立ってくる、高い「接地感」
先に試乗したのは「Z」グレード。あいにくの雨模様の中、一般道に出ると試乗車はオプションの20インチタイヤを履いていることもあるのか、発進から低速時にしっかりとした接地感があり、上り坂ではやや重量のあるクルマを動かしている感覚があったのだが、速度があがるにつれてスッとなめらかさが増してくる。吹き付ける雨音のほかは、風切り音やロードノイズもかすかに遠くの方で聞こえるような静粛性の高さにも驚いてしまう。
標準仕様に相当するZのアシは、乗り心地重視寄りのセッテイングだが、低速時からしっかりとした接地感が感じられるなど、高い次元で上手にバランスを取っている。
首都高速道路では、速度域の低い区間で少しヒョコヒョコとして継ぎ目が連続すると振動が残るような場面もあったが、速度域の高い区間に入ると落ち着きが出て上質感の高い安定した乗り味、気持ちよく走ることができた。ドライブモードが「NORMAL」では、ほぼEV走行で追い越しなどで少し強めに踏み込んでもモーターならではの瞬時のスカッとする加速が得られる。「SPORT」にすると、何度かハイブリッドになったようだが、エンジンがいつかかったのかはモニターを見ていなければわからないほどシームレスぶりだ。
足まわりのフィーリングはガチガチではなく、わりと自由度が高い印象。それはRAV4ファミリーの一員としてオフロードや雪道の走行での頼もしさを考慮しているから。上質感が増しつつタフな一面も忘れない、懐の深いPHEVになっていると感じた。
「GR」専用チューニングがもたらす、圧倒的な踏ん張り感
次に試乗したのは「GRスポーツ」。こちらも20インチタイヤだが先ほど気になった低速時の乗り味もすっきりとしており、とてもバランスがよい走りに好感を覚える。
GRスポーツは、高速域の直線での安定感も高く、SPORTモードにするとレスポンスが俊敏になって思い通りの走りが叶うPHEVとなっている。
ホイールオフセットで左右10mmずつトレッドが広がっているが、サスペンションの専用チューニングやパフォーマンスダンパーの装着といったGRスポーツ専用アイテムがいい仕事をしているのだろう。とくに高速コーナリングの気持ちよさには感心させられる。高速域の直線での安定感も高く、SPORTモードにするとレスポンスが俊敏になって思い通りの走りが叶うPHEVとなっている。
GR SPORTにはセミバケットの除電シートが採用されており、これは単に座り心地やホールド性を高めるだけでなく、ホイールまわりで空気の流れが乱れるのを防ぐ効果もあるという
トップグレードにふさわしい上質感の「Z」と、走りの楽しさが高まった「GR SPORT」。開発陣の狙い通りに、新しいRAV4の世界を見せてくれた2台だった。
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